[其ノ一 株ファンダ編]個人急増!アベ相場は株初心者にやさしい⁉
これまで日本株を左右するのは外国人投資家といわれてきたが、アベノミクスで一変!相場の主導権を握るのは個人投資家だ。この構造転換で売買手法にも見直しが必要に。


メジャー株の25日移動平均線での逆張りが個人好み

アベ相場が株式市場の構造に変化をもたらしています。簡単にいえば、個人投資家が一気に増えている。それがわかるのが下の円グラフです。

東証が毎週公表する投資主体別売買動向の売買シェア(株数ベース)を、アベ相場の前後で比較しました。

アベノミクス直前(2012年11月第1週)の外国人シェアは68.3%、個人は19.9%。それが、今年の2月第1週には外国人が47.5%まで低下し、一方で個人が42.7%に急上昇したのです。

これは、今年に入って信用取引のルールが変わったことも大きな要因です。?無制限信用〞という武器を手に入れた個人投資家が、低位株を好んで回転売買している構図がうかがえます。

2月には、東証1部の売買高が1日50億株を超える日がありました。これは、歴代2番目の記録。1位は大震災直後の2011年3月15日で、この日が?パニック売り〞で売買が膨らんだという特殊事情を考慮すれば、今は「史上最強の回転売買相場」といえるでしょう。



売買手法の面から見ると、上昇局面で買い越し、下落局面で売り越しとなりやすいのが、外国人投資家(順張り)。一方で、上昇局面で売り越し、下落局面で買い越しとなりやすいのが、個人投資家(逆張り)です。後者が明らかに増えている以上、相場の動き方も変化すると考えられます。つまり、「下がってくると切り返す」ケースが増えるということ。「どこまで下がったら買いが入るか」でいえば、25日移動平均線(以下、25日線)であることが多いようです。

たとえば、信用買い残の増加から個人投資家の活発な売買が想像できるのが、野村ホールディングスです。年初から調整色を強めたものの、25日線で急速に切り返して第2弾上昇につながりました。

バイオ株では一番人気がナノキャリア、これもキレイに25日線で切り返しました。投資期間が短期なら、?割高上等〞で売買される値動きの軽い銘柄の場合、投資判断にPERやPBRは使えません。となると見るものはチャートで、多くの投資家が25日線などを逆張りの?目安〞にして、似たような投資行動をとっている結果と考えられます。

また、投資家が売買している銘柄も重複しているようです。自動車では断然マツダ、証券では野村HD、銀行でいえばみずほフィナンシャルグループといった具合です。

そして、この25 日線を目安にした投資行動が、「同じ業種の他銘柄」にも波及する傾向が鮮明です。

前述の野村HDが25日線で切り返すと、同時に他の証券株が一斉高しました。各業種で一番影響力のある(視聴率の高い)銘柄の動きを見ておくことが、今は一番役立つようです。

最近の相場を見て参戦した初心者の投資家が多いことも影響しているのかもしれませんが、キホンの?キ〞に立ち返った戦略が機能するアベノミクス相場は、みんなにやさしい相場かも!?

※PER=株価収益率、PBR=株価純資産倍率。





【今月のファンダ師匠】
岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターをこなす。



この記事は「WEBネットマネー2013年5月号」に掲載されたものです。