福井県民が食べる、消費量日本一の具材を入れた意外なカレーとは?

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福井県北部の一部の家庭では、消費量日本一のある具材を入れたカレーを食べる習慣があるという。それは「厚揚げ」が入った「厚揚げカレー」だ。これまではあくまでも家庭料理の位置付けにあったが、今年に入ってレトルト商品が発売されたり、レストランのメニューとして提供されたりして注目を集めている。

福井県は油揚げの消費量日本一。総務省の「家計調査(平成22〜24年)」によると、全国平均3,180円に対して福井県は5,975円。2位の京都(4,778円)に1,000円以上の差をつけて断トツNO.1だ。福井で「油揚げ」と言えば、食パンほどの厚さの木綿豆腐を30分以上かけて揚げる「厚揚げ」のこと。それだけでも立派なおかずになる、贅沢(ぜいたく)なお揚げである。

福井県民は、なぜこんなに厚揚げを食べるのか。福井は浄土真宗の信仰が盛んな地域なのだが、古くから精進料理に厚揚げが取り入れられ、そのうち一般家庭でも食べられるようになったという。今でも家庭の定番食材で、スーパーに行くとズラリと並んでいる。フライパンで焼いて、大根おろしとネギ、しょう油をかけて食べる「厚揚げステーキ」はみんな大好きな一品だ。

そんな厚揚げをお肉の代わりに入れた「厚揚げカレー」。お豆腐の部分にカレーの味がしみこんで、何とも言えないおいしさを醸しだす。また、厚揚げは良質なタンパク質を含むため、子供向けにもピッタリだ。

実際、福井出身の友人に尋ねたところ、「子供の頃からよく食べていた。どこの家庭でも普通に出てくるメニューだと思っていた」との声。また、某TV番組でも「カレーに厚揚げを入れる県」と紹介されたことがあるが、それを見て、他県では食べないものだと初めて知ったという福井県民もいたという。

このように、福井では当たり前のように存在する厚揚げカレーだが、あくまでも位置付けは「家庭料理」。福井独特の味ながら、カレー店やレストランでメニューとして出されることはほとんどなく、幻のメニューとなっていた。そこで立ち上がったのが、敦賀市にある老舗レストラン「ぼたん亭」のオーナーシェフ桑名俊一さん。地元産の昆布と削り節の和風だしをベースに、厚揚げを入れたレトルトカレー「越前 厚揚げ大豆カレー」(630円)を開発した。

一番のポイントは、なんといっても「厚揚げ」だ。カレーに合う厚揚げを作るために、地元農家の皆さんと協力し、新しい大豆「里のほほえみ」を開発。この大豆を使ってスープをスポンジのように吸う、ふっくらとした厚揚げを作りだした。

もうひとつ注目したいのが、福井特産の「打豆(うちまめ)」。打豆とは大豆をつぶして乾燥させた福井独特の保存食で、10分ほど煮れば柔らかくなるし、料理に少量入れるだけでうま味が醸し出されるなど、大変使い勝手がよい。今回、こちらのカレーには、厚揚げと同じく「里のほほえみ」を使った打豆が加えられている。

この「厚揚げ」と「打豆」のおいしさを引き立てるため、サバやイワシなどを粗く削りだした荒削り節と昆布を使った濃厚な和風だしを作った。また、ルーにスープを溶き合わせる洋風の作り方ではなく、スープにルーを合わせる和風の作り方によって、ご飯にピッタリの和食カレーを完成させた。

実際に「越前 厚揚げ大豆カレー」を食べてみた。パッケージを開けた瞬間から、和風だしのいい香りが! 注目の厚揚げは大ぶりでふっくらフワフワ。カレーがたっぷりと染みこんでいて、食べごたえ十分。大豆本来の味わいも感じられる。たっぷり入った打豆は、シコシコした独特の食感が楽しい。

ルーはサラッとしているけれどスパイスが利いていて、濃厚な和風だしがいい味を出している。低カロリーでヘルシーでもあり、女性を中心に評判は上々だという。和風カレー好きの方に、是非食べていただきたい。

この「越前 厚揚げ大豆カレー」、現在、福井県内のキヨスクやサービスエリアを中心に約10カ所で販売している。また「ぼたん亭」では、メニューのひとつとして食べることができる。オーナーシェフの桑名さんは「更に販路を拡大し、より多くの人に福井独特の味を届けたい」とコメントしている。今後は、福井の家庭だけの味が広く楽しめるようになりそうだ。

最後に、福井県は全国有数の長寿県でもある。その理由のひとつに、大豆の消費量の多さがあると言われている。「越前 厚揚げ大豆カレー」は、まさに大豆たっぷり。福井県の食文化が反映された一品と言える。これまでなかなか食べられなかった福井の味、気になる人は試してみてはいかがだろうか。