タマホーム株式会社

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タマホーム株式会社

こぐれ・ゆういちろう●千葉ニュータウン支店 支店長。2006年入社。国士舘大学工学部土木工学科卒業。鮮魚店を営む実家で育ち、幼いころから接客に興味を持つ。また、実家が火事になった経験から、自ら家の建て替え設計を手がけたい思いもあったという。就職活動ではホテル業界、住宅業界を回ったが、「業界ナンバーワンを目指す」という現社社長の姿勢に共感し、入社を決意。当時、全国展開に向かうタイミングで、チャンスも多いと感じた。

■ 初契約を獲得するまで苦戦。自分なりに努力を重ねた後、営業トップの成績をたたき出すまでに成長!

「何ごとにおいても、一番を目指したい」と考え、業界ナンバーワンを目指すという社長の言葉にひかれて現社に入社した小暮さん。入社当時のタマホームは、全国展開に向かい、関東への出店計画をしている真っ最中だった。
「入社後の研修を受けた後も、まだ関東圏に店舗がない状態だったので、まずは本社に配属されました。本社では、ロールプレイングで営業の手法を学んだり、建築や登記、税金、ローン、不動産、保険など、家づくりに関係するさまざまな専門知識を身につける勉強会に参加。当初はまだ学生気分が抜けていなかったこともあり、『こんなに多くの知識が必要とされるのか。大変な仕事を選んでしまったぞ』と感じましたが、『やるからには一番を目指そう!』とあらためて決意を固めました」

 

配属先の茂原支店(千葉県)に着任し、先輩に同行しながら仕事の流れを覚え、2カ月後には営業として独り立ちした。
「初めて接客したお客さまは、冷静かつシビアに物ごとを判断する方で、非常に厳しかったですね。ただでさえ緊張してうまく話せないのに、専門的な質問がドンドン飛んでくるんですよ。わからないことは必死で調べ、なるべく早くお答えするようにしていましたが、当初は『次はどんな質問をされるんだろう?』と常にハラハラしていましたね(笑)」

 

営業担当の仕事は、モデルハウスに来たお客さまや問い合わせのあったお客さまから、家づくりの要望を引き出して、それを満たす提案をすることから始まる。住宅の設計は社内の設計部署と連携してプランニングするが、屋根瓦や外壁、壁紙、床材、さらにはキッチンやトイレの設備などのコーディネイト、住宅ローンの資金計画や銀行とのやりとり、火災保険や生命保険などの手配や不動産登記まで、営業担当者は家づくりのすべてに携わるという。
「お客さまにとって、一生ものの大きな買い物となりますから、そこに大きなプレッシャーを感じましたね。扱う商品が住宅なので、価格は数千万円にもなります。だからこそ、ただ要望を満たす提案をすればいいわけではなく、お客さまぞれぞれのライフスタイルや人生設計を考えなくてはなりません。そのうえで、自己資金と住宅ローンの返済計画を考え合わせた資金計画をつくり、無理なく暮らしていけるような提案をすることが非常に大切なんです。家を建てる目的や、家族構成、それぞれの生活パターンなども細かくヒアリングし、何度も提案を練り直していきました」

 

契約が成立するまでには、通常1〜3カ月程度の期間を要し、何度も打ち合わせと提案を繰り返すという。複数の案件を同時進行で担当すると同時に、モデルハウスでの接客も並行して新規獲得の努力も続ける多忙な日々。しかし、小暮さんはなかなか契約まで結びつけることができず、苦悩した。
「同期のみんなが着々と契約を取る中、『なぜ自分だけ売れないのか』と悩み、辞めてしまおうと思ったこともありました。初契約が取れたのは、独り立ちしてから半年後。なるべくマメに会うことで信頼してもらおうと考え、週に2回は訪問し、トータルで20回くらい通い詰めたお客さまでした。自宅に招待してもらって食事をご一緒したり、家に泊めてくださったり、本当に親しくお付き合いさせてもらって。ライフスタイルに密着する中、『この人にとってのベストな家とは、どんなものだろう?』と考え、プラスαの提案を重ねていった結果、『小暮くんだから信頼できる。あなたの提案に決めたよ』と言ってくださったんです。本当にうれしかったし、お客さまと信頼関係をつくるという感覚をはっきりつかむことができました」

