【インタビュー】ファッションで世界と戦うには – クリエイティブディレクター 源馬大輔 (第2回/全2回)

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 取材・文: 編集部  写真: 三宅英正  英語翻訳: クレイトン・ロング

 

いまをときめくファッションブランド sacai (サカイ) のクリエイティブ・ディレクションをはじめ、香港の高級百貨店 Lane Crawford (レーン・クロフォード)のバイイングなど、世界的に注目を受ける国内外のブランド・ショップの仕事を手がける源馬大輔氏。仕事の幅は広く、コンサルティングからマーケティング、商品開発、そして内装ディレクションまで及ぶ。20 代前半よりロンドンのハイエンドなセレクトショップ BROWNS (ブラウンズ) でキャリアを積み、 2002 年の帰国以降は、中目黒のセレクトショップ Family (ファミリー) の立ち上げや、アタッシュ・ド・プレスの Pred.P.R. (プレッドピーアール) を設立させた。ドメスティックとインターナショナルの両方の視点を持つ源馬氏に、グローバルで成功するためのヒントを探った。

 

 (第1回/全2回) 【インタビュー】ファッションで世界と戦うには – クリエイティブディレクター 源馬大輔

 

- いま海外に進出したい日本のブランドが多いと思うのですが、世界の舞台で活躍するにはなにが必要でしょうか?

やはり海外でやろうと思ったら、少し海外の常識を知る必要があると思います。 海外で評価されたいのなら、ある程度向こうの常識というものをくみ取らない とむずかしい。知らずに自分たちだけの理屈でやるというのはすごく大変なことです。もちろん日本人のスタッフも優秀ですけど、例えば sacai の場合、Karl Templer (カール・テンプラー) という人がスタイリングをやってくれています。彼は本当に洒落にならないくらいすごいです。仕事の詰め方もそうだし、彼にイメージを伝えるとすぐに理解してくれる。

 
Photography: Junichi Akahira
sacai Spring/Summer 2013 Collection


Photography: Junichi Akahira
sacai Spring/Summer 2013 Collection

 
Photography: Junichi Akahira
sacai Spring/Summer 2013 Collection


Photography: Junichi Akahira
sacai Spring/Summer 2013 Collection

 
Photography: Junichi Akahira
sacai Spring/Summer 2013 Collection


Photography: Junichi Akahira
sacai Spring/Summer 2013 Collection

 

- 最近注目している国内外のデザイナーいますか?

White Mountaineering です。デザイナーの相澤陽介くんは、世代的には僕より年下ですけど、COMME des GARÇONS (コム デ ギャルソン) 出身ということもあり、海外で勝負するということを知っています。

 

- 海外と比べて、日本のファッション産業はどうですか?

米国がすごいと思うのは、昔から「スターを作ろう」という明確なコンセプトがあるところです。Anna Wintour (アナ・ウィンター) たちが中心になって、スターにするためにお金を使う。Marc Jacobs (マーク・ジェイコブス) からはじまり、Thom Browne (トム・ブラウン)、いまでいうと Alexander Wang (アレキサンダー・ワン) はまさにそうです。もちろん彼は実力もあり、コミュニケーション能力もある。その上で、その後押しに乗って、いまの米国が狙っているマーケットに対して、しっかりと実力を発揮しています。個人的にはそういうことをもっと日本もやったら良いとおもっています。例えば、日本でも UNDERCOVER のジョニオくんや TAKAHIROMIYASHITATheSoloIst. (タカヒロミヤシタザソロイスト.) の宮下貴裕くんとかはスターですよね。Japan Fashion Week (JFW) のコミッティを少しやっていて分かったのですが、日本では予算の付け方など、すべてに対して平等にしようという傾向がある。そのため米国などと比べてスターが生まれにくい状況になっているとおもいます。もちろん実力がないとダメですが、力のあるのデザイナーをピックアップして大々的にプロモーションするのも良いかなと。でも日本では実力があるデザイナーでも匿名性を求めるケースが結構あったりしますよね。

 


- いま日本のファッション産業がかかえる課題に対して、源馬さんは今後どのような関わり方を考えていますか?

