″いつやるか? 今でしょ!″の林修先生が伝授! 「仕事で成果を上げる思考法」

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「いつやるか? 今でしょ!」のフレーズで大ブレイクした、東進ハイスクールの講師・林修先生。
テレビ、ラジオなど数々のメディアに出演し、今月には『今やる人になる40の習慣』(宝島社)を刊行するなど、多岐にわたって活躍中だ。そんな林先生が、仕事で成果をあげるための思考法を伝授する。

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■トップを目指すため、勝てる場所で戦うことを選んだ

――「東大法学部を卒業後、長銀に就職するも半年で退社」「投資やギャンブルで1800万もの借金を負う」など、波瀾万丈な半生も注目を集めていますね。どうして予備校講師に?

学生時代から幾度となく家庭教師をしていて、教えることには自信があったんです。長銀を辞めて定職についていない時期に知人からの誘いを受け、予備校講師の道へ進むことになりました。

自分が受験生のころ、最も成績がよかったのは数学です。ただ、僕は法学部卒の文系。大学で専門的に学んだ相手と戦ったら、講師として勝てないと思ったんです。他の科目も検討する過程で、目に止まったのが現代文。「この場所なら、勝てるんじゃないか」と考えながら、東大時代に出会った村上陽一郎先生のことを思い出していました。

今でも尊敬している村上先生は日本を代表する科学史の研究者で、非常に頭の切れる、優秀な方。普通そういう人は、いわゆる"花形"と呼ばれる分野を選ぶことが多いんですが、村上先生の専攻である科学史は、学問としてはむしろマイナー。村上先生ほどの方であれば、トップレベルになるのは当然です。ご本人は純粋な気持ちで科学史を専攻されたのかもしれないけれど、僕は当時「自分の勝てる場所で戦う生き方は強いな」と感じていたんです。

結果的に、僕も村上先生のような選択をしたのだと思います。教える上で苦労したことはなく、ずっと順調ですね。もし、別の道を選んでいたら、こんな状況にはならなかったんじゃないかな。

――講師業とメディア露出との両立はいかがですか。

「そんなにメディアに出て、本業は大丈夫なのか?」とよく聞かれるんですが、収録や取材は授業のある日以外に入れているので、今のところ支障はありません。たしかに忙しいですが、それは趣味みたいなもので。先日、「43日ぶりの休日だ」とブログに書いたら読者の方が心配してくださいました。ありがたいことですが、僕はそのくらいで壊れるほどヤワじゃないので大丈夫(笑)。多忙を乗り切れるよう、普段からよく歩き、体を鍛えています。

東進の予備校講師としての地位は自分の努力で築き上げたものですが、今の状況は自分とは関係のない力が働いている、言わば“ボーナスステージ”のような感覚がありますね。スポーツ新聞での競馬予想がしたい、メジャー野球について公的に意見を発表する場所がほしい、お笑い番組で芸人さんと絡んでみたい、シャンパンについて語りたい――など、昔からやりたかったことは全てチャレンジさせていただきました。これらの夢が実現したのは、前々からブログで自分の好きなこと、やりたいことを公言していたからだと思います。「単なる予備校講師には難しいことだ」という自覚はありましたが、何かきっかけがあるかもしれないからと、種を蒔いておいたんです。それらがボーナスステージに入って以降、次々と花を咲かせ始めました。

■夢や願望は、どんどん語ったほうがいい

――事前に種を蒔いておくという発想は、どんな経験から生まれたのでしょうか?

これは現代文を勉強していて身についた考えです。授業では「近代になって、こういうことが起きました」という文章をよく扱うのですが、“近代”は急に始まるわけではないんです。近代特有の事柄であっても、その前に必ず準備期間があって、はっきり形になって表れるのが近代だ、ということなんです。つまり「その瞬間を迎えてから始めよう」では絶対に遅い。まさに「いつやるか? 今でしょ!」なんです。

熱い思いがあるなら、すぐに“仕掛ける”のが大事。結果がいつ出るかなんてセコいことは考えず、夢や希望はどんどん語ったほうがいい。もちろん実らないこともありますが、実らなくてもともとです。「100の願望のうち、3つ叶えば御の字だ」くらいの構えで公言し続ければ、誰かが架け橋になってくれるかもしれません。

