東日本大震災以降、住宅の大切さを改めて感じている方は多いのではないでしょうか。これからの時代、どのような住環境・建築物を通して、自然の脅威と対峙していくべきなのか。これは、私たちの生活と直結した重要な問いであると言えます。

 隈研吾氏の『小さな建築』では、これからの時代に本当に必要なのは「強く合理的で大きな」建築ではなく、「小さな建築」であると論じています。

 果たして、「小さな建築」とはどのようなものなのでしょうか。

 「『小さな建築』とは僕らにとって、さまざまな意味で身近でとっつきやすく、気楽な存在でなければならない。そんな小さな、いいヤツ、かわいいヤツを探すときにまず考えなくてはいけないのは、自分が一人で取り扱うことのできる『小さな単位』を見つけることである。『小さな建築』とは、実は『小さな単位』のことなのである」

 隈氏は、「小さな単位」である身近な材料や素材、「積む」「もたれかかる」「織る」「ふくらます」などの身体の動きを建築の構造に取り入れることで、次々と「小さな建築」を建てていきます。本書では、その発想と実際に建築物が形作られるまでの過程が、見事に描かれていきます。

 身体の動きには、自然の中で生きていくための、古来からの人間の知恵や技が隠されています。それらを見直すことで、人間が自然の中でどのような知恵を活用し、文化を作ってきたのかを知ることができます。

 本書のキーワードである「小さな単位」。時代を生き抜くためのヒントが、身近なところに転がっているのということを教えてくれる、とても有意な言葉です。



『小さな建築 (岩波新書)』
 著者:隈 研吾
 出版社:岩波書店
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