「ジャーナリストの視点で、綿密な取材を重ねて作られている」と太鼓判を押す山路氏

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シャロン・ストーンが主演・製作総指揮を務めた、クライム・サスペンス「ボーダー・ラン」が4月24日にDVDリリース。メキシコ国境の不法移民の現実を描き出した同作をプロのジャーナリストはどう見たのか。自らも世界中を飛び回り、いくつもの死線をくぐり抜けてきた山路徹氏に話を聞いた。

ストーンが演じたのは、不法移民の問題に取り組むジャーナリストで、メキシコ国境付近で消息を絶った弟の行方を追うソフィー。山路氏は、まず彼女の変身ぶりに目を見張ったという。「僕らの世代にとっては『氷の微笑』のイメージが強いから、彼女が自らこのテーマを選んだと聞いて、どれほどのものができたかと思ったけど、正直、驚きました。CNNにクリスチャン・アマンプールという女性記者がいますが、まさに彼女のよう。それを見てこれは相当、期待できるなと思いました」

山路氏は「ジャーナリストの仕事は、本当に伝えたいものをなかなか伝えられないもの。そこにこそ本当のスクープやメッセージがある」と語る。「例えばボスニア内戦では、サラエボがセルビア軍に包囲されてイスラム教徒が虐殺されていた。でも実は、空港の下に掘られたトンネルがたったひとつの脱出する道として存在していたんです。それを僕らは知っていたけど、当然、公表することはできない。この映画でもトンネルが重要な役割を果たしていて驚いたんですが、映画という手法をとることでドキュメンタリーでは伝えられない、いまボーダー(国境)で起きている現実をしっかりと伝えている。そこに感銘を受けましたね」と称賛する。

「この映画は、ジャーナリストの視点で綿密な取材を重ねて作られているなと感じました」という山路氏だが、自身もボスニアで突然の襲撃を受け銃口を向けられたことや、この映画さながらにタイ・ビルマ国境で秘密警察に拘束された経験を持つ。それでも再び危険な地に向かう理由を、「正義感や使命感だけじゃ命は懸けられない」と静かな笑みを浮かべる

「究極の状況に置かれて、苦しみながらも人間が生きている現場ってドラマティックなんですよ。極限の中で、人間の本当に美しい部分と醜い部分が見えてくる。一度それを体験すると、どこかで紛争や災害が起きたときに『そこで何が起きているんだ?』と思ってしまう。映画に出てくるボーダーというものは、まさに命や家族を分ける無情な“線”なんです。日本にいたのでは想像もつかないけど、彼らがどんな人生を背負ってその線を越えようとしているのか。それを確かめたくなるんです」

DVD「ボーダー・ラン」は、4月24日よりTSUTAYAにて独占レンタル開始(セル版も同時発売)。