「ドゥ・ザ・ライト・シング」の場面写真写真:Album/アフロ

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2013年4月4日、アメリカを代表する映画評論家のロジャー・エバート氏が、がんのため70歳で死去した。エバート氏は、歯に衣着せぬ物言いで酷評することも恐れなかったが、一方で、気に入った映画は熱狂的に支持し擁護した。米映画サイトThe Playlistでは、故ジーン・シスケルとともに司会を務めたテレビの映画番組「At the Movies」での評論を中心に、エバート氏が支持したことで、多くの映画ファンが影響を受けた5作品を選び出している。

▽「フープ・ドリームス」(94/スティーブ・ジェームズ監督)
エバート氏の94年度および90年代のベスト1作品。2人の黒人少年が、それぞれNBA選手を目指して高校、大学へと進んでいく姿を追ったドキュメンタリー。ドキュメンタリーとしては異例のヒットとなったのには、エバート&シスケルの後押しの影響もあったと思われる。なお、本作のジェームズ監督は、マーティン・スコセッシのプロデュースのもと、エバート氏に関するドキュメンタリーに着手している。

▽「ドゥ・ザ・ライト・シング」(89/スパイク・リー監督)
エバート氏の89年度ベスト1。酷暑のブルックリンを舞台に人種間の対立を描いた、スパイク・リーの衝撃作。リー監督は、エバート氏の死去に際して、「親愛なる友人ロジャー・エバートを失ってしまった。ロジャーは僕の作品(特に『マルコムX』と『ドゥ・ザ・ライト・シング』)を最初に評価してくれた主要な映画評論家のひとりだった」とツイートした。

▽「モンスター(2003)」(パティ・ジェンキンス監督)
エバート氏の03年度ベスト1。アメリカ史上初の女性連続殺人犯となったアイリーン・ウォーノスの実話を映画化。主演のシャーリーズ・セロンは13キロ太って特殊メイクで熱演、アカデミー主演女優賞を獲得したが、エバート氏もその演技を激賞していた。

▽「デカローグ」(89/クシシュトフ・キエシロフスキー監督)
ポーランドの鬼才キエシロフスキー監督による全10話からなるテレビミニシリーズ。うち2話は「殺人に関する短いフィルム」「愛に関する短いフィルム」として劇場公開された。当時、アメリカでは映画祭以外での上映はなかったが、エバート氏は番組内で本作について熱く語っていた。英「サイト&サウンド」誌が10年に1度、世界中の映画評論家を対象に実施する「史上最高の映画(Greatest Films of All Time)」アンケート2002年版の1本にも挙げている。

▽「ロジャー&ミー」(89/マイケル・ムーア監督)
エバート氏の89年度ベストの第5位。故郷ミシガン州フリントにおけるGMの工場閉鎖・リストラ問題を撮った、マイケル・ムーアの監督デビュー作。テルライド映画祭で上映されるとたちまち評判となったが、事実よりも感情を強調するような編集を批判する評論家も多かった。エバート氏はそうした意見に反論する記事を書き、ムーア監督を擁護していた。

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