「天然物のたい焼き」はどう違う? 「東京3大たい焼き」を食べ比べてみた
東京には「東京3大たい焼き」と呼ばれるたい焼きがあるのをご存知ですか?
東京にはおいしいたい焼き屋がたくさん存在しますが、その中でも、人形町の「柳屋」、麻布十番の「浪花家総本店」、四谷の「わかば」が作るたい焼きは「東京3大たい焼き」として行列の絶えない老舗として有名なお店です。
この3店では「天然物のたい焼き」が食べれることも人気の理由。実は、専門家の間では縁日や近所のスーパーなどで店頭販売されているたい焼きは「養殖物のたい焼き」と呼ばれ、大きな鉄板で複数匹同時に焼き上げられるのが特徴。リズミカルにあんこを次々と乗せていく姿をみなさんも一度は見たことがあるはず。
一方、老舗と呼ばれるたい焼き屋は「一匹だけの型」を使って焼き上げるのが特徴。そのようにして焼き上がったものは「養殖物」と区別して「天然物」と呼ばれているそうです。大きな鉄板で焼くよりも、より手間と時間がかかる上、鋳物で出来た型を一匹ずつ焼き上げるには相当な体力も必要。しかし、そんな「天然物」のたい焼きは皮の芳ばしさや火の通り方などが、養殖物とはひと味もふた味も違うとても味わい深いものになります。
今回はそんな「東京3大たい焼き」とも呼ばれる3店の老舗を訪れ、実際のたい焼きを徹底比較をしてみようという企画。実はこの3店は、地下鉄を使えば一日で巡ることが出来る距離にあるため「東京たい焼きツアー」として、たい焼き好きの間ではちょっとした人気ツアーになっているとか。
今回は人形町の「柳屋」、麻布十番の「浪花家総本店」、四谷の「わかば」の順番で移動。その様子をレポートいたします。
■人形町「柳屋」
まず初めに訪れたのが、1916年に創業された「柳屋」。東京メトロ日比谷線の「人形町」A1出口を曲がってすぐの場所にあります。出口を曲がると、近くの「森乃園」からほうじ茶のいい匂いが漂ってくるはず。その匂いのする方向に進めば、歩道に沿って行列ができている「柳屋」を発見することができます。
この日は休日ということもあり、お昼前にも関わらず、すでに40人ほどの行列。一匹だけ買う人も入れば、数十匹購入する人もいたりと、待ち時間はその日によって異なりそうです。周りにはすでにたい焼きを手にした人々が立ったまま頬張る姿も見え、並ぶ間も期待感は膨らむばかり。店前では職人が手際よく次々とたい焼きを焼き上げていく様子が見られるため、並んでいる時間もあっという間に過ぎていきます。
結局、この日は30分ほどで順番が回ってきました。一匹のお値段は140円。かわいい袋に包まれたたい焼きは、焼きたて釣りたて(?)のアッツアツ!一口食べてみて驚くのは、皮の絶妙な焼き加減。外はとてもカリッとしているのですが、中はもちっとしているのがここの皮の特徴。天然物ならではの焼き加減です。
中にはあんこがぎっしり。大粒の豆の食感がしっかりと残っているのも特徴。素朴な味の皮と絶妙な相性でマッチしていて、あっという間に食べてしまうほどのおいしさ。
もう一匹食べたかったのですが、柳屋の前には先ほど以上に伸びていた行列を見て断念。芳ばしい香りの余韻を楽しみつつさっそく次のお店に移動です。
■麻布十番の「浪花家総本店」
都営浅草線と大江戸線を乗り継いで「麻布十番」駅へと移動。人形町の駅から30分ほどで次の老舗、1909年に創業の「浪花家総本店」に到着です。おしゃれなカフェやレストランが密集するエリアの中、風情ある外観を残したお店となっています。こちらは先ほどのように店前に行列ができていないため、すぐに買うことができそうだと思っていたところ、実は完全予約制とのこと。その場でお持ち帰りの予約もできますが、この日はなんと「1時間」の待ち時間。さすがの人気店。
