15歳未満の子どもの推計人口は、前年より15万人少ない1649万人に。総務省が4月1日現在の状況を発表しました。1982年から続く減少傾向は変わらず、これで32年連続の減少となっています。

 子供を産まない。その大きな理由は、経済的な不安が大きいようです。こうも不景気が続くと、なかなか出産・子育てに踏み込めないもの。なかには、結婚しても子どもを作らないことを決めた夫婦もあるようです。

 いまの日本に、「もう少し赤ちゃんや子どもの声が聞きたい」。こういった願いから、子どもを作らない夫婦の姿を描いたのが、石田衣良氏の新作『マタニティ・グレイ』です。

 おおらかな夫、お気に入りのマンション、やりがいのある仕事......。キャリアウーマンの雑誌編集者・千花子の生活には、何一つ不自由なものはありませんでした。そんな千花子は、子ども嫌いだったのですが、夫も同様の考えを持っていたため、結婚後も2人だけの時間を楽しむことを決めていました。しかし、予定外の妊娠が発覚。千花子は、人生の見直しを迫られるのです。戸惑いながらも出産を決意した千花子でしたが......。

 現代を生きる女性が突然、妊娠・子育てに直面した時、何を考え、どう行動するか。

 石田氏は、子どもが好きじゃない人、欲しくない人に対して理解を示しながらも、「今の自分が全てではない」「自分の気分が変わることもある」と、出産・子育てをすすめています。

 「あまり頭で考えず、体に素直になり動物として生きてみては」というのが、今回の石田氏のメッセージ。私たちの生活は、あまりに情報が多すぎるのかもしれません。同書は、「もっと本能で子どもと向き合ってみよう」と思える一冊です。



『マタニティ・グレイ』
 著者:石田 衣良
 出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)
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