両軍合わせて29安打という乱戦は、七回に5連打で5点を奪った楽天が勝利し連敗を3で止めた。

東野の初球を叩き、左中間を割る2ベースで出塁した松井稼頭央が、藤田の右飛で三進すると、聖澤が二塁手の頭上をフラフラと越えるタイムリーを放ち、楽天があっさりと先制した。
田中がその裏をサクッと三人で斬ってとった時には、スマートな試合で楽天が勝利するかと思われたが、頼りの田中が15安打を浴びるヨレヨレのピッチング。
ストレートは走らず、変化球は甘いところに集まる最悪の内容で、3失点で抑えたことが信じられないほどの滅多打ちだった。

そんな中、ラッキーボーイになったのは初先発の森山周。
初回のファインプレーを含み2安打2盗塁と大活躍をして見せた。
単に右の東野に対し左をあてがっただけかもしれないが、「古巣に恩返ししてこい!」という、闘将流の起用が当たったということにしておこう。

このところ長打連発のマギーが、レフトスタンドに飛び込む第4号ホームランをかっ飛ばした。
楽天史上最強の助っ人となることはほぼ間違いがない。いかにも野球を楽しんでいるジョーンズとは対照的だが、ストイックに野球を突き詰めようとする姿勢も素晴らしい。

藤田が好守連発。
三回裏、右打者ながら俊足の川端が放ったボテボテのゴロを、猛ダッシュして素手で捌いたプレーは、解説の加藤英司氏が思わず「凄い守備をしましたね」と表現するほど、オリックスファンに「これが藤田か」と思わせるには充分な、名刺代わりのプレーになった。
その直後、糸井の盗塁の際のタッチも見逃せない高度なプレーである。
VTRで見れば解るのだが、藤田は嶋からの送球を捕ってからタッチするのではなく、球よりも少し高いところから腕を振り降ろし、途中でグラブにボールを入れると、そのままの勢いで糸井の足にタッチする神業。
アウトコールがあってもおかしくないほどのタイミングだったが、もしもアウトになっていれば捕手の盗塁阻止として処理されるプレーである。
藤田の評価が不当に低いのは、それだけNPBの監督やマスコミ、そしてファンのレベルが低いことを表している。
闘将も藤田を干さないだけ、ボケザルやヤッターマンよりもマシな監督と言えるが、七回、押せ押せの場面で藤田に送りバントのサインを出すようなスタンドプレーをしているようじゃ、これからも優勝を目指すチームのお荷物になることは間違いない。

今日のオリックス戦は神戸のほっともっとフィールドで行われる予定だが、終日の雨予報で中止の可能性が高い。今のオリックスとは余りやりたくないので楽天にとって恵みの雨と言えそうだ。
借金3自体は問題ないが、首位の西武が走りそうな気配もあり射程圏内には入れておきたいところである。

オリックス3−9楽天