今、?アベノミクス?が話題を集めているが、一方で長きにわたって世界中の個人投資家たちに学ばれている投資法がある。そのエッセンスを紹介しよう。

ウォーレン・バフェット

世界経済に大きな影響力を持つバフェット氏。最近ではオバマ大統領が打ち出した富裕層への増税案を支持し、話題に。©AFP=時事

 米国の著名な投資家、ウォーレン・バフェット氏をご存じだろうか。11歳で株式投資を始め、80歳を超えた現在まで年率20%以上のリターンを出し続ける?世界最強?の呼び声が高い投資家だ。金融界に多大な影響力を持ち、世界経済を動かす重要な人物のひとりだ。

 バフェット氏の投資法は世界中で研究されているが、GINZAXグローバル経済・投資研究会代表の大原浩氏はこう解説する。

「バフェットは何も難しい理論を駆使しているわけでなく、?安く買って高く売ること?をひたすら実践しているだけです。当たり前じゃないかと思いがちですが、様々な情報が飛び交う中で、自らの信念に徹することはなかなか難しいものです」

 例えば、多くの個人投資家が招いてしまう?高値づかみ?。株価の上昇局面に乗り遅れまいと慌てて投資した結果、その後の反動で株価が値下がりし、損をしてしまうことだ。バフェット氏はどんなに先行きが有望だと言われても、自分が納得する価格でなければ絶対に買わない。

「とにかく徹底して企業の決算書などを読み込み、その会社の本当の価値である『定価』を自ら割り出します。そして株価が定価よりも割安と判断した時しか買わない。安くなるまで数年待つこともよくあります」

◆バフェット氏が重視する「3+1」の指標◆

 下にまとめたバフェット流「七つの金言」。これは大原氏がバフェット氏の投資法を研究し、わかりやすくまとめたものだ。例えば、「自分の知らない企業には投資しない」。実際、これまでの保有株を見ていくと、コカ・コーラのようないわば?ローテク企業?が多い。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏とは大親友だが、同社を含めてIT系企業にはほとんど投資した実績がない。

「投資に関しては非常にシビア。他人の勧めや情に流されて株を買うようなことは絶対にありません」

バフェット流「七つの金言」

 大原氏の見立てでは、バフェット氏はさらに具体的に3つの指標を重要な投資基準にしているという。

(1)ROE(株主資本利益率)=15%以上

(2)PER(株価収益率)=10倍以下

(3)売上高純利益率=10%以上

「ROEとは企業が投資家から預かった資金をどのくらい効率的に活用して利益を生み出しているかを測る指標で、バフェットが『最も重要視する数値』。PERは株価の割安性を測る指標です。また、売上高純利益率は簡単に言うと、売上に占める利益の割合。これが10%以上ですので、例えば、商品を100円で売って10円も儲からないような企業には投資しないということです」

 3つの指標はいずれも個人投資家が簡単に調べることができるものだ。一方、意外なのは有利子負債(企業の借金)に対する考え方だという。

「有利子負債は純利益の5倍以内ならOKという基準が挙げられます。バフェットは企業が借金をして新たな成長に生かすことに関しては肯定的。むしろ日本企業によく見られる?無借金経営?をあまり好みません。ほどほどの借金は成長の源泉になると考えているようです」

◆バフェット氏の目に適う日本株とは?◆

 では、日経平均株価が急騰し、大半の企業の株価も上昇した状況の中で、バフェット氏の目に適うような割安な日本株は残っているのだろうか。「条件付きながらまだまだあります」と大原氏が続ける。

「例えば、『ローリーズファーム』や『グローバルワーク』などのカジュアル衣料チェーンを展開するポイントは、バフェット基準を概ね満たし、デザイナーを社内で抱えないというビジネスモデルもユニーク。あるいはコンビニにATMを置くだけで手数料が得られるセブン銀行、アジアでブランド力を持つ良品計画などもほぼ基準を満たし、確固たる収益基盤も持っています。サンリオも有望ですが、PERが20倍前後と高いため、バフェットならもう少し下がるのを待つでしょう(笑)。ドクターシーラボも基準にはもう一歩ですが、今から待ち続けてもおもしろいでしょう」

 バフェット氏に言わせれば、待つことも?投資の一環?ということか。

※表の掲載は企業コード順。株価は2月4日時点のもの。
記載内容はあくまで投資の参考にしていただくもので、実際の投資にあたってはご自身の判断と責任において行なってください。

大原 浩

大原 浩
■GINZAXグローバル 経済・投資研究会代表

1960年静岡県生まれ。国内外の金融機関で為替や債券、デリバティブなどを手掛ける。独立後はバフェット氏の研究も続け、『日本株で成功するバフェット流投資術』などの著書も。