初心者も腐女子もぜひ読みたい! 「BL」の匂いがする一般小説作品3選

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男同士をテーマにした恋愛ものを総称して、“BL(ボーイズ・ラブ)”と呼びます。いまやBLの人気は留まることを知らず、漫画や小説、ゲームやアニメといった実に幅広い媒体や形態に渡って、読者である腐女子&腐男子たち(BLを愛好する男女)の心を魅了し続けています。

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そこで今回は、BL初心者の方はぜひ読んでおきたい!なかでも、一般文芸作品にスポットを当てて、BLっぽい匂いがする一般小説を3つピックアップしてみたのでご紹介します。「まだ専門のBL小説を読むには、ちょっと抵抗がある……」といった方は、これらの作品から入った方がBLの魅力を2倍も3倍も楽しめますよ。

■BLの匂いがする一般小説作品3点

活字離れがささやかれている昨今、今回は文章を読むことが苦手な方でも楽しめる、読みやすい本を集めてみました。では一体、これらの作品のどこがBLっぽいのか。どの辺りがBLの目線から見て魅力的なのか。活字ならではの見所についても触れながら、以下覗いていきましょう。

●『ネバーランド』著:恩田陸(集英社)

物語のあらすじは、「舞台は伝統ある男子校の寮『松籟館』。冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた。ひとけのない古い寮で、4人だけの自由で孤独な休暇がはじまる。そしてイブの晩の『告白』ゲームをきっかけに起きる事件。日を追うごとに深まる『謎』。やがて、それぞれが隠していた『秘密』が明らかになってゆく……」といった、7日間の青春グラフィティを描いた学園ものです。

作者のあとがきに書かれていますが、当初の計画では『トーマの心臓(著:萩尾望都)』をやる予定だったとか。たしかに話を読み進めていくと、トーマの心臓をオマージュにしたところが節々に確認できます。もっとも「夏休みの男子寮に、4人の少年が居残りをする」という舞台設定から見てみても、どことなくBLっぽい風味を醸し出していることは、お分かりいただけるのではないでしょうか。

実際、作中でも、主人公の美国が優等生の光浩の顔をジッと見つめながら「こいつ、肌きれいだな。……顔立ちも整ってるし、下手な女よりずっときれいかもしれない」という心理描写が描かれており、いかにもBLっぽいフォーマットが、そっくりそのまま形となって表れています。

「なんだよ」
 光浩は、美国の視線に気付くと訝しげな表情になった。
「おまえ、肌きれいだな。触ってもいい?」
「ゲッ。何じろじろ見てるのかと思ったら」
 美国が手を伸ばすと、光浩は慌てたような顔でサッとよけた。その面くらった表情が幼くて、なんとなくおかしくなった。

このような地の文や会話文が、本作にはいたるところに散りばめられていますが、なかには「本当にその手のやり取りがあったんじゃないのか……?」と推測できるような描写(たとえば、岩槻と3年生の高木先輩のエピソードなど)まで垣間見ることができます。これについての詳細が知りたい方は、ぜひ本書を読んでその真相を確かめてみてください。

●『青空の卵』著:坂木司(東京創元社)

物語のあらすじは、「僕、坂木司には一風変わった友人がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと、僕は日夜頑張っている。料理が趣味の鳥井の食卓で、僕は身近に起こった様々な謎を問いかける。鋭い観察眼を持つ鳥井は、どんな真実を描き出すのか。謎を解き、人と出会うことによってもたらされる二人の成長を描いた感動の著書デビュー作」といった、日常系のミステリーを描いたひきこもり探偵シリーズの第一弾です。

主人公の坂木は、外資系の保険会社に勤めているサラリーマンで、ひきこもりの親友のために日々面倒を見ている、非常に温和な性格の持ち主。かたや、親友の鳥井は自称ひきこもりで大の外出嫌い、自宅でプログラマーの仕事をしている名探偵です。その名の通り、ミステリーに分類される本書ですが、この作品の最も注目すべきところは、そんな坂木と鳥井との“友情関係”にあります。

たとえば、二巻の『子羊の巣』の冒頭シーン。鳥井が風邪を引いてしまって、坂木がなんとか病院に連れ出そうとしますが、鳥井が「行きたくない!」「医者は信用してねぇ……」と駄々をこねている描写があります。

 子供のように布団の中にもぐり込んだ鳥井は、僕の顔を隙間から、ちらちらとうかがう。その姿が巣穴の中の動物のようで、ちょっと可愛くもある。
「医者は信用しなくてもいいよ。でも、僕のことは信用してほしいな」
「いや、でも……」
 必死に最後の抵抗を試みようとする彼に、僕は最後の一言を突きつける。
「僕のことが信用できない?」
 うらめしそうな目で、鳥井が僕を見つめた。
「できなく、ない……」

どうですか?本人たちはいたって真面目にやっていることでも、腐女子の目から見てみると、ついニヤニヤしてしまいますよね。このように本作では、坂木が“友達として”鳥井を思いやる感情が、あたかもBLとして捉えられてしまう描写がたくさん含まれています。気になる方は、ぜひこの機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。

●『きみはポラリス』著:三浦しをん(新潮社)

物語のあらすじは、「これって恋or愛?いえ、これこそ恋愛そのもの。世間の注文も、原稿の注文も『恋愛』のことばかり。なら、とことん書いてみようじゃないの!ということで生まれたただならぬ『恋愛短編集』。初恋、禁忌、純愛、結婚、信仰、偏愛、同性愛……。本気で恋し、だれかを愛したいなら読むしかない!われわれの時代の聖典」といった、11の『恋愛』の形を描いた短編集。

こちらはBLの匂いがするというよりも、リアルに男同士の恋愛(=同性愛)をテーマに扱った作品になります。なかでも、「永遠に完成しない二通の手紙」と「永遠につづく手紙の最初の一文」の二編は、友人に片思い中の男性の心情をコミカルに、ときにセンシティブに表現されています。

登場するキャラクターは、底抜けに明るい性格の寺島良介と、勉強も運動もそつなくこなす岡田勘太郎のふたり組。小学3年生のときに、寺島が母親と引っ越してきて以来、現在の大学生になった今でも行動を共にする、仲のよい間柄です。しかし、いつしか岡田はそんな寺島のことを気にかけるようになり、彼が好きな女の子に手紙を書いているときも、ひとり悶々と気持ちをさらけ出すことができずにいます。

 寺島の髪の毛の先に、小さな煙草の灰がついていた。消えやすい雪に対するように慎重に、指でそっと払ってやった。
 寺島。俺の手紙は、永遠に投函されることはないんだ。
 それは俺の心のなかで、ひそかに、囁くように、つづられていくだけなんだ。

専門のBL小説のように、ハッキリと“ふたりが恋に落ちる瞬間や“性描写シーン”が描かれているわけではないので、BL初心者の方にはとても入りやすい話だと思います。もちろん、腐女子のみなさんにとっても、たまにはファンタジーと割り切ったBLではなく、リアルな同性愛ものに手を出してみてもいいのではないでしょうか。

■BL初心者にはうってつけの入門書!

どの作品も“BLから見た視点”を除いたところで、面白い作品ばかりです。「最近、BLに興味を持ち始めたけど、なにを読んでいいのか分からない」といった方から、「BLってなに?」といった初心者の方まで、幅広く楽しんでいただけること間違いなしの3点です。ぜひ書店でお見かけの際は手にとってみて、活字ならではの世界に酔いしれてみてくださいね。

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