第12回トライベッカ映画祭はボストン爆破テロの影響で厳戒態勢のなかで開催される/写真:JUNKO

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2013年で12回目を迎えた第12回トライベッカ映画祭が、4月17日から28日(日)まで開催されている。

【写真を見る】オープニングを飾ったドキュメンタリー『Mistaken for Strangers』

同映画祭は、2001年9月11日にアメリカを襲った世界同時多発テロの最大の犠牲地となったニューヨークのワールド・トレードセンター周辺地域の復興に願いを込めて、ロバート・デ・ニーロなどが中心となって立ち上げた映画祭だ。2年前のこの時期には、テロの首謀者ウサマ・ビン・ラーデンが捕獲され、アメリカ中が歓喜に包まれたが、今年は4月15日に行われたボストンマラソンのイベント中にテロが起こり、多くの犠牲者を出すという惨事に見舞われた。

そんななか、セレブリティはもちろんのこと、世界中からメディアや観客が訪れる同映画祭オープニングイベントは、犠牲者に追悼の意を表すると共に、厳戒態勢下でのスタートとなった。

ニューヨークが拠点の映画祭らしく、オープニングを飾ったのはブルックリンに拠点を置くロックバンド“ザ・ナショナル”のバンドのドキュメンタリー『Mistaken for Strangers』だ。ボーカルを務めるマット・バーニンガーの弟トム・バーニンガーがメガホンを取り、2010年に同バンドがアルバム製作を記念して行ったツアーを追った作品で、メンバーら関係者の他、デ・ニーロ、ライザ・ミネリ、ミラ・ソルヴィノ、ジョシュ・ルーカスらがレッドカーペットを飾った。

今年も30ヶ国から選りすぐりの89作品(うち53品はワールドプレミア)がエントリーされているが、スポットライトではエマ・ロバーツが叔母のジュリア・ロバーツに負けないラブコメの女王になることを確信させてくれるコメディ『Adult World』、デニス・クエイド、ザック・エフロン主演のファミリードラマ『At Any Price』、『恋人たちの距離(ディスタンス)』(95)、『ビフォア・サンセット』(04)に続くイーサン・ホークとジュリー・デルピー扮するふたりの9年後を描いた人気シリーズ第3弾『Before Midnight』、ナオミ・ワッツ主演『Sunlight Jr.』、『アーティスト』(11)で第84回アカデミー主演男優賞を受賞したジャン・デュ・ジャルダン、ティム・ロス主演のフランス・ベルギー・ルクセンブルク合作映画『Mobius』など見どころ満載だ。また、ウーピー・ゴールドバーグの監督デビュー作でドキュメンタリー『I Got Something To Tell You』や、『アムール』(12)で第85回アカデミー外国映画賞を受賞したミヒャエル・ハネケ監督の映画作りやその思想を描いたドキュメンタリー『Michael.H.Profession:Director』や、『トータル・リコール』(90)、『氷の微笑』(92)など常に新たなチャレンジ精神を忘れないポール・バーホーベン監督最新作の製作過程とその作品をドキュメンタリータッチで描いた『Tricked』など、今年も超個性的な秀作が勢ぞろいしている。

日本からは2011年3月11日に起きた東日本大震災の直接の被災地ではなく、放射能汚染が懸念されている東京郊外のその後を描いた内田伸輝監督作『おだやかな日常』(12)や、ニューヨーク在住のアーティスト篠原有司男・乃り子夫妻の40年間の生活を追ったドキュメンタリーでサンダンス映画祭にも出展された『キューティーとボクサー』などが出展されている。

そして、クロージングに選ばれたのはデ・ニーロの朋友で、ニューヨークの代表監督マーティン・スコセッシ監督作『タクシードライバー』(76)の喜劇版とでもいうべきブラックコメディ『キング・オブ・コメディ』(83)で、デ・ニーロ、スコセッシ監督も出演している同作が公開30周年を迎えたのを記念して複製版が上映される。

デ・ニーロ自身も「この作品の大ファンだが、複製版を見るのが待ち遠しい」とコメントを発しているように、往年のファンにはたまらない企画だが、長い間、ショーレースに無縁だったデ・ニーロも、今年は『世界にひとつのプレイブック』(公開中)で第85回アカデミー賞をはじめととする各賞で助演男優賞にノミネートされており、若い世代にとっても注目の一作となりそうだ。【NY在住/JUNKO】