社内不倫から抜け出せない。どうすればいいか −超訳「人間キリスト」の言葉【2】

聖書は古の書物ではなく、私たちの生活にも優れた示唆を与えてくれる……。大ベストセラー『超訳 ニーチェの言葉』の著者が、職場や家庭でのビジネスマンの尽きぬ悩みに、独自解釈した聖書の言葉で応える。

聖書において不倫、つまり自分の伴侶以外と性的関係を持つことを「罪」として戒める言葉はたくさんある。有名なモーゼの十戒(旧約聖書 脱出の書 第20章)の「汝、姦淫するなかれ」。不倫を他人の伴侶を盗むと解釈すれば「汝、盗むなかれ」もそれに当たるだろう。

職場に恋愛を持ち込むだけでも仕事に支障をきたしそうだが、社内不倫となると振り向ける気持ちも時間も相当に奪われるので、仕事上はかなりのマイナスになりそうだ。仕事に気持ちが入らなくなれば、ミスもしやすい。

不倫を抜け出す一番の方法は仕事を一生懸命やることだ。仕事に前向きになって忙しくなれば、不倫をする余裕はなくなるし、社内不倫が仕事や出世の妨げになりかねないことに気がつけば、清算する気持ちにもなりやすい。

それでも不倫関係から抜け出せないのは、障害があるほど余計に燃え上がる部分があるからだろう。しかし、秘め事はいつかバレる。隠されたものは必ずあらわになるというニュアンスの言葉も聖書の中にはたくさんある。「神は闇に潜むものを照らす」(新約聖書 コリント人への第一の手紙 第4章)のである。

ことがあらわになってから会社や家庭で費やさなければならないエネルギー、そして失うものの大きさを考えるべきである。

----------

聖書の言葉

人の罪はいつあらわになるのか。
ある人の罪は裁きを
受ける前にすでに
あらわになっている。
また別の人の罪はあとで
ゆっくりとあらわになってくる。
罪ばかりではなく、人がなす
良い行ないも同じことだ。
いつまでも隠され続ける
ということはない。
必ず、あらわになる。

ティモテオへの第一の手紙 第5章

----------

■今度部長になる。人の上に立つ心構えとは何か

福音書とはイエス(バルバロ訳ではイエズス)の言行録のことである。「福音(エヴァンゲリオン)」は「いい知らせ」という意味で、それは「神の国が到来した」というイエスのメッセージのことだ。

新約聖書にはマタイ(バルバロ訳ではマテオ)、マルコ、ルカ、ヨハネの4人が記した福音書が、それぞれ収録されていて、どの福音書にもイエスがどのように愛を教え、十字架にかけられたかが、それぞれの視点で書かれている。

右の言葉は「マルコによる福音書」の一節である。「マルコによる福音書」は4つの福音書の中でもっとも短く簡潔で読みやすい。マタイとルカの福音書の原資料になったぐらいで資料的価値も高い。

右の言葉を語っているのはもちろんイエスである。「自分をナンバー2にしてほしい」と言った弟子に向かってこのように諭したとされる。集団が組織化されてくると、イエスの弟子たちでさえ誰が上で誰が下という序列に関心が向く。それを戒め、人の上に立つ者の心構えを説いた言葉である。

偉ぶっているだけでは本当の尊敬は得られないし、人はついてこない。イエスは「召使い」「奴隷」というきつい言葉を使って、自ら率先して黙々と働き、皆のために尽くさなければならないという。

人がついてこなければ、人の上には立てない。人の上に立つためには、人がついてくるような態度を示さなければならない。人の上に立つものこそ、へりくだらなければいけないのである。

----------

聖書の言葉

首長として立てられた者は
人々を支配する。高官や
官僚たちは人々の上に立ち、
思うままに権力をふるって
やまない。しかし、私は言う。
あなたたちの間では
それと同じように
してはならない。自分が偉く
ありたいのならば、みんなの
召使いにならなければならない。
自分がみんなの上に
立ちたいのならば、
みずから誰にでもこころよく
仕える奴隷に
ならなければならない。

マルコによる福音書 第10章

----------

※フェデリコ・バルバロ訳『聖書』に準拠

----------

作家 白取春彦
青森県青森市生まれ。ベルリン自由大学で哲学・宗教・文学を学ぶ。哲学と宗教に関する解説書の明快さには定評がある。著書に『超訳聖書の言葉』『超訳 ニーチェの言葉』『この一冊で「聖書」がわかる!』などがある。

----------

(作家 白取春彦 構成=小川 剛 撮影=小原孝博)