『図書館戦争』の佐藤信介監督にインタビュー

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SF映画『GANTZ』(11)2作を大ヒットさせた佐藤信介監督の最新作は、有川浩の人気小説の映画化『図書館戦争』(4月27公開)。主演は『COSMIC RESCUE』(03)以来、10年ぶりに組んだ岡田准一、ヒロインは榮倉奈々だ。ダイナミックな戦闘シーンと、ドキドキするツンデレラブストーリーを見事に融合させた佐藤監督にインタビュー。本作に懸けた並々ならぬ思いを聞いた。

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『図書館戦争』は、武力による検閲から本を守る防衛組織、図書隊の活躍を描くパラレルワールドの物語だ。主人公・堂上篤(岡田准一)が所属するのはその精鋭部隊で、部下の笠原郁(榮倉奈々)たちを鍛え上げていく。原作が絶大な人気を誇り、既にアニメ化されている作品だけに、色々なことを視野に入れてビジョンを作り上げていったという佐藤監督。「これだけのファンがいて、これだけ壮大な世界観が構築されている作品を、単なる“映画化”として撮るというわけにはいかなかった。やるからには、さらにその上を目指す、これは映画だ!というものにしたいと思いました」。

こだわったのは、戦闘シーンのリアリティだ。「『図書館戦争』の世界観は、一見、現代とそう変わらないように思えるけど、大きく違うのは、日常風景の中で現代戦が行われていること。そこをしっかりとリアルに描かないと、腰砕けの作品になってしまう。バックが確かな存在感を持っていないと、堂上や郁たちの物語に入っていけないですから。だからといって、戦場カメラマンみたいに手持ちのカメラで撮るリアルさを出すという意味ではなく、自分の美意識みたいなものに沿って、戦闘シーンで人間の気持ちをどう醸すかということに注力しました」。

10年ぶりに組んだ岡田准一からは、余裕のようなものを感じ取ったそうだ。「昔より自信がついていても、決してゴリ押しはしない、腰の座った自信の持ち方をされていました。僕たちは岡田さんが出されるものを尊重できるし、岡田さんも僕たちが言うことを尊重してくれる。そういう関係で取り組めたことが良かったです。岡田さんにとっても、僕にとっても、この10年は大きかったですから。やって良かったというか、やるべき世界観だと思えるような作品でご一緒できたことが嬉しかったです」。

岡田と現場でディスカッションをして芽生えたシーンは数多くある。「たとえば、一番最初に堂上と郁の関係を描くシーンで、岡田さんが警戒しながら、図書館を見回りしている時に、郁を叩くシーンがあります。シナリオにはなかったシーンですが、ふたりで色々と話していくうちにあのようになりました。あのシーンで、郁と堂上の関係性が一発でわかります。ああ、これだねと。それが始まりの一歩で、そこからは本当にスムーズに行きました」。

堂上と郁のツンデレラブストーリーは、戦闘シーンと並ぶ見どころだ。「ふたりが想いを交わし合うまで、長い時間を費やしていくところが面白いし、それが魅力です。お互いに思っているけど、言葉では踏み出せず、行動でチラッと見える。その辺のくすぐったいところを描きたかった。簡単に言えば、“キュンキュン”ですね。人の心がちょっとずつ動くのが一番ドキドキします。戦いの部分も力を入れたけど、そっちはそっちですごく好きで撮っていました」。

では、こだわりの“キュンキュン”シーンとは?「車の中でふたりが会話をするシーンは、かなり重要視しました。密室空間で、ほぼ動かずに話をしていくんです。同じように、テントの中のシーンは最も注力したシーンです。自分的にも好きな感じでやれました。限られた狭い空間で、最大限に良さを引き出そうとしました。また、テントの中をたっぷり撮ることを前提に、外の嵐も徹底的にやりました。巨大な扇風機を入れたら、『え!?この前でやるの!?』と、みんなが驚いていました。実際、容赦ない感じで、放水の量も半端じゃなかったし、水が口に入ってセリフも言えない状態でしたから。激しさと優しさ、撮影自体がツンデレ化していました(笑)」。

最後に、本作の見どころについて聞いた。「内戦が起こっているようなフィクション性が高い作品で、教官や先生がいる柔らかいタッチの青春群像劇みたいなものができたことは、すごく良かったです。僕はこれまで、いろんなジャンルの映画をやってきたように見えるけど、実はそうではなく、なかでも大きな柱の2つがその要素でした。本作は、その2つを合わせたような映画になったと思います。また、岡田さんと10年ぶりに仕事ができて、それを今までのチームと一緒にやれたという意味では、自分にとってエポックメイキングな作品となりました」。

『図書館戦争』はアクションとツンデレラブの両方をとことん追求した佐藤監督ならではのエンターテインメント作品に仕上がった。岡田准一と榮倉奈々のキャスティングも絶妙で、原作者の有川浩も完成した映画を見て号泣したとのこと。大いに期待したい。【取材・文/山崎伸子】