南アMMFは4%超。流動性が高く、一番の魅力は為替差益が非課税
日本市場が活況を見せ始めてきたが、株が激アツな中でも投資に踏み切れない人はいる。かといって、FX(外国為替証拠金取引)は値動きが激しくリスクも怖いし、投信は本数が多すぎてわからない。そんな人にお勧めしたいのが、預金感覚で外貨定期並みの金利が受け取れる「外貨MMF」。投資リスクは低く、高いもので4%超の利回りが受け取れる、ナイスな商品なのだ!


投資初心者に投資信託の仲間である「外貨MMF」を勧める理由は、リスクの所在がはっきりとしていて、リスク管理の勉強になるからだ。たとえば外貨建ての外国株に投資すると、為替リスクと株価変動リスク、そして投資先企業の経営リスクを同時に見なければならない。

でも外貨MMFなら、投信の仲間でありながら基準価額の変動を気にする必要はなく、ほぼ確実に運用から得られる収益が預金の利息のように積み上がっていく。

だから、基本的には外貨MMFは、外貨投資では避けられない為替リスクだけを見ていればいい。

では、MMF自体に信用リスクはないのだろうか。外貨投資に詳しいFPの深野康彦さんによれば、信用の高い発行体が発行した証券・証書のうち、格付け上位のものに限って投資するので「安全性は非常に高い」そうだ。

たとえばSMBC日興証券の「ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド」の目論見書には、「投資対象は、OECD(経済協力開発機構)加盟国政府、これらの国の地方自治体または政府機関が発行または保証する証券、コマーシャル・ペーパー(CP)、銀行引受手形(BA)、譲渡性預金証書(CD)、定期預金証書、買戻し条件付契約(現先契約)等の各ファンドの通貨建の短期債券および証書です」とある。

格付けはS&PのA −1以上か、ムーディーズのP −1以上という、上位の証券・証書に限られる(格付けがない場合は同等と判断されるもの)と明記されている。ただし、2001年11月に破綻した米国のエネルギー卸売会社・エンロンの社債を組み入れていた外貨MMFが元本割れを起こしたことは、頭に入れておこう。

以上のような基本を念頭に置いて外貨MMFの購入を考えたとき、「ポイントは3つある」と深野さんは言う。「大手銀行の外貨預金と比較すると(下の表参照)、まず外貨MMFの運用実績利回りのほうが外貨定期預金金利よりも高めです」



たとえば、米ドルMMF「ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド(USドル・ポートフォリオ)」の過去1週間の平均実績は0・146%(3月4日現在、以下同)、同豪ドルは2・294%なのに対し、大手銀行の外貨定期預金米ドル1年物の金利は0・01%、豪ドル1年ものは1・34%という大差がある。MMFは毎日決算を行なって収益を分配する「実績分配型」の商品であるため、平均実績はほぼ毎日小幅ながら変動する。そのため、銀行の定期預金金利と同一に比較することはできないが、どのくらいの利益が得られるのかという目安にはなる。

外貨MMFでも外貨預金でも避けて通れない為替手数料(円を外貨に、外貨を円に替えるときにかかる手数料)は「金融機関が個別に設定しているのでバラツキがありますが、概して銀行よりも証券会社のほうが低いです」。ただし、銀行も窓口扱いではなく「ネット銀行や大手銀行のネットバンキングを利用すると、低く抑えることができる」と深野さん。

そして、「最大のメリット」と深野さんが指摘するのが為替差益に対する課税。円高のときに預けて円安のときに引き出せば、為替差益が得られる。「現在の税制では、外貨MMFは非課税扱い。外貨預金で得た為替差益は雑所得として確定申告が必要ですが、年収2000万円以下の給与所得者で、給与所得と退職所得以外の所得が為替差益を含めて年間20万以下であれば申告は不要です」

原則、満期まで引き出せない外貨定期預金と違い、外貨MMFはいつでも引き出せる。その分、為替差益を得やすいが、実は雲行きが怪しくなっている。財務省と金融庁が2015年1月をメドに実施を予定している個人の金融所得課税方法の手直しによって、非課税ではなくなる可能性があるのだ。



深野康彦(YASUHIKO FUKANO)
ファイナンシャル・プランナー

クレジット会社、独立系FP会社を経て、ファイナンシャルリサーチを設立。各メディアを通じて、投資や家計管理の啓蒙に活躍。



この記事は「WEBネットマネー2013年5月号」に掲載されたものです。