もうひとつ重要なのは、自分にできることを精一杯やることですね。例えば、初めに出演した『たけしの新・教育白書〜「学び」って楽しいぞSP』(フジテレビ系列)は、国語という枠の中で楽しいことをしたいという趣旨で、僕以外の講師にも声がかかっていたんです。僕に決まったのは、興味を持ってもらえそうなネタを大量のレポートにまとめて、最初の打ち合わせの翌日にすぐ、ディレクターに送ったから。もっとも、オンエアでは別のネタが採用されたんですけど(笑)、レポートを送るという行為そのものが出演の決め手になったのですから、無駄になったとは思いません。

これは「プロセスに責任をとる」、つまりその瞬間にやれることを全力でやるということです。この心がけと、仕掛けを作っておくという2つの意識で、いろんなお仕事をさせていただきました。

■負ける経験がなければ、「勝てる場所」は見つからない

――「勝てる場所で勝負する」というお話がありましたね。その場所を見つけるにはどうしたらいいのでしょう?

「これもできるんじゃないか、あれもできるんじゃないか」と頭で考えているうちはダメですね。いろんなことをやって、負ける経験をしないとみつかりません。でも、今の若者は、失敗を怖がる人が多い。自信がないのも理由のひとつでしょうが、時代にも問題があります。次のチャンスがなかなか得られず、将来の展望が抱けない社会の中で「萎縮するな、元気を出せ!」というほうが無理な話。振り返れば、自分が若いころにムチャクチャなことをやっていられたのは、明日に希望を持てるような社会を上の世代が用意してくれていたからかもしれません。そういう意味では、今の若者は気の毒だし、上の世代として申し訳ない。

ただ、厳しい時代と言えども、やっぱりみんな若い人のミスには寛容です。「失敗したら終わりだ」と思い詰めて縮こまるのはどうかな、とは思いますね。どんな時代でも、人生の選択肢は「勝負に出て、イチかバチかの生き方をするか」「勝負せず、ローリスクローリターンで生きていくか」の2つ。個人的には「1回きりの人生、派手に勝負しようぜ」と言いたい。僕の仕事を手伝ってくれているスタッフには「若いくせに貯金なんて考えるな、全て使ってこい、何なら借金抱えてもいい、おまえらなら返せる!」なんて言っています。彼らは有能なので、何があっても絶対に大丈夫だと思うんですよ。僕の言葉を聞いて、彼らも「たとえ失敗しても、俺なら巻き返せるな」と、動きが少しずつ「派手」になってきていますね。喜ばしいことです。

ただ、飛び抜けて能力のある人がほんの一握りであることは事実。僕は今まで行方不明になった奴を何人も見てきたので(笑)、強く押し付けるつもりはありません。結局のところは、自分で納得できる道を選ぶしかない。自分の資質を見極めて、必要な場面で勝負をするのがいちばんでしょう。

■歴史から「負け方」を学び、反面教師にすべし

――いざという場面で勝負するため、意識すべきことは?

若くても、どんな時代でも、覚悟だけは持つべきです。今の若者は、ちょっとそこが弱いですね。その原因の一つは、歴史観の欠如ではないでしょうか? 歴史を見ると、今のように閉塞感のある時代は過去に何度もありましたが、先人はみな、覚悟を持って乗り切ってきました。歴史を学び、その感覚を養うことが重要だと、考えています。

そのときに意識したいのは、勝者ではなく敗者に注目すること。敗因には普遍性があり、敗者は負けるべくして負けています。決断力のなさ、情報収集の甘さ、慢心など、反面教師として学べる点が多いのです。

僕自身も、若いころから歴史を支えにしてきました。例えば、自分が悪い状況に陥ったとき、歴史と重ね合わせて「ここで負けを負けと思わずに進めば何とかなる」などと考えていたんですよ。高校時代に影響を受けたのは、岡崎久彦さんの『戦略的思考とは何か』(中公新書)。3、40回は読みましたね。岡崎さんは、歴史的ビジョンを持ち、自分を歴史の中に位置づけるという感覚を大事にしてきた方です。

今の若者には、この考え方が欠けていると感じます。「HISTORY」という単語には「STORY」という言葉が含まれていますよね。ひとつの流れを持つ物語として歴史を見る目を培い、自分と照らし合わせて、「HIS(=彼の)STORY」を踏まえて「MY」「STORY」を作り上げる、そんな生き方をしてほしいですね。

■できる/できないの臨界を考えよう

――その他に、若者に欠けていると感じる部分は?

