【バンダイ】年間販売1000万台/団塊ジュニアと、その子供の2世代だけでガンプラ売上高の何と6割を占めている。彼らは1人ひとりガンダムに対する強い思いを持っており、楽しみながらガンプラづくりに励む。

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■父子鷹商法:今日も子供と楽しむガンプラづくり

1980年の発売以来、世代を超えた支持を集める機動戦士ガンダムのモビルスーツプラモデル、通称「ガンプラ」は12年3月末までに累計4億1400万台を出荷。現在も年間約1000万台が順調に売れている。

その消費を担っているのが、団塊ジュニア世代の父親と男の子。80年頃は父親がおおむね小学生で、いま、その子供たちが学校に上がっているわけだ。そして、この2世代でガンプラ売上高の6割を占める。「おそらく彼らには、組み立てて遊ぶという模型特有の文化がある。親子で完成するまでの工程を楽しんでいるのだろう」とバンダイホビー事業部マーケティングチームの柿谷太一朗リーダーは話す。

意外なのは、1つのプラモデルを2人がかりで組み上げるのではなく、父親は2000円前後の最新モデルを作り、その横で子供が入門的なプラモデルに挑戦している点だ。親と子の両方にガンダムシリーズの映画やアニメによって培われた、それぞれの“ガンダムストーリー”があるのだろう。

バンダイホビー事業部でも、そうしたトレンドは12分に心得ており、ガンダムの劇場版公開に合わせたイベントやコアファン向けのプロモーションに余念がない。柿谷氏は「つい最近は『つくろうガンプラ!』をキャッチフレーズに、プラモデル着色用の豪華マーカーが当たるキャンペーンを打った。500人の当選に8万通もの応募があった」と嬉しそうに語る。

こうした“父子鷹商法”をきっちり行っていくことで次世代のファン育成にもつながっていく。団塊ジュニアの孫世代を見据えたロングセラーのマーケティングということができそうだ。

■草食系中年:子供の食育で土いじりパパ急増中

都心から車で1時間強。千葉県香取市の田園地帯に和郷が運営する会員制農園リゾート「ザ・ファーム」はある。広さは15ヘクタールで、2009年から整備に取りかかり、11年夏、500区画の個人向け貸農園募集をスタート。1年目は60区画が埋まった。

立ち上げから事業に関わっている同社プロジェクトマネージャーの蓮池良太氏は「ここでは農作物に“旬”があることを体験してもらう。種まきからはじまって、肥料を施し、収穫しますが、自分で育てた作物はどんなものより美味しい。お子さんの野菜嫌いもいっぺんに直ってしまう」と話す。

つまり食育ということだが「子供に自然と食を教えたい。と同時に自分たちも一緒に楽しみたい」というニーズは、30〜40代の夫婦に多いという。貸農園の年代別利用で見ると、この団塊ジュニアを含む層が3割。住んでいるところは、都内と神奈川県で大半を占める。土日も関係なく働くというのはもはや昔の話。いまでは“草食系中年”が増えているようである。

「朝早めに自宅を出発して、昼前にはここに到着し、農場で作業をする。新鮮な野菜でお腹が一杯になったら、周囲の森で遊んでもいい。昆虫もいて、普段はあまり格好いいところを子供に見せる機会のない父親にとって出番が多い」と蓮池氏はいう。

ファーム全体は整備が続いている最中で、クラブハウスや宿泊用コテージ、レストラン、直売所などもオープンする予定である。そうなると、ここを拠点に周辺の山や海にも足を延ばせることになり、レジャーの楽しみも倍加しそうだ。

■増税抵抗消費:就学期迎えてさらに住宅購入意欲を刺激

家を持つということには結婚と同じように適齢期がある。それを裏付ける数字が、総務省の「住宅土地統計調査(08年度)」に表れている。1番目の子供が3歳未満では68%もある借家率が、6〜9歳になると36%まで下がる。つまり、就学期の子供を持った団塊ジュニア層は、戸建て住宅マーケットからすれば潜在成長力を秘めているといっていい。

これを受けて、大和ハウス工業では昨秋、都心に住む30代をターゲットにして、共働き子育て世代向け住宅「ジーヴォリアン」を投入。年間販売千数百棟を目指すという。この戦略商品のコンセプトについて同社住宅事業推進部の金田健也次長は、「家族との絆を深めるというテーマで企画・提案しました。この世代に特徴的な、いろいろな仕様から自分のライフスタイルに合ったものを選びたいというニーズにも配慮した」と説明する。

