映画編

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業界トレンドNEWS Vol.167

映画編

邦画が洋画を上回る状況が続く映画業界の最新動向をチェック!


■競争激化によってスクリーンあたりの興行収入が減少。マルチユース、シネコン貸し出しなどで収益拡大を目指す

映画業界は、資金を集めたり映画を作ったりする「企画・製作」、映画の宣伝や映画館の確保などを行う「配給」、映画館を運営する「興行」の3段階に大別される。東宝・松竹・東映といった大手映画会社は、企画・製作から興行までの流れをすべて網羅。これに対し、テレビ局(企画・製作)、独立系配給会社(配給)、シネコン運営会社(興行)のように、いずれかの段階だけを手がける企業もある。

社団法人日本映画製作者連盟によれば、2012年の邦画・洋画を合わせた興行収入は1952億円。東日本大震災の影響で落ち込んだ11年(1812億円)より、7.7パーセント増加した。ただし、過去最高を記録した10年(2207億円)に比べると、1割以上低い水準にとどまっている。なお、12年における邦画の興行収入は、対前年比28.8パーセント増の1281億円と好調。一方、洋画は対前年比17.9パーセント減の670億円と振るわなかった。日本では、長期間にわたって洋画の興行収入が邦画を上回っていたが、08年以降は邦画が洋画を上回る「邦高洋低」の状況が続いている。

ここ数年、映画業界は毎年2000億円前後の興行収入をあげており、比較的活況だった。その原動力になっていたのが、多数のスクリーンを備えた映画館「シネマコンプレックス(シネコン)」。スクリーン数が豊富で多彩な映画が見られること、音響や映像を楽しむ最新設備があること、併設されていることの多い商業施設で買い物や食事ができることなどが受け、多くの消費者を呼び込むことに成功した。ところが、03年には2681だった総スクリーン数は、10年には3412にまで増加。その結果、競争が激化して1スクリーンあたりの興行収入は落ち込んでいる。さらに、11年、12年と興行収入が伸び悩んだことで、シネコンの再編機運が高まりつつあるのだ。その結果、1994年以降増え続けていたスクリーン数は、11年、12年と減少に転じた。

こうしたことから、シネコンでは映画以外の収入を増やそうとしている。例えば、サッカーやプロレスなどのスポーツイベントを生中継したり、チケットがなかなかとれない有名アーティストの公演を「ライブビューイング」(各種イベントを別会場で生中継すること)で流したりする方法が盛んだ。シネコンには優れた音響設備や3D放映設備などがそろっており、臨場感のある映像・音を、比較的安価に楽しめるのが利点だと言える。

企画・製作分野では、「製作委員会方式」による映画製作が主流になっている。これは、映画会社・テレビ局・レコード会社・商社・出版社・おもちゃメーカーなどが共同で資金を提供するやり方。映画は「水もの」と呼ばれ、作品ごとに当たりはずれが大きい。そこで、複数の企業が共同出資してリスクを抑えようとしているのだ。ここで主導権を得ているのが、資金力・企画力・宣伝力などの面で優位に立つテレビ局。『BRAVE HEARTS 海猿』、『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』(いずれもフジテレビ)のように、テレビドラマ発の映画も相変わらず多い。

映画館での上映が終わった後、DVD化やテレビ放映などで収益を増やす「マルチユース化」も、さらに盛んになっている。とりわけ、近年目立つのがスマートフォン・タブレット端末向けのオンデマンド配信だ。映画1本ごとに課金するビジネスモデルもあるし、携帯キャリア各社やHulu(アメリカ発の動画配信サービスで、日本でも11年からサービス開始)などでは、定額料金で映画などの動画コンテンツが見放題になるサービスを提供している。一方、これまでマルチユースの主役であったレンタルビデオ店は、新サービスに押されて停滞。そこで、例えばTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが洋画のDVD化権を取得してTSUTAYA限定でレンタルするなどの対策を打ち出しているのも注目だ。