「大阪出身者がお好み焼き好きであるとか、たこ焼きを食べたがるとか、ああもう、恥ずかしいのだ、どうしても。ベタベタやんけ。たこ焼き、お好み焼きの佇まいそのものがあまりにも"大阪"すぎるからだろうか」

 と、大阪名物のお好み焼き・たこ焼きに苦悩しているのが、著書の『きいろいゾウ』が映画にもなった、作家の西加奈子さんです。書籍『ごはんぐるり』のなかで、この悩みを打ち明けています。西さんは、イラン・テヘラン生まれですが、大阪府堺市南区で育ったコテコテの大阪人。他の大阪人とおなじように、大阪名物が大好きなのですが、このことを公言することが非常に恥ずかしいというのです。

 人からたこ焼きは好きかと聞かれると、「うーん、まあ、そうですね。大阪ではおやつみたいなもんやし、みんな一応好きなんと違うかな」と嘯いてしまうのです。内心は、「たこ焼き、ごめん。ほんまは、大好きやねんで。帰ったらめちゃくちゃに愛したるからな!でも、恥ずかしいねん」だそう。なんとも、複雑な様子......。

 大阪人ゆえに、ベタさや芸のなさに恥ずかしさを覚えているのでしょう。このような感情は、他の地域の人も抱いているのかと、西さんは疑問を抱いているようです。

 「あるいは名古屋の方も長崎の方も、ひつまぶしやちゃんぽんに、"名古屋の味だみゃー""長崎名物たい"というような気配を、そしてその気配に対するなんともいえない気恥かしさを、感じているのだろうか」

 このゴールデンウイークに国内旅行をする人も多いでしょう。そこに複雑な気持ちがあるかどうか、西さんの代わりになって、地元の人に聞いてみるのも面白いかもしれません。



『ごはんぐるり』
 著者:西 加奈子
 出版社:NHK出版
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