【就職活動】″学歴差別・男女差別″は本当か!? 現役人事が語る。

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就職SNSを閲覧していると、「やっぱり俺の大学名じゃ、ES(エントリーシート)通らなかった。」という書き込みや、「同じ大学の友達(男)にはもう説明会の通知きているけど、わたし(女)にはこない。男しか採らないのかな」という書き込みも。いわゆる学歴差別、男女差別論争です。

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この話題は過去からずっと企業ごとに「ある」「ない」と永遠の議論がされています。本当のところはどうなのか、ポイントを追っていきたいと思います。

■学歴差別・男女差別はあるのか? ないのか?

答えは「ある」。いや「できる」なのです。ほとんどの就活生が就職サイトを使ってエントリーしてきますが、ある企業では、このような作業を行います。就職サイトの会社側管理画面では、エントリーした就活生の情報画面に、就活生のサイトからは見えない、選考情報を付加する画面があります。

本来の目的は、たとえば一次面接評価という項目を作って、そこにAやBとか評点をいれるのです。そして、一次面接でA評価だった人に、対象者以外にクローズされている二次面接予約画面への誘導する案内を出したり、内定出しをいつやったか日付を入力しておいて、内定を1ヶ月以上保留している学生に「就職活動の状況はいかがですか?」とメールを送ったりする。あたりまえの機能なのですが、この項目を大学のランキング付けに使う企業が後を絶ちません。つまり学歴差別データ作成です。

インターネットでの就職活動が当たり前になり、就職サイトができる前に比べて応募者が30倍になったという企業もあります。しかしそれは、まさしくインターネットからだと簡単にエントリーできるため、応募者の全体的な志望意欲は相当落ちているのが現実です。つまり「とりあえず応募」という学生が圧倒的多数なのです。

そして、会社の中では専門の派遣社員を使って、応募者の出身大学を偏差値順に、たとえばABCDEとランク付けして、先ほど説明した選考情報欄に、「○○大学 ランクA」「××大学 ランクD」と入力していきます。そしてもう一つの男女差別については、草創期の就職サイトでは、管理画面に男女が表示されていましたが、男女雇用機会均等法ができて、この項目が廃止されました。しかし廃止の時、企業からなんとか復活させられないかとの声が「多数」、運営会社に要望としてあがったそうです。

そして、学校のランクや性別を自社で入力したデータを使って、「大学ランクAorB」and「男」と操作すると、そのリストが出てきます。そしてそのリストに出てきたエントリー者に、クローズされている説明会案内の通知を出して予約を受け付けるということが行われていたり、説明会案内はしているよと、説明会が満席になった後にその説明会告知を、わざと対象外の就活生に送ったり、とりあえずエントリーシートはエントリー者全員に送るが、返信しても、見るのはレベルAとBの大学の男子学生のものだけという、形式上の平等を装う企業もあります。

もちろんそのようなことをせず、すべてスタートラインをオープンにしている企業もありますので、すべての企業がそうだとは思わないでください。またこれで被害を被るのが、一見異性に見える名前の人です。男性でも「美貴」であったりすると企業側では判断が付かず、女性と判断されてしまいます。

■なぜ男女差別は起こるのか

学歴差別の前に男女差別の話をしましょう。企業にとって、新卒というものは、定年まで働く人をイメージして採用を行っているのがほとんどです。つまり長期のキャリア育成プランに組み込まれていくのが普通の流れと企業側は考えています。しかし、現実は新卒入社の3割近い28.8%が3年以内で退職する状態(※出典 厚生労働省 若者雇用関連(3年を計るため、平成21年3月卒データより)で、企業規模が小さいほどその割合は高くなっています。

3年間、新卒は教育期間と考えて、せっかく研修などに投資してきたのに、辞めてしまうのは企業として痛手です。そこで、企業は早期退職を防止するために研修を充実したり、先輩をつけて、マンツーマンで指導するなどの手を打っています。しかし、もはや限界と、最初からあきらめて、大量採用・大量離職を容認する人事体系にしてしまうこともあります。そんな中、女性は、さらに辞めやすい存在とされています。ひどい話ですが、このような意見があります。(あくまで一例です)

○女性は結婚すると辞める。辞めなくても妊娠・出産で辞めるかもしれない。育児休業から復帰しても、勤務日数や時間に制限がついたりして、扱いが面倒だ。産前産後休暇中は社会保険料の免除もないし、それなら最初から採らなければよいではないか。
○厳しい仕事に耐えられない。うちは体育会系企業だからな。
○女性を昇格させると、部下の男性がやりづらいだろう。

ひどい偏見だと思います。これをみて、法律はどうなったのと思うでしょうが、たしかに前述の「男女雇用機会均等法」という法律はあります。この法律は穴だらけで、たとえば新卒を20人採るとして、男性10名・女性10名を採用しなさいということではなく、男女に等しく選考の「機会」を与えなさい、という法律なのです。「男女雇用均等法」ではないのです。ですから、男性20名になりましたとなっても、あくまで「選考のチャンスは与えましたよ」との抜け道を、堂々と高速道路並の広さで作ることのできるザル法です。

