4月18日〜5月14日「国宝 みうらじゅん いやげ物展」開催中。梅田ロフト・7Fロフトフォーラム(大阪市北区茶屋町16-7)で入場料:500円(おまけ付き)

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誰しも「旅行や観光のお土産に」と、趣味の悪い置物やキーホルダーのお土産をもらった経験があるだろう。一体誰が買うんだろう?捨てるに捨てられないし、部屋に置いたら自分のセンスを疑われる…そんな土産物に光をあてた人がいる。イラストレーターのみうらじゅんさんだ。土産物ってそもそも喜ばれるのが前提なのに、もらいたくない…そんな土産物を「嫌+土産物=いやげ物」と名付けたみうらさん。

みうらさんが何十年にも渡り日本各地を回って収集したアウトローな「いやげ物」の中から、約2000点を展示している「国宝 みうらじゅん いやげ物展」(大阪・梅田ロフトにて開催中)に行ってきた。ダサい湯のみや、どこに穴を開けたんや!と突っ込みたくなる栓抜きを見て、「これ昔、家にあった!」「捨てなきゃよかった!」と盛り上がる来場者。

いやげ物はカテゴリー別に分けて展示されている。ひょうたんで作られた人形を集めた「ひょうたん君の世界」や、金色のプラスチックで作られたお城などを集めた「金プラの世界」。みうらさんファンにはたまらない「ゴムベビの世界」など。「カスハガの世界」は「カスのようなハガキ」の略語で、「観光地が張り切って売ろうと10枚セットにしたけれど、名所が10個もなかった地域に起こりがちないやげ物」(みうらさん)で、ポストカードの内容がいちいち意味不明。

一つひとつは「どんなセンスしてるねん!」といういやげ物が、的確に名付けられたカテゴリーにはまり陳列されると、突然キラキラと輝きだす。そう、まるで「ぼくたち、居場所を見つけたよ!」と語りかけてくるように。「プラスの名前をつけるとそれ以上の価値にはならないが、マイナスのネーミングをつけることで価値観は裏返ることもある」(みうらさん)。「カッコええやん、みうらじゅん!」と心の中で叫ぶ。

みうらさんは「ゆるキャラ」という名称の生みの親で、当時は関係者から「ゆるくない!」と怒りを買ったそうだが、いまや空前の「ゆるキャラ」ブーム。数年後には、いやげ物の知名度がグンと上がり「いやげ物、買おうぜ」が合言葉になるかもしれない。

とはいえ現状は、土産物店自体が減り売れないものは作らないことから、いやげ物自体を購入するのが難しくなってきた。「店の奥のショーケースの中でホコリをかぶっているような人形があれば、買い」だそうだ。

梅田ロフト販促課長の虎田さんによると、「かつてボケやウケ狙いで、いやげ物を友達にあげることがあったと思います。みうらさんに買ってもらった『いやげ物』を見ることで、物一つひとつが本来持つ歴史や意味が伝わるのではないかと思います。いまや買いたくても買えない絶滅危惧種ばかりなので、関西の人ならではの感覚でどうぞ、2000突っ込みしてください!(笑)」と話す。同企画は15年ほど前から大阪で開催したいと思っていたという梅田ロフト渾身の特別展だ。

みうらさんはどの商品にも特別な思い入れはないという。「これは趣味ではなく、癖なので治らない。民俗学的には貴重なものばかりだと思うし、300年先を見て集めてます!」それにしても、ここまで集めればタイトル通り国宝級だ。まだまだあるという、いやげ物を一堂に集めた記念館を建ててほしい。

今度、旅先でいやげ物を探してみよう!と思わせるのが、みうらじゅんマジック。嫌がられるのに誕生したいやげ物に敬意を表し、家にあるいやげ物を捨てずに持ち続けよう!と思ったが、会場内の「五円ファミリーの世界」を見て記憶がよみがえった。数年前、5円で作られた五重の塔を解体し現金化してしまったことを…。

同展では友人とどちらが面白い突っ込みをいれられるかを競うもよし、なかなかお目にかかれないいやげ物を素直に鑑賞するもよし。いやげ物たちはいい感じでボケている。あなたに突っ込まれるのを待っているのだ。
(山下敦子)

4月18日〜5月14日 「国宝 みうらじゅん いやげ物展」開催中。
梅田ロフト・7Fロフトフォーラム(大阪市北区茶屋町16-7)で入場料:500円(おまけ付き)。詳細はサイト「国宝 みうらじゅん いやげ物展」で確認を!。

みうらじゅんオフィシャルウェブサイト
http://miurajun.net/
梅田ロフト 
http://www.loft.co.jp/shoplist/umeda