 

1棟目の成約後、小暮さんは次々と契約を獲得。入社1年目で12棟、2年目で21棟を販売し、全国でトップレベルの営業成績をたたき出すまでになる。
「お客さまによって、ライフスタイルも、家を建てる目的も本当にさまざま。プロサーファーや公務員の方、不治の病で残り少ない生涯を過ごす家を建てたいという方、引きこもりのお子さんを立ち直らせるきっかけにしたいという方もいました。それぞれの人生に密着し、生活スタイルから人生の考え方まで共有してもらえるので、自分では味わえない人生を経験できると感じましたね」

 

一つひとつの出会いは運命であり、かけがえのない勉強をさせてもらえる機会。そして、ただモノを売って終わりの仕事ではないと考えるようになり、より大きなやりがいを見いだしたという。
「ただ単に希望通りの住宅をモノとして売るのではなく、その先にある生活そのものを提供し、喜びや感動、心の満足を提供していく仕事なのだと実感するようになりました。お客さまはそれぞれに大きな人生のストーリーを抱えているものですし、担当者にはすべてを話してくれる。だからこそ、家族の一員のような気持ちですべてを受け止めていくことが大切。時には弟、時には息子や孫のような気持ちを持ち、真心でぶつかっていこうと思うようになり、モチベーションもメチャクチャ上がりました! 仕事に対する姿勢が大きく変化した時期でしたね」

 

部下から上がってくる大量の書類を読み込んでチェック。契約書類や工事関係の書類など、さまざまなジャンルがあり、1日に100〜200件に目を通す。社内システムで決裁をした後、書類にハンコを押す。

■ 入社6年目で店長に。震災後の困難な時期を乗り越えた後、入社7年目で最年少の支店長となる

大きな手応えを感じて以来、常に支店内で上位の成績をキープするようになった小暮さん。入社2年目で主任マネージャーとなったものの、その後はなかなか店長へと昇進できず、悔しさを感じる日々を過ごした。
「店長の肩書があれば、お客さまからも信頼してもらいやすいのに、という気持ちもありましたね。とはいえ、待っているだけじゃしょうがない。悔しさをバネにして建築士の資格を取り、自分で肩書をつけようと考えました。振り返ると、ずいぶん生意気だったなと思います(笑)」

 

小暮さんは、週に3回、建築を学ぶ専門学校に通い、二級建築士の資格を取得。さらに、インテリアコーディネーター、空間プランナーの専門学校にも通った。
「できることを全力でやった時期でしたね。負けん気から始めたことでしたが、違う世界をのぞき、知識を身につけていくうちに、自分はまだまだ未熟なんだということに気づかされました。それまでは自分の“ハート”のみでぶつかっていましたが、提案の“中身”でも勝負しなくてはならないと思うようになり、お客さまの生活リズムや食生活、冬や夏などの季節ごとの過ごし方など、より深く考えるようになりましたね。住宅を空間ととらえ、暮らし方までイメージさせる提案ができるようになったと感じます」

 

小暮さんがつくば店の店長となったのは入社6年目のこと。8名の部下を抱え、「やってやるぞ」と意気込んでいた矢先、東日本大震災が起きた。
「配属の翌月に震災があり、住宅業界の状況は最悪でした。復興最優先のため、資材も人手もトラックも被災地に向かい、関東の施工現場はすべてストップ状態でしたから。僕自身、震災復興が最優先だと考えてはいましたが、お客さまの中には、完成までの期間を仮住まいで暮らす方も多く、『長引いたらどこに住めばいいのか』というクレームが入ったり、『早く引っ越さないと子どもが小学校に入学できない』と困りきっている方もいらっしゃいました。相次ぐクレームの電話に、何とかしたいと思いながらも、どうにもできない状況で…」

 