自分を客観視する能力ですね。ひとつの感情で自分を染め上げてしまう、悪い意味でシンプルな人が多い。大変なことが起きたとき「どうしよう!」という焦りで思考がいっぱいになれば、誰だってパニックに陥ります。不安を覚えるのはしかたのないことですが、どうすれば解決できるのかを冷静に考える“もう一人の自分”をもってほしい。

もうひとつ、「できる/できないのボーダーを考える」ことも重要です。人間誰しも、全ての物事をこなせるわけじゃない。でも、全部できないわけでもありません。自分の臨界はどこなのか考えて、「できる」範囲は自力で解決し、「できない」ところにある物事は、誰なら解決できるのかを考えましょう。「HOW(どのように)」を「WHO(誰が)」に変えるのです。仕事でいちばんまずいのは、抱え込んで爆発すること。困難に直面したときに早く報告できないのは、HOWをWHOに変える基準を見失っているからです。「できません、ごめんなさい」と言っても、最終的にパンクしても、どうせ怒られます。だったら、早めに怒られたほうがいい。できないことをできないと言う勇気を持ちましょう。

いろんな物事の捉え方、考え方には、自分を救ってくれるものがあります。それを選択しなかったり、そもそも思考法を知らなかったりするのは、非常にもったいない。先ほど「予備校講師になってから、ずっと順調だ」と言いましたが、それはここまでお話したようなことを自覚的に実践しているからではないかと思っています。自分の専門分野で努力を重ねた上で思考法を学べば、より成果をあげることができると思いますよ。

■プレゼンで重要なのは情報の“次元”

――最後に、プレゼン上手になるためにアドバイスをください。

いちばんてっとり早いのは、自分のプレゼンをビデオに撮って見ることですね。僕自身は、自分の授業をずいぶん見直しました。また、落語家やお笑い芸人など、プロの話し方は勉強になります。うまいと思うのは、西の桂雀三郎、東の春風亭小朝。やわらかな“間”がすばらしいですね。

でも、プレゼン下手の原因は、話し方にもありますが、それ以上に戦略そのものがなっていないことにある場合が多いのではないでしょうか? 誰に対しても同じような話し方、手法でプレゼンをする人がいますが、それではダメですよ。僕も授業の際、「目の前にいる人たちに通じる言葉は何か?」を考え、時代や地域によって言葉を変えています。同じパータンでプレゼンをするというのは、そういう思考に欠けている証拠です。

まず、プレゼンを受ける側のキーパーソンが、どういう情報に対して高い評価を下すのかを考えましょう。そして、伝える情報の“次元”を決めるのです。直線は1次元、平面は2次元、立体は3次元と定義されていますが、ここでは文章だけの情報を1次元、図やグラフの入ったパワーポイントを2次元、動画を3次元と考えてください。どれを選ぶかは、キーパーソンが発信者であるときに、何を使うがヒントになります。パワポで説明したがる人にはパワポを、あるいはひとつステージが上の動画で伝えれば、ぐっと説得力が高まるはずです。

全会一致は難しいですから、キーパーソンの心を狙い撃ちするプレゼンを目指しましょう。誰に伝えるか、そしてどの次元で伝えるかを考えれば、成功率が上げられると思いますよ。

【プロフィール】
林修(はやしおさむ)
東進ハイスクール、東進衛星予備校の現代文講師。東京大学法学部卒業後に入社した長銀を半年で退社し、予備校講師に。主に難関コースを担当、東大受験生から絶大な支持を得ている。東進のCMでの台詞「いつやるか? 今でしょ!」が2013年、トヨタのCMに起用されたことで人気に火がつき、現在はテレビやラジオなどのメディアでも活躍中。著書に『いつやるか? 今でしょ!』、『今やる人になる40の習慣』(ともに宝島社)がある。

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