親子役を演じた船越英一郎と高良健吾にインタビュー!

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ふるさとへの愛をテーマにした、心温まる物語が誕生。高知県出身の人気作家・有川浩の同名小説を映画化した『県庁おもてなし課』が5月11日(土)より公開される。高知県庁に実在するおもてなし課を舞台に、美しい自然や街並み、人情がスクリーンに映し出される。そこで、親子役として共演した船越英一郎高良健吾を直撃。ふたりの思う親子の絆、そしてパワーの源に迫った。

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地元の観光促進に奮闘する人々の姿を丁寧に描く本作。船越と高良が演じる親子の関係は、ちょっと複雑だ。船越演じる清遠和政は、県庁を追われた伝説の元職員。高良演じる吉門喬介の母は、喬介を連れて、清遠と再婚。喬介にとって、清遠は血のつながらない父親だ。しかし、その後、喬介の母が家を出てしまったため、喬介も清遠家とは縁遠くなってしまう。このふたりの関係を、いったいどのように感じたのだろう。高良は「この親子には深いつながりを感じるんです。それは、僕が佐和(関めぐみ)と話しているシーンなど、清遠と吉門が一緒に映っていないシーンにこそ、たくさん現れていたと思うんです」。船越も「良いこと言うねえ。お互いが別々のシーンを生きている時の方が、お互いへの思いやりがこぼれている。これは最高だよね」と微笑む。

船越は、こうも語ってくれた。「僕は自分も血のつながらない息子がいるから、自身の環境とも似ていたんだよね。つながりというのは目に見えないし、表しにくいもの。僕は血のつながりを超えた、もっと深い、濃いつながりというのが世の中には絶対にあると信じているんです。そういうものが、清遠と吉門の間にも流れていたと思う。それを吉門を演じた高良君が、一緒に映っているシーンではないところで感じられたというのは、ものすごく素敵なこと。映画のなかで、清遠と吉門が食卓を囲んでいても違和感を感じないのも、きっと役者同士の深いつながりがあったからだと思う」。

船越演じる清遠は、頼もしい“いごっそう”な父親だ。父親という存在について、改めて感じたことはあるだろうか。高良は「父親とは一緒に居酒屋にいって、ワイワイ話すような感じではないし、一緒にいてもなかなか言葉をかけづらい。父親もそうかもしれませんね。でも、きちんと忘れていない、ちゃんとつながっていたいと思う。そんな確かなつながりがあると思います」と思いを打ち明けてくれた。一方、船越の父親は、同じく俳優として活躍した船越英二だ。船越は「それはもう、父親の影響というのは大きいよね。でも、親が子供を思う気持ちというのは、『手を貸してあげたい、守ってあげたい』という誘惑と闘うことだと思うんだ。自分が父親になってみて、親父もそうだったのかなと思ったりね。どれだけ、子供を遠くから離れて見ていられるか。親子関係で大事なのは、その距離感だと思う。清遠役を演じるうえでも、その気持ちを大事にしました」。

ふるさとの良さを見つめることで、人間やその土地の持つ可能性が浮き彫りになっていく本作。彼らの仕事への情熱が胸を打つ。船越は仕事への思いをこう語る。「30年以上、役者をやっていると、『この仕事を続けていきたい』と思うことの連続で。仕事との出会いが、今日まで僕を運んでくれた。僕はずっとサスペンスをフィールドワークの一つとしてやっているけれど、そのなかでも、皆さんが大きな役を与えてくれたり、支持をしてくれたからこそ、連綿と続けられるわけで。それは幸せなことですよ。僕が色々なチャレンジをさせてもらう時に、準備をしていくのはたった一つで。『僕はまだまだ守っていない、こんな可能性もあります!』というのを、毛穴からシューッと出すようにすること(笑)。それをさぼって守りに入ってしまうと、そこで終わっちゃうんだよ」。

高良も「僕も、守りに入るというのが、どういうことなのかわからないんですよね(笑)。今まで以上に、自分に期待をしたり、欲を出すことが大事だと思っている一方、疑うことも大事にしているんです。吉門役も色々なアプローチの仕方がある役でした。どうして、こう演じたんだろうと疑ってみたり、もっとあるんじゃないかと疑ってみることを忘れないようにしたいです。僕の原動力となっていうのは、『悔しい!』という思いなんです」と力強く話す。

この言葉を聞いた船越は、何とも嬉しそうだ。「『もっと』と思うこと。それが答えなのかも。『艱難汝を玉にす』という言葉があるけれど、苦しいこと、きついこと、というのは自分を磨いてくれるもの。皆、そうやって生きているわけだし、それが清々しいんだよね。生きていくということは清々しいもの。この映画には、それが凝縮されていると思うんだ」。

「生きていくことは清々しいもの」とは、何とも勇気の出る言葉だ。自身の可能性や、たくさんの周囲の愛に気付かせてくれる『県庁おもてなし課』を、是非とも劇場で楽しんでほしい。【取材・文/成田おり枝】