まったくめどの立たない状況の中、部下たちも仕事に対する不安を抱えていた。小暮さんはみんなのモチベーションをキープすることが大事と考え、「できることを1つずつやり、誠実に答えていこう」と励まし続けた。

「お客さまたちは大変な目にあっているし、ほかの住宅会社でも同じ状況で、誰もが苦労を味わっている。だからこそ、『一致団結して乗り越え、ピンチをチャンスに変えていこう』『こんな時こそ、どう乗り越えるかが大事。乗り越えたら本物だよ!』と励まし続けていきました。メンバーもみんな意識の高い人たちだったので、次第にポジティブなムードへと変化していきましたね」

 

現場が動くようになったのは、震災から半年後のこと。大きな局面を乗り越えたことで、チームの団結力はより強くなっていた。
「全員で助け合っていこうという姿勢が生まれ、失敗例や成功例もみんなで共有していきましたね。おかげで、多い時にはみんなで月に14棟を販売するまでになりました! つくば店は、さまざまな住宅会社が集まっている総合展示場の中にあるタイプの店舗。当時、全国に230店舗ありましたが、その中でナンバー1の成績を打ち出し、最優秀賞を獲得するまでに成長しました! へこんだ時ほど強くなれる。大変なことがあっても、それをバネにすればより高く飛べるんです。みんなと一緒に、それを実感できました」

 

2012年10月、小暮さんは千葉ニュータウン支店の支店長となり、成田や松戸などの5つの店舗を統括することに。入社7年目の30歳。新卒から初の最年少支店長が誕生したのだ。
「入社当初、『30歳で支店長になりたい』という目標を持っていたので、すごくうれしかったです! 支店長の仕事は、担当エリア内の全店舗の統括で、人材の教育・指導を行ったり、各店のイベントや改装などに使う予算の配分をしたり、新たな出店候補地を考えることなどもしています。全体の決裁権を持つため、ヒト・モノ・カネを采配して一つの会社を経営するようなやりがいがあり、通常では考えられない規模のお金を動かす面白さを感じます」

 

支店長の権限を駆使し、社員みんなが楽しみ、その結果、お客さまを楽しくできるようなイベント企画も積極的に手がけているという。「『タマホームに行くと楽しい』と思ってもらいたくて、毎週末に、似顔絵やネイルのサービス、ご当地バーガーの屋台を呼ぶなどのイベントを各展示場で開催しています。営業担当者にどんどん企画してもらい、社員みんなが楽しめることを心がけていますね。一方的なトップダウンの考え方ではいけない。社員が幸せでなくては、お客さまの幸せもお手伝いできませんし、逆に、社員が笑顔なら、その笑顔はお客さまに伝染していくはずですから。常に一番を目指し、そして、一番いいものを提供していくためにも、一人ひとりの幸せに応えていきたい。仲間たちが楽しく団結できる。そんな強い組織づくりを目指していきます」

 

契約約の流れやスケジュール管理について、支店の若手メンバーにアドバイス。細かい業務についての指導は店長に任せているため、仕事全体における考え方の部分を指導している。

 

小暮さんのキャリアステップ

STEP1 2006年4月 研修時代(入社1年目)

入社前に一週間の内定者研修を受け、ビジネスマナーや基礎知識を学んだ。 入社後、さらに一週間の集合研修では、チームに分かれてグループディスカッションし、 課題の答えを一緒に考えていった。「チームで課題をこなす中、団結して目標を達成する 醍醐味(だいごみ)を味わい、仲間の大切さも実感できました。 同期とは、今も仲が良く、飲みに出かけることもよくありますね」。

STEP2 2006年6月 茂原店時代(入社1年目)

茂原店に配属。最初にシビアな目を持つお客さまを接客したことで、多くを学ぶことができた。 「本当に厳しい方で、提案書の文章ひとつにもチェックが入り、『ちゃんと行をそろえなさい』 『こういう書類には、明朝体の文字を使うものだ』など、何度も書類をつくり直して。言葉遣いから 時間を厳守することまで、すべてに緊張感を持って臨むようになり、おかげで、社会人としての基本を しっかり鍛えることができました。無口な方でしたが、家を引き渡す際、ぽつりと『ありがとう』と 言ってくださって。すごくうれしかったですね。お客さまに育てていただいたからこそ、今の自分が あるのだと感じます」。また、資金計画や住宅ローンについて、銀行とのやりとりを手がけた際には、 知識もなくタジタジの状態だったが、入社2年目には対等に話ができるまでに成長できたという。

