世界に冠たる保険大国の日本。病期やケガなどの際に、生活をサポートしてくれる大事な備えだ。

 だが、「医療保険はお得でない」という見方もある。『生命保険のウラ側』(朝日新書)を書いた元大手生保営業職員で保険コンサルタントの後田亨(うしろだ とおる)さんは、「保険の利用価値は、保険料と保険金の倍率を計算すれば簡単にわかります」という。実際に試算してみた。

 30歳の男性が外資系生保で期間10年、保険金1千万円の生命保険(掛け捨て)に入った場合、加入直後に亡くなると、保険金は払った保険料の約8800倍、加入後10年で亡くなると同73倍。

 同じようにがん保険の場合は、診断一時金100万円の売れ筋商品で計算すると、加入直後こそ170倍だが、10年後で5.7倍、30年後で1.9倍となり、「がん保険の利用価値は定期生命保険(掛け捨て)より1桁少ない」という結論になった。

『医療保険なんていりません!』の著書がある荻原博子さんは、高額医療費は健康保険でカバーできる部分が大きい点に着目。「保険リストラは医療保険から、は定石」と指摘する。

 医療保険で生保会社が出した1件あたりの入院給付金は業界平均で12万円程度、手術を伴う場合でも23万円程度で、加入者からみて「予想外に少ない」。一方、高額医療は公的な負担部分が大きく、総額が100万円かかったとしても、一般的な所得の場合、自己負担は月9万円程度だ。

 終身医療保険に支払う保険料は一般に総額200万円を大きく超すが、生涯に2度大病して60日間入院した際に受け取れる給付金は、(入院給付金日額1万円の場合)60万円。手術をしても100万円程度だ。

 保険に入らず、もしもの病気に100万円ためておくのとどちらがお得か。かなりの大病をしないと元はとれない仕組みなら、健康に気をつけ、貯金しておいた方がよさそうだ。

 女性向け商品の場合、「ボーナス」や「お祝い金」と呼ばれる生存給付金が人気で、プロはそうした商品を薦めるが、自分ではまず買わない。後田さんは「プロがあまり入らない保険は医療保険」という。

AERA 2013年4月29日号