しかし、実はこのお店の2階では店内で食事をすることが可能。そこであれば同じ「たい焼き」を待つことなく食べることができるとのこと。というわけで、迷わず2階席へと移動することにしました。
二階席では、たい焼き一匹セットがドリンク付きで600円。一匹追加ごとに+200円。一階で持ち帰りの場合は一匹150円のため、少々割高感もありますがテーブル代と考えれば納得。ここではたい焼きの他にもあんみつやかき氷、うどんや焼きそばも食べることができます。
柳屋にも負けないほどのあんこがぎっしりと詰まったたい焼き。皮はあんこが透けそうなほどの薄さです。
柳屋に比べてあんこを煮詰めているため粒が柔らかく、よりしっとりとした中身に。お昼時ということもあり、この日は焼きそばと一緒に注文。違和感のある組み合わせですが、「塩気のある焼きそば」と「甘いたい焼き」が意外にも好相性。ほうじ茶と一緒に頂けば、どこか懐かしい気持ちになりクセになりそうな組み合わせ。時間によっては2階も列ができるほど混雑ぶりなので訪れる際はご注意を。
■四谷「わかば」
麻布十番からは東京メトロ南北線で四谷駅まで移動。乗車時間はわずか15分ほど。四谷駅を背にして新宿通りを少し歩き、横の小道に入った場所に1953年創業の「わかば」があります。住宅街の中にひっそりと佇んでいますが、やはりここにもたい焼きを待つ人の行列。先ほどとは違って家族連れや、近所の人が多いのもここの特徴。
店の中では二人の職人さんがたくさんの数の「一本焼きの型」を次々と焼き上げています。釣り上げられた(?)たい焼きは手前のベルトコンベアーを通っておばあちゃんの待つレジ横へ。見ているだけでも飽きない光景です。さて、こちらのたい焼きは一匹140円。20人ほど並んでいましたが10分ほどの待ち時間で買うことが出来ました。
これまでの中で一番ずっしりした印象。中にもたっぷりのあんこが詰まっています。
食べてみると、これまでの2店舗とは違い塩気が強く甘さが控えめのあんこを使用。かなりのボリュームの割にはいくつでも食べられそうな甘さです。皮もこれまでの薄い皮というよりかは、少しフワッとした感触。もちろん、天然物特有のカリッとした芳ばしさ、焼き加減はさすがは名店。絶妙な仕上がりです。
というわけで、「東京3大たい焼き」巡りは無事終了。さすがはたいやき御三家と呼ばれる老舗だけあって、三者三様。それぞれに特徴があり、こんなにも違うのかと驚くほどです。お持ち帰りした3店のたい焼きを並べればその差は一目瞭然。
「柳屋」「浪花家総本店」「わかば」の順。重量の比較では順番に97g、75g、115gとなっています。たい焼きの型も微妙に違うため、そろぞれに個性的な顔をしています。並べてみると色もこんなにも違うものだったんですね。
さて、3つとも食べ比べたところで気になるのが「結局、どれが一番旨かったのか?」ということ。しかし、こればかりは人の好みで別れるのでなんとも決め難いところ。ただし、今回の食べ歩きで一つ言えるのは「3つがそれぞれに違う味」だったという点。正直、たい焼きなんてどこで食べてもそう変わらないと思っていましたが、これは大きな間違い。生地の食感やあんこの味付けなど、それぞれに特徴があり、たい焼きの奥深さに驚かされました。
また、今回たい焼き巡りをして感じたのが「人形町」「麻布十番」「四谷」といった全く違う街も一緒に楽しむことができたということ。普段行き慣れない街を散策するのはそれだけで楽しいもので、たい焼きと同じく東京も様々な顔をもった魅力ある街だということを再認識させてくれます。
これからは外を歩くのが気持ちのいい季節。「東京3大たい焼きツアー」と題して、水筒にほうじ茶でも入れて食べ歩くなんてのも「粋」な休日の過ごし方ではないでしょうか。
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