地球はどんどん小さくなってきているし、感覚的に近いような人たちがたくさんいるような時代になってきました。マーケットにおいても、日本やアジアのように変にくくらないで、グローバルに捉えていけると良いとおもいます。日本はなまじマーケットが大きいため、なにをやってもついついガラパゴス感が出てしまう。とくに日本のファッション業界が採用している値付けのシステムは日本特有で、海外ではまったく別のやり方がとられています。だから海外に 輸出したときに内外価格差がドンと出て売れないという現象が起きてしまっています。とくに韓国や香港は地理的に近いのですが、向こうで日本のブランドを購入しようとしたら、日本の 1.8 倍くらいの値段になってしまうケースもあります。そのため向こうの人たちはわざわざ日本に来て購入する。これは良くないですよね。そういう仕組み作りも含めて、グローバルな視点を持ち込めたらとおもっています。また、よく日本のカルチャーを台湾や韓国に発信しましょうというときに、わざと敷居を下げたりしますよね。そういうのを見るたびに、不安を感じてしまいます。台湾や韓国をなめすぎだとおもいますね。韓国の商業施設のアートなどは信じられないくらいレベルが高いです。なにより、やっている人たちがインターナショナルな人たちばかり。韓国は世界のスタンダードで勝負しようとしています。香港もそうですが、低いスタンダードというのは向こうには存在しないです。なので、アジアを後進国だと捉えたあのマーケティングというのは、ひとつも形になっていないとおもいますね。

 

2/2ページ: 最近気になるトレンドはありますか?

 

  


- 日本の若手デザイナーにおもうことはありますか?

若い子たちにはもっとインターナショナルで勝負したいとおもってもらいたいですね。サッカー選手も 20 代前半でもう世界で勝負していますし、ファッションだって勝負しても良いですよね。ロンドンにいると世界が近く感じられます。なぜならロンドンで起こっていることが実際に世界に発信されて、世界のスタンダードになるからです。だけど日本だけで盛り上がっていても、世界のスタンダードにはなりにくい。東京で起こっていることをスタンダードにしてしまうとその先の成長がない。Sacai の阿部千登勢さんや kolor の阿部潤一さんにしても、COMME des GARÇONS みたいなグローバルで勝負をしている企業での経験を、うまくいまに繋げて成功していると思いますし、mame (マメ) の黒河内真衣子さんも、ISSEY MIYAKE (イッセイ ミヤケ) での経験が生きているのではないでしょうか。それに20 代、30 代というのはいろいろなコトを吸収できる年代です。僕はいま37歳ですが、この年齢になるとさすがにもう裸で飛び込むことができません。そういう意味でも若い子たちには、感受性豊かなことをやってほしいなとおもいます。

 

- 最近気になるトレンドはありますか?

4月の下旬に発表される「origami (おりがみ) http://origami.co 」というモバイルプラットホームがおもしろいと思います。実店舗とバーチャルの世界をうまく融合した仕組みです。いままではどうしてもeコマースとフィジカルなお店がうまくリンクしていなかったとおもうのですが、期待が持てるサービスです。そのコンテンツ自体が十分にかっこ良くないと残念なことですし、ファッション業界に関わる若い子も、彼らみたいな波に乗っていけると良いなとおもいます。

 

- 東京のおすすめスポットを 3 つ教えてください。

代官山蔦屋書店 (だいかんやまつたやしょてん)
住所: 東京都渋谷区猿楽町 17-5
Tel: 03-3770-2525
URL: http://tsite.jp/daikanyama/store-service/tsutaya.html
海外からくる人たちはほとんど気に入ってくれます。海外の本屋さんも、ソファーがあってコーヒーを飲みながら本を読むというスタイルが多いですからね。

bonjour records (ボンジュール・レコード)
住所: 東京都渋谷区猿楽町 24-1
Tel: 03-5458-6020
URL: http://www.bonjour.jp
コンテンツがインターナショナル・スタンダードです。ディレクターの上村真俊くんは、そこで起きているモノを紹介したいという意識が強いタイプだとおもいます。意外に知られていないですが、本のセレクションも結構良いです。

sacai (サカイ)
住所: 東京都港区南青山 5-4-44 南青山シティハウス A-1F, 2F
Tel: 03-6418-5977
URL: http://www.sacai.jp
すばらしいお店です。sacai のすべてのラインが観られます。

 



源馬大輔 (げんまだいすけ)
クリエイティブ・ディレクター。1975年生まれ。1996年に渡英し、1997年にロンドンの BROWNS 社に入社。バイヤーとしてのキャリアをスタートさせる。2002年帰国後、中目黒にセレクトショップ  FAMILY を立ち上げ、 WR/Family Executive Director に就任。2007年に独立し、源馬大輔事務所を設立。CELUX(LVJグループ)のブランディング・ディレクターなどを務め、現在は sacai のクリエイティブ・ディレクションや香港の高級百貨店 LANE CRAWFORD のバイイング・コンサルタントなどを担当。マーケティングから商品開発、内装までディレクションし、日本だけでなく海外との契約も多数。

HP
URL: http://www.takahashi-office.co.jp/gemma-profile.html