もはや「就職難」が常態化している、昨今の日本。就職を有利にするためには大学選びから、というのは高校生にとって常識になっているようです。そんな高校生たちに向けて発売されている『時間と学費をムダにしない大学選び2014』は、日本の就職をとりまく厳しい現状が、辛辣なまでにストレートに提示された一冊となっています。

 たとえば、「看護・医療・薬学」系の進学先について。本書によれば「毎年のように医療関連学部・学科が新設されて」いて、特に「理学療法士・作業療法士はバブル状態と言ってもいい」状況なのだそう。そしてそんな現状について「どう考えても増えすぎである。北里大などの伝統校はまだしも新設校は教員を揃えるにも一苦労であり、本当に実習・就職先の確保が大丈夫なのか不安は否定できない」とズバリ指摘。「給料がおさえられがち」「休日も研修会が入る」など、理学療法士・作業療法士の仕事に関するリアルな記述もみられました。

 一方で、同じく看護・医療系でも「看護師は採用の方がバブル状態」とのこと。こちらはどうやら卒業後も引く手あまたのようです。また診療報酬が2006年に改定したことで、看護師の配置によっては病院が受け取る報酬が増えるとの情報も。将来の仕事を考えるにあたっては、こうした現実に即した情報が大いに役立ちそうです。

 また、よりリアルな現状を表しているのが、本書の「社会人インタビュー」のコーナー。各業界で実際に働く人に、仕事の実態を聞いたインタビュー記事なのですが、これが高校生には、というか大人が見てもちょっと衝撃的なレベル。たとえば、「アニメ・マンガ・ゲーム」関係の進学先の章では、サブカル系専門学校広報担当の女性が、次のような受け答えをしています。

 「うちはゲームからアニメ、声優、漫画までサブカル全般のコースをそろえた専門学校です。うちに来てゲームなりアニメなりの仕事にありつけるかって? あー、基本、無理じゃないですか」と、身もふたもないほど「歯に衣着せぬ」発言。

 しかし、この厳しい言葉にはそれなりの理由があるようです。

 「ただ、うちがどうこうよりも、親と高校生にこそ、問題があるんじゃないですか。まず、高校生ですが、甘く見過ぎ。たとえば、漫画家なら作品を描いて編集部への持ち込みをやってぼろっくそにけなされる、でもめげずに何度も描き続ける、そういうタイプなら生き残れます。だけど、めったにいません。うちでもほかの学校でも集まるのはなんとなく漫画を読むのが好き、という程度。こういう子ってまず漫画を描く気がないですね」

 また、時代が変わって漫画・ゲーム業界ともに求人がかなり少なくなっているため、「うちのような専門学校にはまず求人は来ませんね」とのこと。

 夢を抱く高校生にはちょっとシビアすぎるような気もしますが、しかし知らずにいた方が、後々より過酷な現実にぶち当たるというもの。本気で夢を目指す高校生にとっては、かなり参考になる一冊と言えそうです。



『時間と学費をムダにしない大学選び2014 - 最辛大学ガイド』
 著者:石渡 嶺司,山内 太地
 出版社:中央公論新社
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