2011年2月にROCで組まれたユライア・ホール×コスタ・フィリッポウ戦。両者とも駆け出し、4分×3Rで行われマジョリティ判定でフィリッポウに凱歌が挙がっているが……、今戦うとどうなるか。ミドル級トップランカーを相手にそう思わせるだけの活躍をTUF17 でホールは見せてきた(C)KEITH MILLS

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13日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのマンダレイベイ・イベンツセンターで開催される「The Ultimate Fighter: Team Jones vs Team Sonnen Finale」=TUF17 Finale。今週火曜日にシーズン17の中継が終了し、ファイナルのカードが決定。6桁複数契約を賭けて対戦するのは、戦慄の破壊屋ユライア・ホールと弱冠21歳、無敗のケルヴィン・ガステラムとなった。

チェール・ソネンとジョン・ジョーンズ、両コーチによる舌戦が期待された今シーズンのTUFで、ハウス入り後の3試合を全てTKO勝ちしたユライア・ホールの活躍からまずは振り返りたい。意外にもソネンが人格者ぶりを発揮し、コーチ間の遺恨勃発という場面は見られなかったにもかかわらず好試合が続き、ダナ・ホワイト社長をして「TUF史上最もエキサイティングなシーズンの一つ」と満足げに語らしめるものとなった。

なかでも戦慄的なまでの強さを見せつけたのが、ジャマイカ出身、ニューヨーク育ちのユライア・ホールだ。ハウス入りを掛けたイリミネーションマッチではアンディ・エンズ相手に変幻自在の打撃、テイクダウン、下からのサブミッションと三拍子揃った動きを披露し判定で完勝した。ホールの身体能力と素質を高く評価したチェール・ソネンによって、ドラフト2位で指名される。

幼少時にニューヨークに移住した際、学校でいじめに遭遇したのがきっかけで格闘技をはじめたというホール。番組中も騒ぐハウスメイトたちから距離を置いて一人静かに佇むなど、 独特の影のある存在感を示していた。同時に幼少時のトラウマを今も抱えているせいか、チームメイトにからかわれると途端に心を乱して暴言を吐く場面も。ソネンはホールを評して「ユライアは無限の可能性を秘めている。最大の敵は、自分自身の心だ」と語った。

そんなホールの恐るべき潜在能力は、初戦で早くも爆発することになる。アダム・セラを打撃で翻弄した挙げ句に、1R終盤に上段回し蹴りでの失神KO勝ち。特に予備動作もなく流れの中で放たれたにもかかわらず、恐るべきスピードと破壊力を持った一撃と、マットに沈んだままぴくりともしないセラを見て、ジム内に戦慄が走った。

ホールの準々決勝の相手は、JJのパートナーにして敗者復活で勝ち上がってきたロバート・“ババ”・マクダニエルだった。試合開始早々、前に出たマクダニエルにホールが右を合わせると直後に昏倒、僅か9秒での秒殺劇となった。目を破壊されて動けないマクダニエルの治療がオクタゴン内で行われるなか、ソネンはホールに「5年間この階級でやってきた俺が言う。お前はすでに、UFCミドル級のタイトルコンテンダーだよ」と静かに語りかけた――。

ある意味、この2つの試合が遥かに及ばない衝撃を残したのが、続く準決勝戦だ。テイクダウンを狙ってくるディラン・アンドリューズに対し、ホールは閃光の如きジャブと多彩な蹴りを駆使して、相手の顔面を血まみれに染め上げていく。2R、執念で組み付いてきたアンドリューズにテイクダウンこそ許したものの、ホールは下からのキムラで逆襲。やがて極めきれないと判断したホールは、ガードからのパンチ連打に移行する――と、こともあろうか、この攻撃によってトップをキープしていたアンドリューズが崩れ落ち、勝負が決した。ボトムからの寝技パンチでKO決着に際し、ダナ・ホワイトは「The nastiest, deadliest, meanest guy in the TUF history(TUF史上、もっとも恐ろしく、殺人的で、すさまじい男)」という言葉で、ホールを評した。

タイガーシュルーマンというNYやNJに一大ネットワークを持つ、元空手道場所属のホール。ROCではクリス・ウェイドマン、そしてコスタ・フィリッポウに敗れていることで、東の人材育成プロモーションから、直接UFC入りすることは叶わなかったが、ウェイドマンとフィリッポウというセラ&ランゴの同門のオクタゴンでの活躍を尻目に、荒々しい野性味を身に着け、TUF史上初のマンダレイベイでファイナルに相応しいユライア・ホールだ。