富士山を世界文化遺産登録へ。6月には、ユネスコの世界遺産委員会による審査が行われる予定で、その結果次第では、小笠原諸島、平泉に続く日本の世界遺産となります。

そんな「富士山」ですが、関東や中部の至るところに、富士見町や富士見が丘といった地名があることをご存じですか? これは、その土地から富士山を眺められることに由来します。『西の魔女が死んだ』『エストニア紀行』の著者・梨木香歩さんが、新作『鳥と雲と薬草袋』で「富士」にまつわるエピソードを綴っています。

 この富士の地名、実は青森県弘前市にもあるそうで、これは富士山そのものではなく、岩木山のことを指しています。岩木山は地元で津軽富士と呼ばれているのです。これと同様に、滋賀県大津市の富士見台は近江富士(三上山)、大分県別府市の富士見町は豊後富士(由布岳)をあらわしているのです。こういった「富士」は「郷土富士」と呼ばれ、全国に314座以上というのです。どの山もなんとなく富士山の形に似ていたります。昔から日本人は、この国一番の山・「富士山」を身近に感じていたのでしょうか。まさに富士山は日本人の心。それを知るとますます世界遺産登録が楽しみになってきます。

 「小さな頃からあの円錐形の山を見て大きくなった人と、そうでない山を見て大きくなった人間とでは、"美しさ"というものの基準が、どこか違うような気がする」(梨木さん)

 富士山といえば、「これぞ山」と言えるほど美しい円錐形が特徴。6月の審査結果が今から楽しみです。



『鳥と雲と薬草袋』
 著者:梨木 香歩
 出版社:新潮社
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