3月27日に国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来の推計人口によれば、2010年に1億2800万人だった日本の人口は、2040年には1億700万人にまで減るという。

2005年から始まった日本の人口減少は止まらず、特に労働生産人口の減少はどんどん勢いを増すことになる。それに加え、TPPに参加すれば人材の交流もより盛んになる。そうなれば、賛否はあるものの、移民受け入れの議論が本格化することは間違いなさそうだ。

実は外国人の雇用は、一般によく知られている製造業の工場など以外でも、すでに進んでいる。三重県鈴鹿市で在日外国人向けにさまざまな支援を行なっているNPO法人「愛伝舎」の坂本久海子理事長に聞いた。

「今は定住外国人向けに、4ヵ月間の介護ヘルパー養成講座を開いています。うちではペルー人やボリビア人、パラグアイ人、チリ人と、主に南米の人を支援しているのですが、なかでもブラジル人は学習能力が非常に高く、日本企業への就職意識も高いですね。それに、日系ブラジル人の女性はとにかく優しいし、日本人よりも真面目な部分があり、とても誠実です。彼女たちはあいさつや別れのときにハグをするんですが、最初はビックリしていたおじいちゃんたちも、今はうれしそうですよ」

最近では、介護施設のほうから「ブラジル人が欲しい」と言われるほどだとか。

また、いわゆるビジネスマンの分野では、ベトナム人がかなりの“有望株”だという。

「日本に来るベトナム人は年々増えていますが、彼らは東南アジアでは突出したバイタリティがある。さすが、アメリカにも中国にも戦争で勝った国です(笑)。留学生が集まっても、ベトナム人がリーダーシップを取る。彼らに雇用機会が均等に与えられ、会社の重要なポストに就けるようになれば、社長にもなれるような人材がたくさんいます」(移民情報機構・石原進社長)

同じく東南アジアでは、ミャンマーから来日する人もすでに増えつつある。

「彼らはベトナム人よりも穏やかです。それに手先も器用で、日本企業との親和性も高い。ある意味、日本人が一番好むタイプだと思います」(石原氏)

さらに石原氏は、20年、30年後にはアフリカ系移民が増えている可能性もあると指摘する。

「ベトナム人やミャンマー人がなぜ来日するかというと、経済格差があるからです。『日本で1万円稼げば、自国で5万円の価値がある』となれば当然、人は流れる。でも、今後はASEAN(東南アジア諸国連合)との経済格差は縮まります。今は東南アジアや南米の人々が担っている仕事に、アフリカ人が従事する可能性は十分にあります」

日本ではまだほとんどないが、ヨーロッパではアフリカ系移民が製造業や農家の労働力となっている。出身国だけでなく、日本で働く人種も多様化していく時代が、そう遠くない未来に待っているのかもしれない。

(取材・文/頓所直人 興山英雄)

■週刊プレイボーイ16号「シミュレーション『20XX年、移民大国ニッポン」より