25日、安倍氏は首相に返り咲いたあと、東京裁判や慰安婦を含む、すでに最終結論の出ている歴史問題に繰り返し疑問を呈し、「適切な時期に、21世紀にふさわしい未来志向の談話を出したい」と述べた。資料写真。

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2013年4月25日、人民日報(電子版)の報道によると、日本の安倍晋三首相は24日の参院予算委員会で、麻生太郎副総理兼財務相など複数の閣僚による靖国神社参拝に対する中韓両国政府の非難について「閣僚が英霊に尊崇の念を表するのは自由であり、当然のことだ」と述べた。安倍氏は以前の参院予算委員会で、日本による植民地支配と侵略の歴史を謝罪した「村山談話」について、そのまま継承することはないと表明。「侵略の定義に関しては、学界的にも国際的にも定まっていない」とも述べた。

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■日本の民族主義を一層刺激

「村山談話」は第2次大戦終結50周年の際に、当時の村山富市首相が発表した談話だ。村山氏は日本が国策を誤り、植民地支配と侵略によってアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えたことを認め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。

安倍氏が植民地支配と侵略の歴史に対する認識を修正したのは今回が初めてではない。2012年の衆院選で安倍氏は侵略の歴史についての定まった評価を覆すべく、「村山談話」などを見直す姿勢を示した。首相に返り咲いてからは、東京裁判や慰安婦を含む、すでに最終結論の出ている歴史問題に繰り返し疑問を呈し、「適切な時期に、21世紀にふさわしい未来志向の談話を出したい」と述べた。

社民党の福島瑞穂党首は24日、麻生氏ら閣僚による靖国参拝について「日本の右傾化は周辺国との関係の一層の悪化を招く」と批判。また「自民党政権は『村山談話』をずっと踏襲してきた」と指摘し、「村山談話」を見直す安倍氏の動機に懸念を表明した。

朝鮮中央通信は24日の論説で「日本が靖国神社によって軍国主義文化を積極的に後押しすることは、北朝鮮および他のアジア諸国に対する多大な侮辱と挑発であり、日本自身を不幸な歴史に陥れる犯罪行為でもある」と指摘した。

韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は24日、メディアとの昼食会で「歴史に対する正しい認識なしに、日韓両国が未来志向の関係を発展させるのは難しい。右傾化は日本自身にとってなんのメリットもない。日本は深く、慎重に問題について考えてほしい」と表明した。鄭ホン原首相は「安倍内閣の言動は歴史の後退であり、大変遺憾だ」と表明。尹炳世外相は訪中時に「責任ある指導者は正しい歴史観を持つべきだ」と述べた。韓国・漢陽大学日本学国際比較研究所の李康民所長は「歴史の潮流に逆行する安倍内閣の最近の一連の行為は、地域の他の国々との関係に深刻な影響を与える。日韓両国の『軍事情報包括保護協定』交渉の無期限先送り、さらには中断さえも考えられる」と指摘した。

ロシア科学アカデミー東洋学研究所の首席研究員は「『村山談話』は日本の戦争犯罪を反省した、プラスのものだ。日本が1930〜40年代に中国および中国人民に対して犯した犯罪行為とは侵略のことだ。現在安倍氏は『侵略の定義は定まっていない』としている。これは侵略の犯罪行為を弁護している疑いがある。事実を顧みず、侵略行為を曖昧にする安倍氏の姿勢は、かつて日本にひどく侵略された中国や韓国などアジア各国人民の激しい怒りを招くだろう。日本は現在、第2次大戦の結果に対して依然曖昧な姿勢を取っており、戦争責任を戦後明確に認めたドイツとは大違いだ」と述べた。

