『ハッシュパピー バスタブ島の少女』で主演を務めたクヮヴェンジャネ・ウォレス

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キュートなニットワンピースと靴を、お気に入りのピンクで揃えたという9歳のアクトレス。彼女は、第85回アカデミー賞で、史上最年少の9歳で主演女優賞候補になった『ハッシュパピー バスタブ島の少女』(4月20日公開)のクヮヴェンジャネ・ウォレスだ。本作のキャンペーンで来日した彼女にインタビューしたら、物怖じすることなく、作品の撮影エピソードや将来について語ってくれた。

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まずは、2月に行われたアカデミー賞授賞式に参加した感想から聞いてみた。「この年でノミネートされたことには正直驚いたし、少し混乱もしたわ。授賞式自体はすごく楽しかったけどね。でも、実はアカデミー賞自体をよく知らなくて、テレビ放映も見たことがなかったの」とのこと。では、「特別なスターとかに会えましたか?」と聞くと「そういう人たちはみんなグラミー賞に出演していて、アカデミー賞授賞式には来ていなかったわ」と答えてくれた。どうやら映画よりも音楽に興味がある年頃なのかもしれない。

閉鎖的な河川近くのコミュニティー、通称“バスタブ島”で元気に暮らすハッシュパピー。ある日、100年に一度の嵐が島を襲い、島の人々の日常を奪っていく。苦労したシーンについては、泥地を長靴で歩くシーンなどを挙げた。「泥はあまり好きじゃないの。だから、あのシーンは、あまり楽しくなかったわ。また、豚に触らなければいけなかったのが大変だった。テレビとかの影響があるせいか、私がイメージする豚はピンクだったけど、今回は黒で気持ち悪かったわ」。

ハッシュパピーが大粒の涙をこぼすシーンには心を鷲づかみにされるが、あのシーンについて、演技未経験だった彼女はどんなふうに臨んだのか。「元々、人前で泣くタイプじゃないの」というクヮヴェンジャネ。「あのシーンは、おじいちゃんが亡くなった時のことを思い出して泣いたわ。でも、それじゃ足りないと言われて、監督やスタッフの人たちが、自分たちに起きた悲しい出来事を話してくれて、それを聞いからようやくあの涙になったの」。

本作の後、『SHAME シェイム』(12)のスティーヴ・マックイーン監督の次回作『12 Years a Slave』やミュージカル「アニー」の映画化作品が控えている彼女。「『12 Years a Slave』は、もう撮影が終了しているわ。奴隷制を描くもので、私は奴隷として働かされる男(キウェテル・イジョフォー)の娘役で出演したの。『アニー』は6月から撮影予定よ。今のところ、まだダンスレッスンしか準備をしてないわ」。

天才子役として世界に名を轟かせたクヮヴェンジャネ。もちろん、このまま女優としてスター街道を闊歩していくことが期待されているが、今のところ、女優業についてはそれほど欲がないようだ。「将来、歯医者になりたいの。でも、今は女優も続けていきたいと思っているわ」。きっと世界中の映画ファンが才能ある彼女を応援しているに違いない。

故郷の地が壊滅的な被害を受けても、希望を捨てず、たくましく生きていこうとするハッシュパピー。クヮヴェンジャネ・ウォレスの活き活きとした表情からは、命そのもののきらめきが感じられる。壮大なファンタジーだが、今を生きる我々に勇気を与えてくれる快作だ。【取材・文/山崎伸子】