この先ヒサシ・イワクマは、キャリアの続きを中指のマメを抱えたまま投げたかっているかもしれない。彼は秘密兵器を使うのを、制限することを考えているのかもしれない。マリナーズは、セーフコ・フィールドでヒサシの血マメ・ナイトを開催したがっているのかもしれない。最初に入場した15,000人の手をケガしているファンに、グローブをプレゼントするのだ。

もちろん、そんなことを考えるのがバカなことだと分かっている。しかしイワクマが置かれているのは、そんな状況だ。彼の活躍を止めるものは何もなく、現在の彼は球界で最も素晴らしい仕事をしている。

彼は、最も野球を知っている投手である。今シーズンの彼は、2012年後半戦の成功のさらに上をいき、不安定なマリナーズ・ローテーションで存在感を確立している。今、フェリックス・ヘルナンデスとイワクマがマウンドに立った時は毎回、チームに勝利のチャンスを与えてくれている。チームの素晴らしい投手プロスペクトの成長を待つ間、その32歳は素晴らしい驚きをもたらし、必要不可欠な存在となった。

木曜日の彼は再び好投を見せ、マリナーズがデトロイトに2対0で勝利する原動力となった。それはスイープと、本拠地での10連敗を止めたものだった。デトロイトのスター、ジャスティン・バーランダーとのマッチアップで、イワクマは6回を無失点に抑え、そうするのには70球しか要しなかった。しかしその効率的なパフォーマンスは、注意深くする必要があった。マメの問題があったからだ。

不運にもイワクマに勝利はつかなかったのは、マリナーズの先発陣にはお馴染みの打線のもたつきのせいだ。しかしマメの影響で試合を早く退かなければならなかったイワクマは、本拠地での悲劇に見舞われる寸前だったマリナーズを救った一番大きな理由だった。

「イワクマは最高だった」マリナーズのエリック・ウエッジ監督は言った。

彼には、もう一つ言葉を与えよう。イワクマは本物だった。

彼はもはや、アメリカン・リーグを代表する投手だ。木曜日の彼の先発は、1年半のシーズンで20回目だった。そしてその20先発で、彼は121回2/3を投げて防御率は2.44、それには今シーズンの4回先発での防御率1.69が含まれている。

2012年のオールスター明けから、イワクマはどれくらい素晴らしいのだろうか? 彼はその間10勝4敗、防御率2.34で、アメリカン・リーグでトップの成績だ。その間2番目に良い投手は、10勝4敗、防御率2.61のバーランダーである。

「そのことについて言えば、彼がここまでやるとは、思わなかった」マリナーズのカール・ウィリス投手コーチは言った。「この世界のほとんどは、パワーや速度を求めている。だけどもし彼と同じくらいのコントロールと、球速の変化をさせることができれば、素晴らしい投手になれる。イワクマがそうだ。彼は勤勉家だし、長い経験を積んでいる」

1年前にイワクマがスプリング・トレーニングに現れた時のことを、覚えているだろうか? 彼は生まれ故郷の日本を離れ、メジャーリーグに挑戦した。そして当初の彼は、打者に対して打撃投手のような投球をしていた。彼の防御率は、レブロン・ジェームズのスコアリング・アベレージと見間違うほどだった。開幕時にマリナーズは、彼をブルペンに置いた。そして昨シーズンの最初の2か月は、5回のリリーフ登板しかしなかった。

しかし腕に力強さが戻り、このリーグの特徴を学んだイワクマは、チャンスを与えられた。その時以来イワクマは、成功している。

もしかして自分が予想していた以上ではないかと聞かれたイワクマは、通訳のアンソニー・スズキを通して「そうだね。そうだけど、これを続けて行きたいね。チームの助けになることなら、なんでもしたい」と答えた。

準備の仕方を劇的に変えたことが、 イワクマをとてもシャープにしたことは、驚くべきことである。先発の間のイワクマは、基本的にキャッチボールをする。彼はブルペンにも入るが、わずか30球しか投げずに、ファストボールしか投げない。マリナーズのトレーナー、リック・グリフィンは、マメがそれ以上悪化しないように、イワクマを制限している。

なのでイワクマが試合でマウンドに上った時、彼は5日間で始めて変化球を投げる。彼はスプリットフィンガード・ファストボールの状態や、ベストピッチさえ分からずに上がるのだ。にも関わらず彼は、すばらしいコントロールと配球を見せる。

「それは、とても印象的だ」ウィリスは言う。「彼がそれでも、信じられないコントロールでストライクゾーンの低めに投げるのは、印象的だ。彼は先発の間に、それを投げていないんだよ!」

イワクマは、 根気強さは言うまでもなく、常に素晴らしい状態であることでより信用を得ている。そして彼は、期待に応えている。

「彼はもはや、リーグ内の未知の投手ではない」ウエッジは言った。

そうだ。彼は、そんな状態ではいられない。彼は良すぎるからだ。そして彼のマメは、有名になった。

参考記事: Hisashi Iwakuma sets a blistering pace for Seattle Mariners By Jerry Brewer Seattle Times staff columnist