陸運編

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業界トレンドNEWS Vol.169

陸運編

輸送量が減少し競争が激化する陸運業界の今後の事業展開とは?


■輸送量は減少傾向だが個人向け宅配事業は好調。海外進出と環境対応が急ピッチで進んでいる

国土交通省によると、2011年度の国内貨物輸送量は49.0億トン。10年とほぼ変わらない水準だった。ただし、ピーク時の1991年(69.2億トン)に比べると、市場規模は3割程度縮小している。今後も、国内の人口減少、荷物として運ばれる各種製品の小型化、産業が「モノ」から「サービス」に移行することによる貨物の減少などが影響し、長期的な輸送量は減少傾向と予測されている。なお、国内貨物全輸送量のうち、9割以上(45.0億トン)を自動車輸送が占める。

輸送量が頭打ちになったことで、競争は激化。そのため、運賃も伸び悩んでいる。これに対し、コスト高は深刻だ。08年のリーマン・ショック後に一時下落した燃料費は、その後再び上昇し、現在は高止まりの状況。また、各社が取り組んできた人件費削減も、限界に近づいている。さらに、12年4月に関越自動車道で起こった高速バス事故の影響で、陸運業界に対しても法令遵守厳格化・安全対策の強化が求められており、これもコスト増につながっているのだ。

ただし、明るい材料もある。それは、好調を維持している個人向け宅配事業だ。経済産業省によれば、11年度における「消費者向け国内電子商取引」(ネット通販などを指す)の市場規模は、対前年度比で8.6パーセント増の8.5兆円。これが追い風となり、11年度の宅配便の取り扱い個数も、対前年比5.6パーセント増の約34億個と伸びた。こうした中、流通事業者が物流拠点の拡大を目指す動きが活発になっている。きっかけとなったのは、通販サイトAmazon.co.jpを運営するアマゾン・ジャパンだ。同社はここ数年で、全国に11カ所の物流拠点を整備。13年には、神奈川県で新物流センターの開業を予定している(ニュース記事参照)。また、楽天市場を運営する楽天も、現在1つしかない物流拠点を、14年にかけて5拠点まで拡大する計画を発表している。こうした取り組みには、陸運業者が協力をしているケースが多い。例えば、千葉県市川市などにあるアマゾン・ジャパンの倉庫は、日本通運が運営。陸運業者は社内に蓄積した豊富なノウハウを生かし、ネット通販市場を支えている。

荷主である企業が海外展開を急速に進めているため、グローバルな輸送体制の構築も急務だ。とりわけ目立つのが、新興国での動き(表組参照)。各社は東南アジアを中心に、拠点開設・事業拡大に取り組んでいる。また、12年からヤマト運輸が那覇空港を活用して国内から東アジア地域への配送日数短縮を図るなど、サービス品質を向上させる努力も盛ん。一方、13年1月、ベトナム・ラオス・カンボジアがトラックやバスの通関手続きを簡素化する協定を結ぶなどの動きがあり、新興国でも物流が活発になる土壌が整いつつある。今後の事業拡大が期待できそうだ。

環境対応の動きも進んでいる。例えば三井倉庫ロジスティクスは、異なる家電メーカーの配送システムを一元化し、配送拠点の集約化も行った。このように、大規模な共同配送システムを実現して物流の効率アップを図り、二酸化炭素排出量の削減を目指す取り組みは、今後も進むだろう。また、鉄道や船舶へのモーダルシフト(貨物の輸送手段を環境負荷の小さなものに転換すること)も、引き続き進むはずだ。