しかし、女性の方は、よく考えてください。逆に差別してくれた方がよい場合があります。いまだ化石化した偏見に満ちた男女差別を行っている会社を事前に判別するチャンスととらえてはいかがでしょう。そんな差別会社に入って幸せでしょうか。世の中には、そんなことは関係ない。むしろ女性の方がいい仕事をすると評価する企業に就職した方が幸せだと思います。(これも逆差別ですが・・)

■学歴差別は学生側にも原因がある

学歴差別をする企業には3種類あります。

1.「いわゆる上位校学生を採用して、学歴優秀な社員の多い企業と思わせたい」という考えで差別する。よくオーナー企業で起こることです。いわゆるオーナーの見栄です。

2.「社内に学閥が未だにあって、そのレベルの大学からしか採用しない」という考え、もはや絶滅したと思われていた「学閥」をまだ残している企業、特に大手企業に多い傾向です。

3.「下位校の応募者はレベルが低い。だったら最初から上位校を選考対象として、下位校は内定者がそろわない時に採用活動すればいい。あるいは、応募者数が多すぎて、とても全員に会っていられないから、上位校のみ選考対象とする」これも大手企業や人気企業に多いケースです。いわゆる「足きり」です。

1.2については、どうしようもありません。むしろそんな企業に入らない方が得策です。
しかし問題は3です。本当に下位校(この表現も好きではありませんが)の学生はレベルが低いのか。筆者としては「そんなことはない」と書きたいところなのですが、申し訳ない「レベルが低いことは事実です」。しかし思い違いをしていただきたくないのですが、下位校にも優秀な学生さんがいます。しかし、総じてみると、上位校の学生の方が、「就職に対する心構え・準備」が違うのです。

それはなぜか、入学したときから、常に卒業後のキャリアビジョンができあがっているからです。現に就職活動を始める時期をみても、上位校の学生が下位校の学生より、平均して2ヶ月は早く、下位校では4月も終盤の今でも就職活動を始めていない(卒業後の進路が決まっている人は除く)人がいるそうです。これでは学歴差別以前の問題で、話になりません。すでにエントリーシートなどの書き方に慣れ、面接の場数を踏んでいる学生と、いまだおぼつかない始めたばかりの学生、企業側がどちらを高く評価するかは、わかりきっています。そのため、企業は「学歴で差別というより区別」してしまうのです。

「なんだ、結局学歴か」と思う方も多いでしょうが、実際の例であげましょう。会社の試みで、大学名秘匿選考を試験的に2年やり、一通り成功したので、いまでもその採用方法を続けています。その方法は、まずエントリーシートにあえて在籍大学を記入する欄を設けず、面接時も対応する社員に大学名は教えないで、先入観を与えない面接をする。そして30名ほど採用しましたが、結果として毎年、率でいうと、上位校3割・中位校5割・下位校2割です。

もちろん上位校は他社からの引き合いも多く、内定辞退率も高いので、内定を出した率で計算すれば、もっと上位校は増えています。頭がよいからではありません。選考では一切学力を問う試験(SPIなども)やりませんでした。先ほどの「心構え」「意欲」が全く違うのです。しかし、ここで注目していただきたいのが、下位校も2割採用に至っているという数字です。この2割はなぜ採用に至ったのか。

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■これから学歴に関しては、どう基準が変化するのか

男女差別はともかく、学歴差別については、いまだ学校名に固執して偏見をもっている会社以外は減っていくものと思われます。現にいままでは説明会で書いていたエントリーシートを説明会前に書かせる企業が増えていますね。これは、学歴差別をやめて、白紙の状態から、エントリーシートを事前に書かせて、どれだけ人事が納得する充実したものを書けるかに、採用の焦点を絞ろうとしているということです。

理由としては、上位校でもとんでもない劣等生(大学3年間で堕落した人。学歴のプライドだけ高くて、使い物にならない)がおり、ただでさえ席数限定の説明会にそのような学生を呼びたくないということと、さきほど書いたとおり、下位校でも優秀な学生がいるのを取り逃がしたくないからです。人事も競争社会ですから、人数を集めればよいだけでなく、優秀な学生を見いだすのが重要な役割です。辞退率が高い上位校より、他社が目をつけていない下位校の優秀な学生にも、目を向けています。あきらめないでください。

たとえ、優秀ではなくても、就職に対する心構え、意欲が、それをカバーすることも十分に考えられます。就職活動は紙のテストではないのです。就職サイトに応募しても音沙汰がないときは、自分で人事に問い合わせるくらいの気概が必要です。人事が高飛車で偉いわけではありません、本当に入りたい会社ならば、それくらいは「すべき」と言いたいのです。

最初から「どうせ〜○○だから」「やっても無駄だよ」と自分の価値を卑下する人は、一生に一度しかない新卒の就職活動では、会社の入社券である「内定」にたどり着けないでしょう。たとえ、その人が日本最高峰の大学生であったとしても。

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