宮崎監督の新作に、庵野監督が声優参加

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「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズでおなじみの庵野秀明監督が、宮崎駿監督5年ぶりの長編最新作「風立ちぬ」で主演声優を務めることがわかった。過去に「クワイエットルームにようこそ」や「ナイスの森 The First Contact」といった実写映画に出演経験もあり、アニメーション作品ではガイナックス制作のテレビアニメ「アベノ橋魔法☆商店街」の12話にゲスト声優出演の経験もあるが、長編アニメーション映画の主演声優は初めて。世界的巨匠の宮崎監督作品に、同じく国内外から注目を集めるもうひとりの“監督”が加わるという、異例のキャスティングが実現した。

「風立ちぬ」は、ひとりの青年技師・堀越二郎の半生を描く物語。ゼロ戦設計者として知られる堀越二郎と、同時代を生きた文学者・堀辰雄の2人の人生を融合させ、技師としての生き方や薄幸の少女・菜穂子との出会いなどを描き出していく。庵野は主人公の二郎役を務める。

二郎役の声優に対して、宮崎監督が「早口である」「滑舌がよい」「凛(りん)としている」というイメージを抱いていたことから、鈴木敏夫プロデューサーが庵野を提案。庵野は、アニメーター時代に宮崎監督の「風の谷のナウシカ」で巨神兵のシーンの原画を担当したことは有名だが、それ以来、宮崎監督を師と仰いでいる。それだけに、声優オファーも無下に断ることはできず、オーディションに参加。すると、「ニコニコと満面の笑みの宮さん(宮崎監督)に『やって』と言われまして、“これはやるしかないんだろうな”と思ったのが正直なところです」と腹をくくり、「できるかどうかは別にして、やれることはやりますけれど、そこまでです、ということで引き受けました。ダメだったときは、僕を選んだ鈴木さんと宮さんが悪いんです(笑)」と主演声優初挑戦が決まった。

アフレコ収録は4月中旬に行われ、最初は「難しい」を連発したという庵野に、宮崎監督から「うまくやろうとしなくていい。いい声だからでなく、存在感で選んだのだから、それを出さなくてはならない」とのアドバイスが与えられた。それを受けて庵野は、外国語や声を張るシーンにも果敢に挑戦。体の動きも交えながら調子をつかんでいったといい、最終的には、ヒロインとの愛をささやくシーンで、現場に居合わせた全員が息をのむほどの完成度の高さを見せて一発OKを出すほどになったという。また、同じセリフをリズムを変えて何度も繰り返しながら「この練習部分も(録音を)回しておいてください」と頼んだり、「今の中で使えるものがあると思います」と自分でOKを出したりするなど、日ごろは演出をつける側の監督らしい場面もあり、宮崎監督は「監督が2人いるみたいでややこしいな」と笑うひと幕もあったという。

演じた二郎には、「“夢を形にしていく”仕事をしているところ」に共感したという庵野。「アニメや映画を作るということと飛行機を作るということは、作るものは違えども、夢を形にすることは同じ仕事なのだと強く思いますね」と話し、鈴木プロデューサーも「役者さんでは演じることのできない存在感です。映画を設計する監督と飛行機の設計士、作るものは違うが共通点もあると思いました。こじつけですが(笑)」と庵野の起用理由を明かす。

アフレコを終えた庵野は、「2時間を超える長編をつくるというのは、体力的にも精神的にも本当に大変な作業です。ラストシーンは、正直感動しました」と話している。7月20日全国公開。

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