靴下のにおいを嗅いで猫の口が半開きになる理由

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脱ぎたての靴下のにおいを嗅いだ猫が、口を半開きにして、ぽかーんとしている姿を見たことありませんか?無理やりにおいを嗅がされたときもするようですが、自分からわざわざにおいを嗅ぎにいき、ぽかーんとしている子もいます。猫の不思議なこの行動、その理由を調べてみました。

■口の中にある器官を使って猫はにおいを嗅いでいる

口を半開きにしている際、実は猫はにおいを嗅いでいるのです。猫の口の中にはヤコブソン器官というものがあり、そこでフェロモンや尿のにおいを嗅ぐことができるのです。

このヤコブソン器官は猫の上あごの部分にあり、上あごの歯茎部分にあいた小さな二つの穴からにおいを嗅ぐことで、どんな種類のにおいなのかを分析できるようになっています。

この器官は人間以外の哺乳類(一部のコウモリや、水の中に住む哺乳類を除く)には、ほとんどついている器官で、犬や馬、牛や羊や象などにもあります。馬がよく歯をむきだして、笑っているような顔を見せることがあります。猫が口を半開きにするのと同じで、ヤコブソン器官からにおいを嗅いでいるのです。この動物特有の行動のことを「フレーメン」と呼んでいます。

■相手の猫が仲間かどうかを嗅ぎ分ける

オス猫は犬と同じように、おしっこをあちこちにかけてマーキングし、自分のなわばりを主張する習性があります。猫がフレーメン反応をするのは、このなわばりを嗅ぎ分けたり、おしっこのにおいが自分の仲間かどうかを嗅ぎ分けたりする必要があるからだとか。

岩手大学農学部の研究によると、オス猫の尿には大量のタンパク質が含まれており、さらには猫にしか見られないコーキシンという名前の独自なタンパク質が含まれているとのこと。

このタンパク質に反応しているのかどうかはまだわかっていませんが、猫はフレーメンすることで、そこからいろんな情報を嗅ぎ取っているということは言えるかもしれません。

■脱ぎたての靴下のにおいを嗅ぐのは分析するため

人間の靴下のにおいを嗅いで猫がフレーメンするのは、「これはどんなにおいなのか」、「誰のにおいなのか」を嗅ぎ分けて分析するためにやっているのではないかということが考えられます。

あまりの臭さにぼうぜんとしているようにも見える、猫のかわいいフレーメン行動。理由はともあれ、立派な一人前の猫が行う、ごくごく本能的な行動なようです。決してあなたの靴下のにおいが臭すぎて「がく然」としている訳ではないので、どうぞ御安心を。