当サイトでも度々取り上げてきた大型4Kテレビ。いまでも十分に高画質なフルハイビジョン(HD)のさらに4倍もの画素数を誇る「超高精細」が“売り”なのだが、消費者の関心はいまいち。ほとんど普及してこなかった。その一番のネックは価格だ。

「店頭でも展示していますが、なにせソニーの84型が168万円、シャープはそれよりも小さな60型なのに262万円もするため、お客さんは値札を見て素通り。HDの薄型テレビなら60型でも20万円台で買える時代ですからね」(大手家電量販店の店員)

 しかし、ようやく各社とも安価なモデルの発売に踏み切る。先陣を切ったのは、テレビ事業の度重なるリストラを経て再起を図るソニー。4月11日に発表した4K対応『ブラビア』(6月1日発売)の市場推定価格は、65型で75万円、55型で50万円。「1インチ1万円以下が普及のブレイクスルー」(業界関係者)と言われていただけに、その問題はほぼクリアしたことになる。

 ソニーに続いて廉価版4Kを出すと予告しているのが東芝だ。同社は4K開発のパイオニアで、2015年には58型以上の大型テレビの9割を4Kにすると鼻息も荒い。それだけに、価格競争力で他社に負けるわけにはいかない。

 たとえ普及価格帯の4Kテレビが出揃ったところで、まだ課題も山積する。家電ジャーナリストの安蔵靖志氏が解説する。

「いま4Kテレビを買っても放送コンテンツが4Kに対応していないため、HDと4Kの画質の違いが分かりにくいからです。総務省は来年ブラジルで開かれるサッカー・ワールドカップの決勝トーナメントに合わせるように4K試験放送を始める予定ですが、それを見るのにも別途チューナーを買わなければキレイな画質を堪能できない可能性が高い」

 高額商品のうえに、さらに出費が必要となれば、わざわざ先走って4Kテレビに買い替える必要もない。そこで、ソニーが打ち出しているのが画質プラスアルファの付加価値である。

 新型4Kブラビアは、デジカメやスマホで撮った静止画や動画を簡単に4Kテレビに映し出せる機能を搭載しているものの、『Xperia』はじめソニー製の機器にしか連動しないなど、現段階で汎用性が高いとはいいがたい。対する東芝も番組を何日分か自動でまるごと録画する機能を4Kテレビでも進化させるはずだが、どこまで消費者の興味を引けるかは未知数だ。

 果たして4KテレビはHDに取って代わる存在になれるのか。それとも期待先行で3Dテレビのように沈んでしまうのか。

「海外では中国の海信集団(ハイセンス)や台湾メーカーが日本勢よりも安価な4Kテレビを出しているので、すでに価格競争では太刀打ちできません。となると、ソニーのように大型でハイスペックの機種に絞って勝てるケンカをするしかありません。もう生産縮小や撤退といった決断は取りたくないでしょうしね」(前出・安蔵氏)

「テレビを絶対にコモディティ化(一般化、大衆化)しない」と、発表会でも繰り返していたソニー業務執行役員の今村昌志氏。4Kテレビの普及は、日本メーカーの威信をかけた戦いともいえる。じゃあ、いつ買うか?