マキロイはテキサスでの戦いをオーガスタに生かすことができるか(Photo by Steve DykesGetty Images)

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 昨年まではマスターズの翌々週に開催されていたテキサス・オープンが今年からマスターズ前週の開催に変わった。すでにマスターズ出場選手たちの多くがオーガスタに乗り込み、練習ラウンドさえ開始している今日の日曜日に遠く離れたテキサスでクラブを振っていた選手たち。その胸の中には、それぞれの想いが溢れていた。
M・レアードが逆転優勝!マキロイは単独2位でフィニッシュ
 メジャータイトルを2つも獲得し、つい2週間前まで世界一の王座に君臨していたローリー・マキロイがテキサスオープン出場を決めたのは突然だった。今季は不調続きで、4日間を戦ったのは予選落ちのないキャデラック選手権と先週のヒューストン・オープンの2回だけ。実戦経験の不足を相棒キャディのJP・フィッツジェラルドから指摘されたマキロイは、ヒューストンにいる間にテキサス行きを決め、3連戦でマスターズに挑む覚悟をした。ビッグネームにしては異例のスケジューリングだが、「このままではオーガスタで戦えない」という想いがマキロイをテキサスへと駆り立てた。
 同様に、今季のエンジンのかかり具合の悪さを感じ取り、テキサスへやってきたビッグネームが、もう一人いた。やはりメジャーチャンプのジム・フューリク。42歳、米ツアー16勝の大ベテランだが、マスターズの前週に試合に出たのは今回がキャリアにおいて初めて。アクセルを踏み込む感覚を呼び戻さなければマスターズで戦えないという気持ちが、フューリックをテキサスへ向かわせた。
 マキロイやフューリックはマスターズ出場資格を持った上でテキサスへやってきていたが、オーガスタへの切符を持っておらず、最後の1枚を掴みたい一心でテキサスへ乗り込んだ選手も多かった。
 先週の欧州ツアー、トロフィー・ハッサンで優勝し、その時点で世界ランク50位となってオーガスタへの切符を掴んだと思った矢先、米ツアーの結果が加わったランクで51位になり、オーガスタ行きが幻と化してしまったドイツのマルセル・シーム。彼はその直後にテキサスオープンの推薦枠をもらい、大慌てで海を渡ってきた。
 先週のヒューストン・オープンでぎりぎりで2位に甘んじたビリー・ホーシェルは、今週こそは優勝してオーガスタへ行こうと心に誓い、今週は首位で最終日を迎えていた。
 いろんな想いが交錯していたからこそ、テキサスオープンのサンデーアフタヌーンは大混戦になった。その混戦を抜け出し、勝利を掴んだのはスコットランドのマーチン・レアード。9バーディ・ノーボギーの見事なゴルフでコースレコードに並ぶ63をマークし、米ツアー3勝目とオーガスタへの最後の切符を手に入れ、今季これまで14週も続いていた米国人選手による連続優勝記録をついにストップさせた。
 「先週、ヒューストンで予選落ちしたとき、もっとアグレッシブにプレーしようと心に誓った。今日はパターが活躍してくれた。終盤はオーガスタ、オーガスタと思って心が少し揺れたけど、優勝できて本当にうれしい」
 勝てなかった選手たちにとってテキサスオープン出場は徒労に終わってしまったのかと言えば、決してそうではない。最終日、必死の追い上げで2打差の2位になったマキロイは「トロフィーは持ち帰れなかったけど、それはレアードのゴルフがあまりにもグッドだったから。僕は僕なりの好感触を得てオーガスタに行ける」と笑顔を見せた。72ホール目の18番(パー5)で第3打が直接カップインしたイーグルで3位に食い込んだフューリックも、やっと笑顔でマスターズを迎えられるようになった。
 欧州から飛んできたシームは12番のトリプルボギーが響き、10位に終わった。ホーシェルは最後まで粘ったが、3位に甘んじた。オーガスタへの切符は逃したものの、最後まで諦めずに戦ったネバーギブアップの精神と来年こそはというモチベーションは、きっと彼らを強くしてくれたはず。その収穫は宝に値するはず。
 マスターズは、いよいよ開幕。その直前まで、そんな熱い戦いがあったことを、みなさんの心の片隅に置いてオーガスタの戦いを眺めてほしい。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

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