『「ぴあ」の時代』

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「もはや戦後ではない」と経済白書が宣言したのは昭和31年(1956年)。今やその昭和も「遠くなりけり」だ。高度成長が終わり、バブルがはじけ、長期停滞の時代が続いている。もう一度、「昭和の元気」を取り戻せないものか。サラリーマンたちが光り輝いた、あのころの気分を伝える話題の3冊。

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大学生が創刊したカルチャー情報誌

『「ぴあ」の時代』

「右手に朝日ジャーナル、左手に少年マガジン」。昭和の一時期、そういわれた時代があったが、学生運動が下火になるにつれ、朝日ジャーナルに取って代わったのが雑誌『ぴあ』だった。年寄りには読めないような小さな文字で映画や音楽、演劇の情報がびっしりと書き込まれていた。1972年(昭和47年)、この情報誌を立ち上げたのが、福島県出身の中央大学の学生だった矢内廣。今のぴあ株式会社社長である。

小学館文庫『「ぴあ」の時代』(著・掛尾良夫、600円)は、その『ぴあ』が誕生し、昭和の最後を駆け抜けて2011年(平成23年)に休刊するまでの39年を描いた青春ドラマであり、起業の物語であり、若者カルチャーの歴史だ。懐かしき映画のタイトルとともに昭和が蘇る。

昭和黄金期のサラリーマン物語

『フジ三太郎とサトウサンペイ』

昭和の高度成長期はサラリーマン文化の全盛期だった。モーレツ社員のおかげで会社はどんどん大きくなり、給料も上がった。職場にはミニスカートの可愛い女の子もいるし、昼間の同僚は夜の飲み仲間に早変わり。そんなサラリーマン社会を取り巻く悲喜こもごもの出来事をユーモアと風刺で切り取った。著者の分身、万年ヒラ社員のフジ三太郎は時代の隠れたご意見番だった。

ジェイ・キャストから発売の電子書籍『フジ三太郎とサトウサンペイ』(著・サトウサンペイ、全27巻、各巻368円)は、昭和40年(1965年)から平成3年(1991年)まで朝日新聞に連載された人気漫画『フジ三太郎』の作品約8000点の中から選び抜いた6300点を収録した。著者サトウサンペイさんのインタビュー(本書オリジナル)も全巻に併録。フジ三太郎の時代を思い起こし、元気だった日本のサラリーマンを取り戻したい。

昭和を彩った懐かしき生活雑貨

『まだある。今でも買える"懐かしの昭和"カタログ〜生活雑貨編〜』

人にはモノにまつわる思い出があるものだ。例えば、蚊取り線香。その匂いを嗅ぐと著者は小学生時代の夏休みを思い出すという。夕暮れ、縁側に腰掛けて竹藪をながめている傍らで蚊取り線香が煙を漂わせていた――。そして、この金鳥の蚊取り線香を開発したのは上山商店(金鳥の前身)の若き店主だった、といったウンチクが語られる。

大空出版の大空ポケット文庫『まだある。今でも買える"懐かしの昭和"カタログ〜生活雑貨編〜』(著・初見健一、767円)は、高度成長期に発売された生活雑貨・日用品の中から100点を選び出し、オールカラー写真で紹介したものだ。たわし、石鹸、水枕、ハエ叩き……昭和の暮らしを彩ったヒット商品やユニークなアイテムが思い出とともに生き返る。