STEP3 2011年 つくば店 店長時代(入社6年目)

つくば店の店長に就任。部下の半数近くは40代、50代の大先輩だったが、タマホーム社長の「自分以外は すべてお客さま」という考え方にならい、お客さまのように相手を大切にしていった結果、すんなりと 受け入れてもらえたという。「震災直後の沈んだムードの時期には、みんなと飲みにいき、『全員で 一番を目指そう!』『全員で目標額を稼ごう!』という明るい未来や具体的な目標を描いて見せるように 心がけました。数字で結果が残る世界ですし、売れば売っただけお金になって返ってくる部分も大きい 業界ですから、それを意識することも大事。そこで、つくば店全体の売り上げ目標棟数を100棟とし、 震災から半年後の9月に達成。みんなが団結してくれたことが本当にうれしかった。数字とともに、 素晴らしい想い出を残すことができたと感じます」。

STEP4 2012年 千葉ニュータウン支店 支店長時代(入社7年目)

成田、松戸、流山、印西、柏の5店舗を統括。店長時代の経験を生かし、社員みんなのモチベーションを 上げていくように各店長を指導している。「営業にとって、最も大切なものは“仲間”だと考えています 。住宅という大きな商品を扱うプレッシャーの中、ずっと売り続けていくモチベーションを保つためにも、 助け合っていく仲間が絶対に必要。日ごろから店長たちには、『社員を仲間と考え、彼らを守っていく 気持ちと力を身につけてほしい』と伝えているんです。もちろん僕自身も、みんなに全力で応えていきます。 また、支店とはまた別に、社内のヨコのつながりを強くしていくことにも取り組みたいです。 タマホームには優秀な人材がたくさん集まっているので、情報共有や意見交換をする場をつくって いきたいですね!」。

 


■ ある日のスケジュール

8:30 メールチェックとデスク周りの整頓。始業前に気持ちを整える。その後、9時より朝礼。営業、事務、設計のそれぞれの目線に合わせた「今日のひと言」を話す。
9:15 統括する支店のメンバーに電話でヒアリング。契約棟数、 当月の売り上げ数字見込み、今期の利益などをそれぞれから聞き、報告書にまとめていく。
10:30 月に一度の本社の支店長会議に参加。各店の目標達成状況の報告や情報共有などを行う。その後、支店に戻り、持参した弁当でランチタイム。
13:30 不動産を担当するグループ会社のタマエステート担当者と打ち合わせ。建築条件つきの土地や建て売り物件についての相談、新規出店の準備についての打ち合わせを行う。
14:30 PR会社とイベントについて打ち合わせ。新しいイベントの企画を考える。
15:30 成田店を訪問し、各メンバーに仕事についてのアドバイスを行う。また、毎月変更している店頭の装飾についても指導を行う。
17:30 支店に戻って、契約書や工事関係の書類に決裁のハンコを押す。その後、18時半ごろに退社。

プライベート

ゴルフ場オーナーのお客さまからゴルフバッグをもらったことがきっかけでゴルフが趣味に。1年前から妻と過ごす時間をもっとつくりたいと考え、毎週一緒にレッスンプロのもとに通っている。

 

休日は愛犬を連れて海まで出かけ、一緒に浜辺を走って遊んでリフレッシュ! 海が好きで、夏場には学生時代から始めたサーフィンを楽しむことも。
「つくば店時代は、出社前にブラックバス釣りを楽しんだりもしましたね」。

 

結婚後も妻とのデートは欠かさず、テーマパークに出かけるなどしている。
「東京駅など話題の施設に一緒に出かけることも多く、一緒に感動を共有しています! 人さまの幸せのお手伝いをする仕事のため、まず自分の家族が幸せであることが大事だと思っています」。

 

取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康