ドンチュック村の家。電気も水もないのがふつう。自動車用のバッテリーを電源としてテレビを見る家もある=コンポントム州で【撮影/木村文】

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朝日新聞のマニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住、現地のフリーペーパー編集長を務めた木村文記者が、カンボジア農村部の識字率の問題についてレポートします。

識字率の低さと貧困の関係

 日常生活の中で、「読み書き、計算」が満足にできないことを想像してみて欲しい。買い物、料理から医療、契約まで、さまざまな不都合や危険が思い浮かぶだろう。

 カンボジアの農村で、読み書き、計算を使いこなせない「機能的非識字者」は6割にものぼる。

 カンボジア政府の国勢調査(2008年)によると、全国の「識字率」は約77%。これでさえ東南アジア10カ国の中ではラオスに次いで低いのだが、この数字は「読み書きができますか」という問いに対する自己申告なのだそうだ。2000年に国連のユネスコなどが識字率を客観的に調べたところ、カンボジアで読み書き、計算を使いこなせる人は約37%にとどまったという。

 日本のNGO「シャンティ国際ボランティア会(SVA)」(本部・東京都新宿区)は、今年から5年間、「図書館活動を中心としたコミュニティラーニングセンター事業」として、カンボジア中部コンポントム州など国内6ヵ所で大人のための識字教室の運営を支援している。

 SVAは、カンボジアの子供たちへの教育支援で長い経験を持つ「老舗」NGOの一つだが、大人に対する識字教育支援は初めての取り組みだ。内戦が終わり、経済成長を遂げるカンボジアには、就職にしても商売にしても、ビジネスチャンスがたくさんある。しかし、読み書き、計算ができないのではその機会を逃す。その口惜しさから、識字率の低さが貧困に結びついていることを人々が身に染みて知る場面が増えてきたこともあるのだろう。大人たちの学習意欲が、これまでにないほど高まっているのだという。

 SVAの事業地であるコンポントム州ニーペック・コミューンのドンチュック村を訪れた。

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