百聞は一見にしかず──。どんな銘柄であっても決算資料などで公表されているデータだけでは、その潜在的な成長力を判断するのは難しい。だからこそ自ら企業訪問を繰り返すのが、グローバルリンクアドバイザーズ代表取締役・戸松信博氏の銘柄分析スタイルだ。ここでは、戸松氏が注目の成長ピカイチ企業を緊急訪問。経営陣に直接話を聞き、大化けポテンシャルの可能性を探った。今回は低価格メガネで知られるあの企業だ。

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 市場関係者の間でも日本では数少ない成長企業と見られているジェイアイエヌ(ジャスダック・3046)。最近、ショッピングセンターなどが新規開店や改装されるたびに、メガネ店「JINS」を目にする機会が増えているが、同店を展開するジェイアイエヌは、本数ベースで2割強のシェア(同社推計)を持つメガネ業界のトップ企業である。

 しかし、一見、飽和市場と見られるメガネ業界で、なぜ同社は急成長できるのか。その理由を今回の企業訪問で確認することができた。

 同社は、「レンズ代込み1本4999円〜」という低価格と即日渡しを実現。他社からシェアを奪い成長してきた。そして、パソコン画面などから発生するブルーライトをカットするPCメガネなどの機能性商品を投入し、これまでメガネをかけてこなかった客層にまで市場を広げたことが強みといえる。

 そんな独自の商品開発力が生まれた背景には、ユニクロの存在があったという。ファッション雑貨の販売から出発した同社は、ファッション性に富んだメガネに注力してきたが、業績が伸び悩んでいた。

 そんな折、同社の田中仁社長がファーストリテイリングの柳井正会長を訪ねた際、「オンリーワンではなくナンバーワンでないと世界は変えられない」などの言葉を受け、低価格・高品質でシェアを拡大する今日の同社の姿につながった。

 そして、機能性商品の開発へと舵を切り、PCメガネが大ヒット。ちなみに他社からも類似商品は出ているが、同社は医療機関と提携して研究開発するなど、積極的な研究開発とマーケティングで一線を画しており、業界内シェアは約70%(同社推計)。同社の本数構成をみても、視力矯正メガネの約60%に続き、PCメガネは約40%と同社の成長エンジンとなっていることは疑いようがないだろう。

 しかも、拡大の余地も大きいと同社の中村豊専務はいう。「PCメガネはこれまで約150万セット販売してきましたが、潜在需要は2000万〜3000万人あってもおかしくないでしょう。小学校などでIT教育が進み、児童に配る学校もあるほか、大学病院などでも導入されていますが、まだまだ始まったばかりと見ています」

 業界トップシェアに加え、高い成長性も持つだけに、株価が高いのがやや難点だが、今後PCメガネのさらなる普及に加え、新たな機能性商品のヒットが続けば、一段の高値も期待できるに違いない。

※マネーポスト2013年春号