「とりたてて理由はないものの、毎日が憂鬱でなにもする気がしない」

「近い将来、とんでもなくヒドいことが起こるにちがいないと思う」

「ときどき不安でいてもたってもいられなくなる」

 こんなふうに感じることはありませんか?

 うつ病はなぜあるのでしょうか。現代の進化論では、この謎を次のように説明します。

 人類がその歴史の大半を過ごした石器時代では、サバンナの真ん中で昼寝をする太っ腹より、ささいな物音にもびくびくしている小心者のほうが子孫を残す率が高かった。火と武器を手に入れるまでは、ヒトはマンモスなどの大型獣を狩る狩猟者ではなく、肉食獣のエサだったからだ――。

 もちろんいまでは、街を歩いていたらいきなりライオンが襲ってきた、などということはありません。しかし遺伝子は文明の進歩に追いつくほど早く変化できないので、私たちはまだ石器時代のこころのままコンクリートジャングルを生きています。必要以上に将来を悲観したり、実体のないものを恐れたりするのは、原始人だった頃の名残なのです。

 とはいえ、いつもおどおどしているだけでは新天地を開拓することなどできません。どんな環境でも生き延びて子孫を増やすには、好んでリスクをとる冒険者が必要です。

 不安神経症的な傾向はすべてのヒトに共通しますが、うつ病の出現率は人種によって異なることが知られています。うつ病は日本、中国、韓国など東アジアの国に多く、アメリカやイギリスなど欧米諸国ではそれほどでもありません(「うつ状態」の出現頻度は米国人の9.4%に対して日本人は30.4%)。

 これまでこの現象は、集団主義的で抑圧的な文化と、自由で開放的な文化のちがいだと考えられてきました。ところが最近、「東洋にうつ病が多いのは遺伝的なものだ」という研究が出てきました。

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