安倍晋三首相の「アベノミクス」だけでなく、日銀総裁に就任した黒田東彦氏による「黒田バズーカ」で経済は上向きになってきたと言われている。ところが、好転しているようにみえる今の状況は、見せかけだけだと大前研一氏は言う。

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 円高・株高基調が続いており、デパートなどでは高級品の売れ行きが伸びているという。これらは「黒田バズーカ」、黒田東彦・日銀総裁が実施した異次元金融緩和策の影響だという。だが、今の日本は非常に危険な状況なのである。

 実は、アメリカなど海外のヘッジファンドは、日本国債暴落を仕掛けるタイミングを虎視眈々と狙っている。以前から「日本売り」を公言しているヘイマン・キャピタル・マネジメントのカイル・バスをはじめ、ペレラ・ワインバーグ・パートナーズのダニエル・アーベス、グリーンライト・キャピタルのデービッド・アインホーンといった面々である。

 たとえば、バスは円安局面を想定して、すでに約1000億円規模の儲けを稼ぎ出したとされる。今は国債利回りが跳ね上がった瞬間にスワップ取引などでサヤを抜こうとしているのだろう。もし、いったん国債価格が下がり始めたら、その瞬間に、今回の円安局面でやはり10億ドル(約980億円)近い利益を得たとされるジョージ・ソロスやゴールドマン・サックスなどの常連投機筋も合流し、一斉に日本国債の売り浴びせを始めるだろう。

 では、生活者はどうやって金融資産を守ればよいのか? ヘッジファンドの動きにかかわらず、長期的に暴落の危険性が高い国債は持っていてはいけない。銀行に預けておくのは国債を買っているのと同じだから、定期預金なども危険だ。

 しかし、REIT(不動産投資信託)は、この3か月で理屈もなく上がりすぎている。そうなると、前述したように、もう高くなってはいるが、株式や外債に変えるくらいしか手はないだろう。たとえば、小国で公的債務の少ないクオリティ国家かオーストラリアやカナダなど資源国が出している公債、値上がりしていない優良なグローバル企業の株式を買っておくのが賢明かもしれない。

※週刊ポスト2013年5月17日号