「鉄の女」の異名を取る2人の女性首相 何が違う?-ドイツメディア

写真拡大

サッチャー元英首相が死去

英国初の女性首相で「鉄の女」として知られたマーガレット・サッチャー氏が8日、87歳で脳卒中のため死去した。

英首相府は、葬儀を17日にロンドンのセントポール大聖堂で執り行うと発表。王室からは、エリザベス女王と夫のフィリップ殿下が葬儀に参列することが明らかになった。日本政府は、弔意を表すため、安倍総理大臣の特使を派遣する方向で調整に入り、総理大臣経験者を軸に人選を進めているという。

世界各国の政府や英国の政治家らは、サッチャー元首相について、「偉大な政治家であり、独創性に富んだ人物」として敬意を表した。

Image:by LCBGlenn

傑出した指導者の一人

ドイツでも、サッチャー元首相を追悼する記事が多く書かれている。ドイツのメルケル首相は、サッチャー元首相を女性で初めて欧州の政府のトップに立ったとして、「当時の世界政治で傑出した指導者の一人」であったと評した。

8日付、シュピーゲル誌オンライン版では、メルケル首相とサッチャー元首相を比較している。メルケル首相は、サッチャー元首相同様に「鉄の女」と称され、実際に2人には科学者出身(サッチャー氏は化学、メルケル氏は物理)、保守系、女性政治家という複数の共通項がある。

サッチャー元首相は「サッチャリズム」と呼ばれた妥協しない政治姿勢のため、愛されていたが、憎まれてもいた。サッチャー元首相は、石油やガス、電信電話といった巨大国営企業を次々に民営化し、労組とも徹底対決し、労組を解体に追い込んだ。

例えば、左派や若い移民、スコットランド人、ウェールズ人らの多くは、いまだにサッチャー元首相への強い反感を隠していない。

サッチャー氏は革命の人

両者の大きな違いは、サッチャー元首相は、強固な観念論者で信念を持ち主張を貫く革命の人だったのに対し、メルケル首相は実利主義で日和見主義。

鉄の女・サッチャーは多くの人に憎まれたが、鉄の女・メルケルは、ドイツで憎まれることなく、これからも憎まれることはないだろう。

▼外部リンク

シュピーゲル誌(Spiegel Online)
http://www.spiegel.de/politik/

ハンデルスブラット紙(Handelsblatt)
http://www.handelsblatt.com/politik/

■関連記事