ダイバーシティや女性の活用における日本のアイコンカンパニーを目指す

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人事部長インタビュー Vol.43

日本マイクロソフト株式会社 執行役 人事本部長 佐藤千佳さん

グローバル人材の育成を強化する同社の今後の核となる人材戦略とは?


■New Era、ワークスタイルの変革、若者支援の拡大で新時代に対応

業界にかかわらず経済状況など不安定要素はありますが、変化の激しいIT業界において日本マイクロソフトとして、2013年度の事業戦略に3つの柱を掲げています。1つは「New Era(新時代への変革)」。2つめが「ワークスタイルの変革」。そして、3つめが「若者支援の拡大」です。こうした戦略を持って、日本社会により信頼される企業を目指し、さまざまな改革を全社挙げて推進しています。
New Eraとは、これまでのようにソフトウェアだけにかかわっているのではなく、それを軸足に、会社としてデバイス&サービス カンパニ―を目指していくこと。その一例が、初のマイクロソフト製タブレット「Surface RT」の発売です。これまで培ってきたソフトウェアの力で、革新的なデバイスとクラウドサービスも提供していく方向にシフトしていきます。

ワークスタイルの変革については、自社のテクノロジーを使って、働き方を変えるとか、働く場所のハンデを乗り越えるなどに取り組んでいます。自社が先進事例となることはもちろん、市場のお客さまにもその分野で貢献していきたいと考えています。具体的には、現在は就業日5日中最大3日まで在宅勤務(テレワーク)を可能とし、場所に制限されず、かつ生産性を高めるために、自社のソリューションを使いながら、社員の多様な働き方を推進しています。
とはいえ、IT環境というハードのインフラが整っただけではうまく稼働しません。次に必要となるのが、ソフトインフラです。例えば、部下がオフィスにいて目の前で仕事をしていなくても、きちんと信頼してマネージメントできること。あるいは、より効率の良い仕事ができること。こうしたマインドセット(心的態度)の変化にも力を入れ、働き方と働く場所の両方の変革に取り組んでいます。

また、同様のコンセプトを持って変革していこうと考えているさまざまな企業に対してテクノロジーを提供し、ときには私も含めて社員が同行し、制度やカルチャーをどのように変えて実践していけばいいのかというお話をすることもあります。近年は、日本全体で声高にテレワークの取り組みが進められていますので、こうした機会も生かして、間接的・直接的にワークスタイルの変革を広めていこうとしています。

3つめの若者支援についても、ITテクノロジーを使って、進学や就労、起業をしやすくなるような活動を行っています。現在、学校ではタブレット端末による教育や、教科書のデジタル化などの動きが出始めています。こうした学習分野を、マイクロソフトとして支援しています。また、スタートアップ企業(起業したばかりの企業)に対しては、無償もしくは低価格でソフトウェアを提供するなどの起業支援を行っています。

大学生に対しては、社員が大学で講義やセッションを持って、ITをどう活用して効果的なプレゼンテーションを行うかなどをレクチャーし、社会に出たら即戦力になるような仕組みをつくって支援なども行っています。ほかにも、毎年『イマジンカップ』という全世界の学生を対象としたテクノロジーのコンテストを開催しています。こうした活動は、将来的なビジネス成長を見込んでいる部分もありますが、むしろ学生たちに自分のアイデアや技術を発表する場を提供したいという想いのもと、日本の未来を担う世代全体の底上げや社会への支援に軸足を置いた活動です。


■働くステージはもちろん、キャリア形成や評価制度もグローバル

私たちが考えるグローバル人材とは、どこの国で何人として仕事をしているかにこだわらない人。マイクロソフトにおける仕事は、日本にいても世界中のマイクロソフトの社員と情報を共有しながら行うことが多く、常に世界との接点が必要となります。日本のマーケットに関する仕事であっても、マイクロソフト全社の中から使えるリソースを獲得し、必要であればアメリカ本社ともコミュニケーションし、サポートを得て仕事をできるようなグローバルな人材の育成は、これからも引き続き強化していきます。

入社の入り口は日本かもしれませんが、働くステージはグローバル。ですから、社内でのキャリアの形成や評価の仕組みも、グローバルで推進しています。日本で働いているからといって、国内の5段階で評価するのではなく、他国で同じ仕事をしている同じレベルの社員との比較で評価しています。つまり、切磋琢磨する相手は日本国内だけではなく、グローバルなのです。社員は、次にやりたい仕事がどこの国にあるかという観点で仕事を考えています。海外駐在という観念とは少し異なり、次にやりたい仕事が日本にあれば日本で働きますが、シンガポールやアメリカにあれば、自由にそのポジションに応募して異動していきます。

日本では毎年30名前後、グローバル全体では約1000名の新卒を採用していて、彼らにはMACH(Microsoft Academy for College Hires)という全世界共通の2年間の育成プログラムを用意しています。主な研修は、日本で働きながら日本で行いますが、1年に数回は世界中から仲間が集まってトレーニングや会議を実施しています。こうしたプログラムはすべて英語ですので、それが理解できる英語力は必要です。MACHを通してネットワークができますから、仕事で聞きたいことがあれば同期の感覚でグローバルに連絡を取り合いますし、一緒にプロジェクトを遂行することもあるので、かなり結束力が強くなります。

日本マイクロソフトとして、2013年中には日本のIT業界の女性社員比率の平均値(営業・マーケティング・サービス部門で2割前後)を達成したいと考えています。女性は貴重な人材戦力であり、企業としての競争力をさらに強化するため、女性比率をさらに増やしていく必要があります。新卒の女性比率は約60パーセントと増えていますので、これからの課題は育成です。女性にも長く働いて、マネジャーやリーダーに昇格してほしいと考えています。

いろんな価値観や考え方、バックグラウンドを持った人たちが集まるダイバーシティ(多様性)によって、互いに刺激し合ってクリエイティブなアイデアが生まれたり、単一的な集団では気づかないことに気づくなど、ビジネスニーズに結び付く機会が増えます。その意味でも女性をもっと増やして、女性の声を多くしていきたいですね。もちろん、女性比率を高めるだけでなく、年齢の多様性や障碍(しょうがい)、国籍なども含めたダイバーシティにも取り組んでいます。それに伴い、属性や価値観の違う人たちが入ってきたときに、すんなりと受け入れられる会社のカルチャーづくりや、そのカルチャーを定着させることも今後取り組むべき課題だと考えています。

このようにして、2年後にはIT業界もしくは日本の企業の中でマイクロソフトが、ダイバーシティや女性の活用におけるアイコンカンパニーになることを目指しています。それは単に比率だけの問題ではありませんが、日本のIT企業が一緒にアクションを起こすことで、日本でITキャリアを追求する女性が働きやすい環境、女性にとって魅力的な業界にしていきたいと考えています。