春場所は3月24日、横綱白鵬(28)が2場所ぶり24回目の優勝を史上最多の9回目の全勝で飾り幕を閉じたが、こんなにヤマ場に乏しく、盛り上がりに欠けた場所も珍しい。

 白鵬の対抗馬、というよりも、本命と目された先場所の覇者の日馬富士が序盤に平幕相手に2連敗し、場所前、北の湖理事長が、「1人でいいから大関が優勝するくらいの気迫を持ってもらいたい」と期待していた大関陣も総崩れ状態。
 これでは、先場所の雪辱の意気に燃える白鵬を止められない。4日目には早くも単独トップに立ち、日を重ねるにつれて後続との差は開くばかり。
 「まさに1人、無人の野を行くが如しでしたね。あれは9日目の朝でした。前の日、豊ノ島にも敗れて3敗に後退した日馬富士が朝稽古を抜け出し、稽古場の前の公園で鳩に持参したパンをちぎって投げたんですが、一羽も寄ってこないんですよ。これには日馬富士も苦笑いし、『弱い横綱のエサは鳩も欲しくないみたいだ』とボヤきまくっていました。勝負ごとは負けてはいけないということを絵に描いたようなシーンで、逆にあのあたりから白鵬に独走に拍車がかかりましたね」(担当記者)

 もっとも、白鵬も体調万全だったワケではない。前半は朝も稽古場に降りていたが、後半に入ると自室に閉じこもって姿を見せない日も。原因は左耳の化膿で、11日目には傷口からバイ菌が入ってリンパ節炎を起こし、病院で点滴を受けている。しかし、これで返って気合いが入り、13日目に早々と優勝を決めてしまった。
 「この春場所、笑ったのは白鵬と、春場所担当部長の貴乃花親方の2人だけですね。白鵬は最後まで力を抜かず全勝して、ひとりで場所を支えました。貴乃花親方も、この低調な盛り上がりの中、ノルマにしていた去年の9回を超える10回の大入り満員を達成しました。次期理事長に向かって一歩、歩みを進めたというところでしょう。あとは、日馬富士を筆頭に全員丸坊主ものです」(協会関係者)

 こんな場所はもうたくさんだ。