伝える技術って、 相手のことを想像する技術でもあるんです。 【本田直之×佐々木圭一】(後編)

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40日間で20万部のベストラーとなった『伝え方が9割』の著者・佐々木圭一氏と、本書のプロデュースをしたレバレッジシリーズで知られる本田直之氏の対談の後編をお届けします。「自分の頭の中をそのままコトバにしないで、相手の頭の中を想像し、相手のメリットと一致するお願いをつくることが大切」と著者の佐々木氏は語ります。(構成・井上健太郎 撮影・小原孝博)

伝えることは、「お願い」をすること

佐々木 前に、僕が京都精華大学で担当していた授業「広告表現技法」で、本田さんに講演に来てもらったときに、すごいなと思ったことがあったんです。

講演の冒頭で「この中で、満員電車に乗るのがキライな人いますか?」って、学生たちに質問されましたよね。

 他にも「会社に定時に行って、定時に帰るような生活したくない人は?」「自分が面倒くさがりやだと思う人は?」とか。これらの質問に、会場にいるすべての学生が、ざわめきながら手を上げました。みんな、ほぼ全員が手をあげたくなるような質問でしたから。そして、本田さんは言われたんですよね。

「僕も一緒です」って。

そこから、講演が始まった。学生たちの間に、「おお、あの本田さんが自分たちと考えが一緒なのか!」という一体感の空気ができて、ものすごく盛り上がりました。

 あれは、さすがだな、と。これはもう、紹介させていただきたいと思って、本の中にもこのエピソードを入れさせてもらったんです(笑)。NOをYESに変える切り口の6番目。「チームワーク化」の良い例として。

この切り口は、相手が「面倒くさい」とか「やる必要性がそこまで見つからない」と思っているときに効果を発揮します。お願いを相手任せにしないで、「いっしょにやりましょう」と伝える側と相手をチームワーク化する切り口です。「みなさん、わたしといっしょに授業をつくりましょう」という暗黙のメッセージが学生に伝わったんだと思います。普段の講演でも、こういう「つかみのフレーズ」ってあるんですか?

本田 そうですね。最近でこそあまり言ってないけれど、その日の講演のテーマに合わせた「つかみ」は、いつも考えていますね。

佐々木 一般の講演だと、最初から本田さんの話を聞きたいって思って来る人たちがメインですけれど、学校の授業だと、単位を取るためたまたま授業を受けに来ましたって学生もいますよね。そういう人たちをどう振り向かせるかっていうのは難しいですよね。

 本田さんたちの講演を見ていて、本当に「伝え方」が重要なんだっていうのを感じました。

本田 『伝え方が9割』の中の「『イエス』に変える3つのステップ」に、「1.自分の頭の中をそのままコトバにしない」「2.相手の頭の中を想像する」「3.相手のメリットと一致するお願いをつくる」って書いてあるじゃないですか。

 これは、ひとつのお願いをつくるときももちろんそうだけれど、講演とか本のような、もっと大きなパッケージについても言えること。1回の講演も一冊の本も、どちらも誰かに何かを伝えることに変わりはないでしょう。それって全部、僕は相手への「お願い」だと思っているんです。

 伝える相手の頭の中を想像していないし、相手のメリットとも一致していない。それじゃあ、いくらいいことを言ったとしても、いくらいいことが書いてあっても、「別にいらないし、関係ない」となってしまう。

 相手に合うように料理をすること。講演をするときも、自分が本を書くときも、何かをプロデュースをするときも、いつもそのことを考えていますね。

佐々木 なるほど。本も講演も、「自分の頭の中をそのままコトバにする」段階で出してしまってはダメだってことですね。

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