ドイツ・プロイセン文化協会の会長は「私自身第2次大戦で兵士だった。安倍氏の発言は戦争責任を逃れようとするものだ。だが侵略は侵略であり、侵略の定義に難癖をつけるのは何の役にも立たない。挑発的言動を止めるよう日本の指導者にご忠告する。ドイツ民衆はナチスドイツが第2次大戦中に他国を侵略した歴史について明確な認識を持っている。戦後70年近く、ドイツはずっと深く反省し、かつ被害者に真摯に謝罪することで、国際社会からの尊重を勝ち得た」と述べた。プロイセン文化協会は、民衆が歴史を全面的に理解して、平和を愛し、平和を維持する勢力になるよう、様々な講座を開いている。ドイツの東アジア研究家は取材に「『村山談話』を否定するやり方は全く受け入れられない。こうした動きは大変まずい」と指摘。「安倍氏による『村山談話』の否定は、歴史的責任を認め、省察することと相反するものであり、日本の民族主義を一層刺激することになる」と述べた。

ニューヨーク・タイムズ紙は24日付論説「日本の無意味な民族主義」で「安倍氏とその同盟者は靖国参拝が中国と韓国にとって極めて敏感なことであることを十分に知っている。中韓両国は20世紀、日本軍国主義による被害を深く被った。今回の閣僚による靖国参拝、および『村山談話』をそのまま継承しない動きが中韓両国の激しい反応を招くことは必至だ。各国共に北朝鮮核問題の解決に向けて協力する必要がある時に、中国と韓国を怒らせることを選択するというのは、非常に愚かな行動だ」と指摘した。

■日本のアジア戦略の苦境が浮き彫りに

侵略の歴史への反省と、かつて隣国との関係を多少緩和させた『村山談話』の見直しを図る安倍氏の動きは、近年激化し続ける日本社会の右傾化傾向を反映している。日本・東洋学園大学の朱建栄(ジュウ・ジエンロン)教授は「自民党が2012年の衆院選で絶対多数を獲得してから、日本右翼勢力を代表する政治勢力が大幅な増強を果たした。日本国内では戦争に対する民衆の記憶が薄れ始めているため、平和を訴える声が弱まっている」と指摘した。

歴史問題に対する姿勢の転換は日本のアジア戦略の苦境を浮き彫りにした。歴史上、日本は「脱亜入欧」によってアジアで最も早く近代化の道を歩んだが、後に軍国主義によって戦争へと向かった。第2次大戦後、日本は再び経済的奇跡を成し遂げることで、アジア諸国をリードした。

だが近年のアジア市場の成長、特に中国と韓国の台頭を前に日本はアジアに戻り「失われた20年」から脱却することを急ぐようになった。安倍氏は首相に返り咲いた後、東南アジア諸国をしきりに訪問し、投資について語る一方で、いわゆる「価値観外交」を推し進め、中国周辺の戦略空間を圧縮してアジアにおける自らの地位を押し上げようと企てている。

中韓両国との領土問題、歴史問題での摩擦も深まっている。日本メディアは、かつて棚上げしていた安倍氏の「力強い外交」が徐々に頭をもたげ、日本外交は難しい局面を迎えていると指摘した。安倍氏は「安倍談話」を通じてアジアの指導者としての地位を確立することを望んでいるが、アジア人民がすでに形成した共通認識の改竄(かいざん)を基礎とするのであれば、歓迎されることはあり得ない。

韓国世宗研究所の李泰桓首席研究委員は「安倍氏の論調は国内政治、特に7月の参院選の影響を受けている。平和憲法を改正し、日本を軍事強国にする馬鹿げた企みのための地ならしでもある」と指摘した。韓国・聯合ニュースは「侵略の歴史を否認する安倍氏の発言や閣僚の靖国参拝により、日韓関係の改善は今後一定期間困難となった」と指摘した。

安倍氏は量的緩和政策によって日本の株式市場を押し上げ、経済をいくらか好転させ、内閣支持率を高めた。だが靖国参拝などの安倍内閣の行為については日本国内で批判の声が強い。村山富市氏は少し前に「『村山談話』にはいかなる見直しも必要ない。この談話はすでにアジア各国の人々の心に深く染みこんでいる」と述べた。日本メディアは「経済政策で好評を博した安倍政権に外交問題が暗い影を落とすことになる」と指摘した。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/内山)