東京証券取引所によると、東証1部の売買株数は4月5日、64億株と過去最高を記録した。昨年の同じ日は22億株だった。その3倍近い。盛り上がりを見せるアベ相場では、保有資産を1億円以上に増やし「億り人(おくりびと)」と呼ばれる個人投資家が現れた。

 これから彼らは、どのような行動をとるのだろうか。さぞや「イケイケ」かと思いきや、実はそうでもなかった。

 五月(ごがつ=ハンドルネーム)さんは2月2日に、自身のウェブサイトで積極運用からの引退を宣言した。アベノミクスで、割安な銘柄がなくなってしまったことが理由だ。日本株が上昇トレンドにあるなかで、12億円稼いだ個人投資家の引退宣言は、大手外資系証券会社の売買担当の間でも話題になった。

「今は人物伝を読んだり、ゲームをしたり、友達と居酒屋に行ったりして過ごしてます」(五月さん)

 お金はほとんど使わないという。24歳から株式投資で生活するデイトレーダーのテスタ(ハンドルネーム)さんは、こう言う。「日々できることを精いっぱいやるだけです。天狗になったら終わり。『上げ相場』の次には『下げ相場』がくる。どちらでも勝てる人が生き残るんです」。

「アベバブル」に浮かれることのない、地に足のついた姿勢こそ、「億り人」から真っ先に学ぶべきものかもしれない。

週刊朝日 2013年4月19日号