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ほとんどの従業員は車で通勤するため、
駐車場のスペースはとんでもないことになっている。

必然的に切り返しのスペースなど、ない。
奥に駐車した人は「車を動かしてください」と
遠慮がちに言わなければならない。

ぎちぎちに止めている車たちを眺めると、
ワーゲン・バス、ルノーサンク、BMWのZ3、パンダ、
ボルボ240、サーブカプリオレ、どでかいアメ車のステーションワゴン、
など個性の強い車ばかりで、予断なく駐車場を見た人はここを
外車のバッタ屋だと思うだろう。


遠くから眺めて、ヴィレッジ・ヴァンガードを証するものはどこにもついてない。
入口のところに申し訳程度につけてある
アルミのプレートが唯一VVの存在を示している。

遠来してくるお客さまには分かりにくくて申し訳ないと思っている。
地下鉄藤ケ丘という駅から3メーターくらいの距離だけど、
最初のうちはタクシーの運転手さんも分からなくて困っていたらしい。

今はそういうことは聞かなくなった。

気に入っていた事務所だが引っ越しの準備にとりかからなければならない。
20年はもたせる気持でとりかからないといけないと思っている。
 
洗車場の跡地なので「またのおいでをお待ちしています」
と書いた看板が駐車場の出口の上にアーチ状に架かっている。

ひどく錆びていて見てくれが悪いのだが、外さないでそのままにしておいた。

「菊地さん、あの看板は外さないのですか?」
某証券会社の役員に聞かれたことがある。

「あれねぇ。経常50憶になれば外そうと思っています」
「菊地さんらしくていいですね」
 
こんなことも含めて大好きな事務所だった。



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■プロフィール■ 

菊地敬一
ヴィレッジヴァンガード創業者。

1948年北海道生まれ。
賞罰共になし。
原付免許、普通自動車免許、珠算検定6級 保持。
犯歴前科共になし。

大学卒業後、書店勤めを経て、39歳で独立。
名古屋で、遊べる本屋『ヴィレッジヴァンガード』を創業。
独自のセレクトとPOP、ディスプレイで
「変な本屋or雑貨屋」としての地位を確立し,
396店舗を展開するに至る。