具体的には、1階と2階の階段の踊り場を拡張した「ファミリーステージ」は、そこから父親が子供たちを見守るという設定。また、玄関スペースをゆったりと確保し、日曜大工などに使える「パパ土間」といった工夫である。

ところで、団塊ジュニアの親たちである団塊の世代も元気だ。最近では、子供夫婦との関係も「近居・育孫」がキーワードになっているらしい。おおよそ30分圏内に住み、シニアが孫とも頻繁に触れ合う。こんな良好な付き合いになれば、住宅取得資金の援助も期待できる。住宅ローンの金利も下がり、再来年には消費税増税もある。間違いなく駆け込みの増税抵抗消費のウエーブが期待できるだろう。

■時間よ止まれ願望:脱毛症でお墨付き得て1人勝ちのリアップ

男性が発毛剤、育毛剤のCMを気にし出すのは、シャンプーの際に指に絡まる抜け毛が多くなったときだ。早い人だと20代後半からなることがあり、頭の毛を鏡で見ながら「時間よ止まれ願望」を抱く団塊ジュニアも多い。

そうした願望を満たす発毛・育毛剤の市場規模は12年3月末で約360億円。そのなかでシェア50%強と1人勝ちなのが大正製薬の「リアップ」だ。11年度のメーカー出荷額は142億円で、この5年間で実に42%も伸びている。

好調さの要因を広報室の衞藤淳主事は、「09年6月に発売された『リアップ×5』の存在が大きい。有効成分ミノキシジルを5%に増量したことに加え、10年には日本皮膚科学会が脱毛症診療ガイドラインで外用としては唯一『強く勧められる』としたことも、強いアピールになった」と分析する。

とはいえ、毛髪が成長するまでには時間がかかる。衞藤氏によれば「効果が期待できるのは、おおむね4カ月」。1本、ひと月分が7400円の「リアップ×5」なら3万円近い出費だ。それだけの費用対効果を得るためのポイントの1つが使い始めの時期である。

「当然、若い方のほうが効果は出やすい。もちろん新しく生えることが最大の改善だが、抜け毛が減ってくるとか、うぶ毛、細い毛髪が濃く、太くなるということも大きな変化。つまり、進行が抑えられ、現状を維持しながら発毛を促していくことになる」(衞藤氏)

現在、大正製薬では営業マン900人が店頭に出向く直販体制を整えており、リアップの効果を団塊ジュニアをはじめとするユーザーに強くアピールしていく考えでいる。

■お洒落アラフォー:気になる体形の崩れ。お悩み解決売り場誕生

「11年3月1日、大阪を皮切りに全国の基幹6店舗に展開した。初年度10億円の売上高を目指したが、東日本大震災の影響を受けてしまい、やや及ばずに終わった。その後は順調に伸び、今年度でのクリアはまず間違いない」

大丸松坂屋百貨店のアラフォー女性向け衣料品の新型スタイルの売り場「シーズンメッセージ」に携わる本社営業本部マーチャンダイザーの山崎敏子さんはこう振り返る。

同じ名前のゾーンは、ミセス向けの単品売り場ということで以前からあった。しかし、人口の多い団塊ジュニアの女性たちが40歳前後にさしかかっており、彼女らに向けた品揃えに特化して販売拡大を狙った。各売り場の面積は異なるが、品揃えは共通でパンツを核とする。そしてパンツなら8000〜1万5000円までの比較的リーズナブルな価格で提供している。

「基本は“アラフォー女性のお悩み解決売り場”であること。彼女たちは出産を経験したりして、体形に変化が現れ始めている。それを無理に隠すのではなく、きれいなシルエットはしっかり見せるというスタイルアップで特徴を出した」と山崎さんはいう。そんなお洒落アラフォーのニーズを満たそうと、有名ブランドのインナーとパンツとの組み合わせも提案してきた。

1年半、売り場を運営してきて見えてきたのは、団塊ジュニア女性の堅実な消費行動だ。バブル崩壊後に社会人になっているので、1万円を使うにしても、商品にそれに見合うだけの価値があるかどうかを判断している。それだけに今後の売り場づくりが将来の成否を左右しそうで、山崎さんはさまざまなプランを練っているところだ。

(野澤正樹、岡村繁雄=文)