百聞は一見にしかず──。どんな銘柄であっても決算資料などで公表されているデータだけでは、その潜在的な成長力を判断するのは難しい。だからこそ自ら企業訪問を繰り返すのが、グローバルリンクアドバイザーズ代表取締役・戸松信博氏の銘柄分析スタイルだ。ここでは、戸松氏が注目の成長ピカイチ企業を緊急訪問。経営陣に直接話を聞き、大化けポテンシャルの可能性を探った。

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 中国株への投資をきっかけに資産運用という世界に入った私は、これまで中国をはじめベトナムやラオス、カンボジアなどで数々の現地企業を直接訪問し、銘柄分析を繰り返してきた。経営陣への直撃インタビューはもちろん、メーカーならその製品を実際に使ってみるなどして、私の目と耳で実際に感じたことも投資判断の材料としてきた。

 もちろんその手法は「日本株」にも当てはまる。そこで、今回『マネーポスト』誌春号で紹介した大化け期待銘柄の中から気になる企業を直接訪問してみた。

 まずは、ベクトル(東証マザーズ・6058)である。同社は独立系では最大手のPR会社といわれるが、訪問するまでは、この不況下で企業の広告予算が減少する中、PRという事業にどこまで将来性があるのかという疑問もあった。しかし、同社のビジネスはそれとは一線を画すものだった。

 最近では情報や媒体が多様化し、企業側が多額の費用をかけて広告展開しても、思うような効果を得られなくなってきている。それよりもテレビ番組で紹介してもらったり、記事などで取り上げられたりした方が効果的なケースが多い。

 同社はクライアントから依頼を受け、そのような戦略PRを行なう企業である。しかも企業側の負担は一般的な広告よりも安価で済むため、この不景気の中、できるだけ広告コストを削減したい企業のニーズにもマッチしているといえよう。

 さらにグループ内には数多くのクライアントを確保し、国内最大級のプレスリリース配信サイトも有している。このような仕組みによって、顧客企業から継続的な依頼が期待できるのだ。

 同社の西江肇司社長が「われわれはみなさんが利用できる仕組みをつくる“インフラ屋”であり、一度積み上げたルートはなかなか崩れるものではありません」と胸を張るように、いわば「積み上げ型」のビジネスといえる。実際、プレスリリースを配信する「PR TIMES」の取引社数は昨年8月時点で累計4000社を突破、その後3か月で350社を超える新たな顧客企業を獲得しているという。

 このように、ネットを駆使したIT企業の側面も持つため、コストが比較的一定で利益率が高い。また、有利子負債が少なく、自己資本比率が高いため、売り上げの伸びがそのまま利益に直結するような財務体質も強みといえるだろう。

 何より注目は「成長性」にある。広告市場の規模が6兆円ともいわれるのに対し、PR市場はせいぜい800億円にすぎず、拡大の余地はまだまだある。同社のPR事業も「少なくともあと5〜10年は年25%程度の成長ペースが続くのではないか」と西江社長はみる。

 海外展開も積極的だ。すでに中国やインドネシア、シンガポールなどに拠点を築いており、「今後5年で海外売上高比率を日本より高め、アジアでナンバーワンのPR会社になることが目標です」(西江社長)という。

 そもそも利益率が高いだけに、売り上げの伸びを上回る利益成長率を達成できる可能性は高い。通期(2013年2月期)では売上高を26.9%増、経常利益を43.6%増、純利益を28.7%増と計画しており、これを達成した場合、予想PER(株価収益率)は約16倍。第4四半期は季節的に利益が集中するようで、上ブレも期待できるだろう。

※マネーポスト2013年春号