カンヌでは「秋刀魚の味」、ベネチアでは「彼岸花」のリマスター版が上映される!

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日本が誇る名匠・小津安二郎監督の生誕110年、没後50年を記念して、小津作品のデジタル復元や書籍の刊行、記念上映などを行なうプロジェクトが発足。5月10日にプロジェクト発表会見が東京・築地の松竹本社で行われ、松竹の迫元淳一社長、小津作品のプロデューサーを務めた山内静夫氏らが出席した。

小津監督は1903年12月12日、東京・深川生まれ。60歳の誕生日である63年の同日に死去しており、今年12月12日に生誕110年、没後50年を同時に迎える。山内氏は「小津組も残り少なくなって、私も含めてもう2〜3人になってしまった」と寂しげだが、「50年経って、こうしたイベントが催されるということ自体が稀有なこと」と小津の功績を称える。

数多くの記念企画の中でも、特に山内氏が楽しみにしているというのが、小津監督が共同脚本の野田高梧とともに蓼科の別荘で脚本を練り続けた、14年におよぶ日々を綴った「蓼科日記 抄」の刊行。「小津に関する最後の資料であり、今年発表されるというのは意味深いこと。野田高梧と小津の日常が事細かに描かれており、脚本の執筆と日常生活が一体であり、小津調の原点がそこにあるのではないか」と語った。7月刊行予定だが、すでに海外から翻訳版の出版を望む声が寄せられているという。

デジタル復元に関しては、東京国立近代美術館フィルムセンターの協力を得て、晩年のカラー作品「彼岸花」「お早よう」「秋日和」「秋刀魚の味」の4本をデジタルリマスター化。同センターの岡島尚志主幹は、「最新のデジタル技術で小津監督が狙ったであろう映像の形に復元し、同時にこの復元を通じて、現代まで残っているフィルムを後世に伝えていきたい」と意義を語った。

デジタルリマスター化された「東京物語」は、今年2月のベルリン国際映画祭で上映されたが、5月15日に開幕するカンヌ映画祭では「秋刀魚の味」がプレミア上映されることになっており、現地では最新作「そして父になる」がコンペティション部門に選出された是枝裕和監督が舞台挨拶に立つ予定。さらに9月のベネチア国際映画祭では、「彼岸花」のリマスター版がプレミア上映されることも新たに発表され、同じ年に世界三大映画祭で小津作品がプレミア上映されることとなった。

また、小津に関する新たな映像作品の企画も進められているというが、松竹の大角正映像副本部長は「小津作品をリメイクする根性はありません(笑)。当時の時代や小津の姿を描くのがやりやすいかと思っていますが、映画なのかドキュメンタリーなのかなどもまだ決まっていません」と説明した。迫本社長は「次の世代、未来の方々へとつないでいく年になれば」とメモリアルイヤーのプロジェクトへの期待を語った。

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