選考会で二人の直木賞作家の意見が真っ二つ

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 新潮社が主催する、女性限定の文学賞『第12回 女による女のためのR-18文学賞』の授賞式が4月22日(月)、東京・新宿の京王プラザホテルで行われた。
 この賞はその名の通り、応募資格があるのは女性だけ、選考委員も女性、第一次、第二次選考も女性編集者が行うという、まさに女性による文学賞。
 募集内容を「女性ならではの感性を生かした小説」として、優れた女性作家の発掘を目指している。

 第12回となる今回、大賞に輝いたのは朝香式(あさか・しき)さんの『マンガ肉と僕』。読者賞には森美樹(もり・みき)さんの『朝凪』(あさなぎ)が選ばれた。

 選考委員をつとめた作家の三浦しをんさんと辻村深月さんによると、最終選考では、大賞はこの2作のどちらかだろうということは一致していたものの、どちらを大賞とするかは意見が割れたという。
 『マンガ肉と僕』を推したのは辻村さんだ。
 「主人公が男性ということもあり、賞の意義を考えるとどうなのかと思ったが、この作品はもう一人の主人公格の女の子が、主人公に復讐しているような形で読める。そう読むとカタルシスがあり“女のための”小説と言ってもいいだろうと思った」(辻村さん)

 対して、三浦さんは『朝凪』を高く評価した。
 「どちらが大賞でも遜色のない出来だった。『朝凪』は読んでいてストレスが溜まる。ただ、主人公がいい意味で読者を苛立たせ、笑いの要素もありつつ、先を読ませるという構成のうまさを感じた」(三浦さん)
 そして、さらなる協議を重ねた結果、大賞は『マンガ肉と僕』に決まった。

 受賞者あいさつでは、
 「盆と正月が束になってきた感じ。ふとしたイメージに引っ張られて書いた小説が、こんな場所に私を連れて来てくれたということで不思議な思いがする。感謝の気持ちを忘れずに、これからも魅力的な作品を書いていきたい」(朝香さん)
 「小説を書いていると、様々な人生を体験でき、色々な人になれるので、これからもやめられない」(森さん)
 とそれぞれに受賞の喜びを表した二人。
 今後、どのような方向に才能を伸ばしていくのか、次作以降に注目したい。
(新刊JP編集部)